残業代請求に関する解決事例 22
残業代請求に関する解決事例 22
解決事例22
担当弁護士
三浦 知草
ご依頼者 K.Sさん
ご依頼者のK.Sさんは運送ドライバーで、深夜業務を含むかなり長時間の運送業務を行っていました。
業務が立て込んでいるときには、夜勤明けにそのまま日勤での配送業務にあたるときもあり、配送中にまとまった休憩時間をとることもままならない状態でした。
ご依頼者のK.Sさんの手元には業務日報やタコグラフなど、労働時間がわかる証拠が全くない状況で、会社側もそれらの資料を開示してこない状況でした。
しかし、K.Sさんは、日報などを書く際の備忘のため、1日ごとに配送先の場所と、各行先への到着時間を記載したメモを毎日作成していました。
このメモが、単に出退勤時間を書いただけにとどまらない詳細なものだったため、メモをもとに残業代を算定して、それなりの金額を獲得できるという見込みが立ち、交渉に入りました。
受任後、すぐに相手方に内容証明を送付し、資料の開示を促しましたが、業務時間のわかる日報などは開示されませんでした。
そのため、ご依頼者のK.Sさんのメモと聞き取りに基づいて、2年分の残業代を算出し、請求を行いました。
相手方からは、「メモの内容は予定であり、実際の労働時間はもっと短いはずだ。各種の手当の支払いで残業代は既払いになっているので、未払い賃金は生じていないはずだ。」といった反論がありました。しかし、当方から、会社指示でメモどおり長時間の労働を行っていたことなどを主張し、交渉を行いました。
交渉当初、相手方はゼロ回答でしたが、最終的に300万円を支払うという和解案を示してきたため、審判や訴訟は行わず、和解の合意をしました。
また、相手方からは、就業中にご依頼者のK.Sさんに不正行為があった等の主張も出ていましたが、「K.Sさんと相手方との一切の問題を解決する」清算条項を入れた合意を行いました。