残業代コラム

未払い残業代の請求を弁護士に依頼するメリットとは?

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働き方改革やテレワークの普及など、社会情勢の変化により会社の残業に対する考えも変わり、AIを活用するなど、無駄な残業をしない効率的な仕事のあり方が模索されています。

このような社会環境の変化で、長時間労働における社会の目はより厳しくなり、企業もさらなる残業に対するコンプライアンスの遵守を求められていますが、同時に人手不足も深刻となり、特定業種では経済損失も大きくなると言われています。

未払いになっている残業代の問題についても、DXの推進など、さまざまな取組みにより残業が減りつつあるとはいえ、決して解決したとはいえない状況が続いています。

また、実際に未払いになっている残業代を回収しようとすると、残業代の計算から会社とのやりとりをふくめ、個人で対応する場合、かなりタフな交渉を迫られます。

ここでは、弁護士に依頼するとこのような手間は解消されるのか、また、個人での対応と弁護士の対応にはどのような違いがあるのか、弁護士に依頼するメリットについて解説します。

この記事の内容

最大のメリットは会社と直接交渉せずに済むこと

弁護士に未払い残業代請求を依頼する1番のメリットは、会社と直接関わらずに済むことです。

会社に対して未払い残業代請求をすると、会社から様々な反論がきます。反論の中には、法的なものがあれば、請求される方の能力不足や規則違反など思いがけないものもあります。会社からの各反論に対しご自身で対応することは大きなストレスとなるでしょう。

会社に対する請求を弁護士に依頼すれば、会社からの反論に対し、ご自身で対応することなく手続きを進めることができます。

また、会社とのやりとりにおいて書面作成が必要となる場面もあり、これも弁護士に依頼することで手間がかかりません。

適切な残業代を請求することができる

続いてのメリットは、証拠や勤務体系など、個別の事情に応じた適切・正確な残業代を計算し、会社に請求できることです。

近年では、未払い残業代の計算方法をインターネット等で調べることもできます。しかし、正確な残業代の計算をするためには、雇用契約書や就業規則、給与明細、就労状況など、その方の個別事情を反映することが必要になります。

ご自身で正確な残業代を計算することはとても大変ですが、弁護士に依頼すればその煩わしさを感じることなく効果的な残業代請求をすることができます。

また、会社に対し、計算の間違い等があると会社が相手にしない恐れもありますが、適正な金額を請求することで、会社から残業代が支払われる可能性も高まると言えるでしょう。

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未払い残業代の計算方法について

会社側へ証拠の提出を求めることができる

3つ目のメリットは、退職後の残業代請求でも会社に証拠開示請求を行えることです。すでに退職したあとで、手元の証拠が少ない場合でも、弁護士なら会社に対して就業規則や勤怠記録(タイムカード等)などの開示請求を行うことができます。

ご本人が会社に対し証拠開示を求めても、会社が相手にせず証拠が開示されないケースも散見されます。弁護士が代理人につくことで、会社が残業代請求をむげにできず証拠を開示する可能性があります。

現在(2022年6月)のところ、残業代請求の時効は各月の給料日から3年間ですから、勤続2年以上の方が既に退職している場合には、請求できる残業代が毎月どんどん減少してしまいます。内容証明郵便を送り、時効消滅を避けられるよう、早めに弁護士に相談しましょう。

  • ※2020年4月1日より、改正民法の施行とあわせて改正労働基準法も施行されたことで、未払い残業代の時効が2年から3年に延長となりました。 ただし、時効の適用は2020年4月1日以降に支払われる賃金からが対象となるため、3年分の未払い残業代を請求するには、最短でも2023年3月以降となります。

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残業代請求の時効が2年から3年に延長されたことによる影響について

交渉を有利に進め、解決までの時間の短縮が見込める

4つ目のメリットとしては、労働問題に力を入れている弁護士事務所であれば、未払い残業代請求に対するノウハウがあるため、ご自身で請求するよりは時間をかけずに解決に導けることが挙げられます。

労働問題に強い弁護士であれば、ある程度会社側との交渉の仕方を心得ているので、専門的な知見をもとに解決への道筋を描くことができます。有利な交渉に誘導するための無駄な対応が少なくなり、より効率的に解決を図ることができます。

また、交渉にとどまらず労働審判や訴訟になったとしても、弁護士に依頼していれば法的手続について悩むことなく、しっかりと対応してもらうことができます。

会社側は不適切な対応をしにくくなる

5つ目のメリットは、弁護士がつくことで、会社側がいい加減な態度をとれなくなることです。

ご相談者の中には、以前に自分で会社に残業代を請求したものの、相手にされなかったという方もいらっしゃいます。そのような場合にも、弁護士が会社側に内容証明郵便を送ることで、むげにすることができず交渉に応じる会社もあります。

ご自身で残業代を請求しても会社が相手にしてくれない場合には、労働基準監督署への相談とあわせて、弁護士に依頼することもご検討ください。

もっともメリットのある残業代請求のタイミング

ここまで弁護士に依頼するメリットを紹介してきましたが、具体的にいつ依頼するのが最もよいのでしょうか。依頼するタイミングとして最もよいのは、退職を決意したときです。

在職中に弁護士に相談・依頼していただければ、事情を確認したうえで必要な証拠や書類収集のアドバイスをすることができます。退職前に過去の勤務記録や給与明細、就業規則など、これらの証拠をしっかり取得しておくと、残業代請求の際、根拠をもって対応することができます。

退職前に証拠を集めておくことで、証拠に基づく正確な計算を会社に先行して行えます。実際に残業代がどれほど発生しているかを事前に確認できるので、その後の具体的な方向性や、流れを知ることができます。

また、退職後すぐに残業代を請求することで、時効消滅する残業代を最小限に抑えることができます。もちろん、退職してから弁護士に依頼することも可能です。もっとも、退職後の場合、職場で保管されている証拠を取得しづらいことや、退職後何か月も経過していると、時効により請求金額が減少していることもあるため、退職後に残業代を請求しようと決意した場合には、できる限り早めに弁護士に相談・依頼するとよいでしょう。

負担軽減と適切な残業代請求は弁護士への依頼を検討する

ここまで弁護士に依頼するメリットについてご紹介してきましたが、残業代請求をご自身で行うには、様々なハードルがあります。次の就職口探しや、もしくは新しい勤務先での就労に集中したいときに、このような負担が増えるのはとても大変です。

弁護士に依頼することで、ご自身で請求するよりも多くのストレスや負担が軽減され、安心して残業代請求を進めることができます。

ご負担の軽減以外にもメリットが多くありますので、残業代請求をご検討中の方は一度弁護士へ相談し、ご自身の状況を確認しながら進められることをおすすめします。

未払い残業代の請求は弁護士へご相談ください

初回相談は無料です

この記事の監修

小湊 敬祐

Keisuke Kominato

  • 弁護士
  • 上野法律事務所
  • 東京弁護士会所属

働き方改革やテレワークの導入による在宅勤務など、社会情勢の変化により企業の残業に対する姿勢が変化しつつあります。一方で、慢性的な人手不足により、残業が常態化している企業もあり、悪質なケースでは、残業代の支給がされていないこともあります。ご依頼者の働きが正当に評価されるよう、未払いとなっている残業代の回収を目指し、活動を行っています。

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