残業代請求に関する解決事例 15
残業代請求に関する解決事例 15
解決事例15
担当弁護士
谷 靖介
ご依頼者 S.Eさん
ご依頼者のS.Eさんは、ビルやテナントの建物設備の保守点検を主要な事業とする会社に勤務し、毎日現場を回って、保守点検作業に従事していました。早朝に出勤し、作業場から保守に必要な部品を社用車に積み、ビルやテナントを巡回して、保守点検を行う仕事です。
会社の規模が小さく、作業現場も広域に広がっていたため、毎日早朝から深夜まで長時間拘束されていました。また、緊急呼び出しに備え、月に数日は会社に泊まり込んでもいました。月の休日は僅か数日で、1か月の早出残業・休日出勤の合計時間は100時間を超える状況にありました。
会社や作業場にはタイムカードがなく、毎日の労働時間を正確に記録する体制にはなかったことから、意見の隔たりが大きく訴訟となりましたが、最終的に高額な和解金の獲得に成功しました。
ご依頼者のS.Eさんは、リーガルプラスへのご依頼前、残業代支払い交渉を別の法律事務所の弁護士に依頼されていました。前任の弁護士は、裁判を回避する姿勢が非常に強い様子で、会社が日報など労働時間を間接的に裏付ける資料(日々の作業報告書、泊り込みのシフト表など)を開示しないため、数十万円の和解で解決しようとしていました。
急ぎ訴訟を提起し、裁判手続き内で会社にこれら資料の開示を求めたところ、元請けを巻き込むことを恐れたのか、会社側は資料を自主開示し、実態に添った労働時間の分析と未払い残業代の計算に成功、有利な裁判の流れとし、納得のいく和解金を支払ってもらうことで解決となりました。
数ヶ月の日報や作業報告書をベースに、2年分の残業時間/残業代の推測計算を行い、裁判資料として提出しました。
会社側は、ご依頼者のS.Eさんが働いていない時間があったことや、休憩時間や手待ち時間などは労働時間に含まれないと反論しましたが、いずれも苦しい内容で、裁判官は会社側の主張を考慮する姿勢が乏しい状況でした
会社側は裁判の流れが不利と悟ると、ご依頼者の勤務中の態度や協調欠如などを取り上げ、言いがかりと言えるような書面を裁判所に提出しましたが、裁判の流れを変えることはできませんでした。
1年弱の裁判手続きを経て、裁判官からは「早朝や夜遅くまでの残業の実態があり、長時間労働が認められる」、「かなりの残業時間について、残業代が不払いである」との判決の方向性(心証)が示され、和解協議が始まりました。
和解協議の当初、会社側は和解金の支払いを渋る姿勢でしたが、S.Eさんの労働時間について争える根拠も乏しく、また、仮に判決となれば、元請け会社への売掛金や営業車両の差し押えといった問題が噴出する可能性も考えられました。
和解協議を経て、会社側は裁判官の心証を前提とした、約650万円を一括で支払うことにより和解が成立しました。
法律相談時、S.Eさんの手元には、労働時間を裏付ける資料が全くありませんでした。手持ち証拠がないままでは交渉を進めることも困難と思いましたが、日々の保守管理作業を手書きで記載し、毎日会社に提出していた日報に、手書きで勤務日の労働時間をメモとして残していたとの説明がありました。
前任弁護士は日報等の任意提出を求めていましたが、会社は資料の開示を拒否し、全く協力する姿勢がありませんでした。
そのため、ご依頼者のS.Eさんは、前任弁護士から和解を受け入れるよう説明されましたが、納得することができず、当事務所にご相談にいらっしゃいました。
お話を伺っていくと、すでに前任弁護士の交渉開始から5か月近くが経過しており、残業代の一部が消滅時効で消えてしまう恐れがあったため、時効中断を考慮し、急ぎ訴訟を起こす必要があることもわかりました。
前任弁護士が弱気な代理活動をしていると考え、「交渉では適正な支払いが期待できないため、訴訟を起こした方がよい」、「会社が日報など、自主的な資料提出に応じなければ、会社の元請け先から資料の開示を求める」と説明し、ご依頼をうけることになりました。
裁判手続きの中では、強い姿勢で会社に資料開示を訴え、会社側は元請けが裁判に巻き込まれることを避けたかったのか、日報や作業報告書の開示に応じました。
開示された日報や作業報告書の資料をもとに、1日ずつ、実際の労働時間を分析し、ご依頼者との打ち合わせを経て実際の労働時間の解析を進め、労働時間が明らかになる部分を計算すると1か月30万円以上の残業代が未払いであることが判明しました。
その後、裁判内での和解協議の結果、非常に高額となる未払い残業代の回収に成功しました。
毎日早朝から深夜まで長時間働き、1か月に休みは数日しかありませんでした。ヘトヘトになりながら働いても会社は残業代を固定で数万円しか支払わず、強い怒りをもっていました。
リーガルプラスの前に依頼していた弁護士からは「交渉で会社が証拠を自主的に出してこない。証拠がないから数十万円で和解するしかない。」と説明されました。
その説明がおかしいと思い、インターネットで必死に弁護士を探し直し、リーガルプラスへ相談することにしました。
谷弁護士からは、裁判で日報などの資料を会社に提出させる方針と聞き、その可能性に賭けました。
裁判の中で、私がメモを残した日報や作業報告書、泊まり込みのシフトなどの資料が開示され、私の実際に働いていた勤務時間を可能な限り反映した労働時間の分析・計算を進めてもらえました。
また、谷弁護士は、会社からの不当な主張や私を貶める攻撃にも怯まず、しっかりと反論をしてくれました。
裁判官も私の長時間労働を認めてくださり、高額な和解金を会社から受け取れる結果となり、とても満足しています。
弁護士によってここまで結果が違うことになるとは、とても驚いています。弁護士選びに失敗せず、リーガルプラスに依頼をして高額の残業代を受け取ることができ、本当によかったと思いました。