残業代請求に関する解決事例 21
残業代請求に関する解決事例 21
解決事例21
ご依頼者のO.Yさんは、飲食業の調理スタッフでしたので、朝出勤してその日の料理の下ごしらえ等の準備を行い、ランチ営業終了後、ランチ営業の片付けとディナー営業の準備を行い、ディナー営業後、後片づけをして終了という勤務状況でした。
このため、残業しなければ業務として成り立たないという状況にありました。
本件について、残業代の計算自体はそれほど難しいものではなく、ご依頼者自身で計算することも可能でした。
ただ、会社は個人からの請求を相手にしないことがほとんどであるため、ご自身の権利を実現させるためには、弁護士への依頼が不可欠な分野の事件と考えられます。
ご依頼者のO.Yさんは、ご相談に来られた時点で勤務状況に関する資料をお持ちでした。残業代の支払いはなかったため、当該資料から一見して未払い残業代があることは明らかでした。このため、その日にご依頼いただくこととなり、相手方と交渉を開始しました。
相手方と接触後、相手方に弁護士が就きましたので、当該弁護士と交渉を重ね、交渉にて合意が成立しました。
ご依頼者のO.Yさんは、ある程度の地位にいる方でしたので、管理監督者や固定残業代等の争点が予想されました。一方で、未払い残業代があることは明らかでしたので、相手方も一定の支払いには応じる意向でした。
本件の解決については、これらの争点に応じた解決水準はO.Yさんに説明しており、相手方からは当該水準より少し低い金額での解決を提示されました。私としては、多少物足りない金額ではありましたが、最初の緊急事態宣言発出の数日前であったことから倒産リスクを考慮し、ご依頼者のO.Yさんもこのリスクについてご納得いただけたため、当該提案にて合意を成立させることとなりました。
その後の緊急事態宣言における飲食業の状況を考えると、より倒産を考慮した低い金額提示になった可能性も高く、交渉が困難となり得たことから、結果としてこのタイミングで合意できたことがよかったとも考えられます。