残業代請求に関する解決事例 29
残業代請求に関する解決事例 29
解決事例29
担当弁護士
今井 浩統
ご依頼者 U.Yさん
ご依頼者のU.Yさんが勤めていた会社では、売上に応じて給与を支払っていることがあり、U.Yさんは時間外労働や休憩時間の規定がはっきりしない状態で残業を含めた勤務を続けてきました。U.Yさんは退職をきっかけに、会社に対してこれまでの残業代の請求と、休憩時間についても曖昧だったことから当事務所に相談に来られました。
ご依頼者のU.Yさんにお話を伺うと、「給与が月給制もしくは歩合給制なのか」、「月給制と歩合給制の複合型なのか」、「手当の性質は何か」といったように、勤めていた会社の給与の性質が判別困難なものでした。また、複雑な業務内容であったため、当職も中々理解することが困難でしたが、ご依頼者のU.Yさんと何度も打ち合わせを重ね、業務の全貌を掴むことに専念しました。
受任後、会社と交渉を行ったところ、会社は、「全て歩合給であり残業代はほとんどない」という主張であったため、交渉は早期に断念し、訴訟を提起しました。訴訟でも同様の議論となりましたが、当職から裁判所に対して会社の実態について丁寧に説明し、適切に理解してもらうことに努めました。
訴訟では、給与体系について、「歩合給制と月給制と2種類の給与制が存在し、これを業務内容によって使い分ける」という、極めて複雑な結論となりました。しかし、運転手としての残業代請求については、勤務中の業務内容を丁寧に説明を重ねたこともあり、当方の主張が概ね認められる形で決着しました。
月給制の主張が全面的に認められなかったこともあり、多少不満の残る金額ではありましたが、労働時間に関する主張についてはそのほとんどが認められたため、U.Yさんの労働に対する適正な対価が支払われる結果となりました。