残業代請求に関する解決事例 11

解決事例11

深夜残業代を支払わない会社に対して未払い残業代や深夜割増賃金等を請求し、有利な金額で合意・解決した事案

谷 靖介
解説弁護士
谷 靖介
業種
飲食業
解決方法
示談交渉
ご依頼者
R.Mさん
受任年
2018年
解決年
2019年
1日の平均残業時間
1〜2時間
回収金額
約270万円

事例の概要

ご相談者のR.Mさんは飲食店勤務で、店長として週6日働いていました。残業時間は1日当たり1~2時間でしたが、深夜手当が全く支払われていない状況であり、経営者との関係が悪化したことから退職。未払いの残業代をはじめ、深夜割増賃金等を請求したいとのことで来所されました。

解決に向けてのポイント

ご相談者のR.Mさんが退職した直後は、最後の賃金が支払われず、R.Mさんに対して嫌がらせのような行為もあったため、交渉の難航が予想されました。

また、R.Mさんが持参した残業や深夜労働を裏付ける資料が、退職前の数か月分しかなかったため、証拠がない期間についての未払い割増賃金の発生及び金額について争われる可能性があり、やはり交渉が難航することが予想されました。

しかし、実際に交渉を開始してみると、経営者が早々に弁護士を立て、弁護士同士の話し合いになったことから、感情面での対立はなくなり、比較的スムーズに合意までたどり着くことができました。

解決に向けた交渉の経過

労働基準法では、1日8時間、1週40時間を法定労働時間と定めており、経営者が労働者に法定労働時間を超える時間外労働をさせる場合には、通常の賃金の2割5分以上の割増賃金を支払わなければなりません。

また、深夜業(午後10時から翌日午前5時までの間に労働させること)をさせる場合、通常の賃金の2割5分以上の割増賃金を支払わなければなりません。そして、時間外かつ深夜の労働であれば、通常の賃金の5割以上の割増賃金を支払う義務を負うこととなります。

しかし、特に飲食業では営業時間が長く、深夜や翌朝にまで及ぶことから、勤怠管理が杜撰になりがちで、正当な割増賃金が支払われていないことも少なくありません。ご依頼者の勤務先も、まさにこのようなお店でした。

交渉の経緯としては、当事務所においてR.Mさんの持参した資料をもとに、証拠がない期間の分も含めて妥当な未払い割増賃金を計算し、相手方(ご依頼者の勤務先)に請求しました。

相手方は早々に弁護士を代理人として立てたため、ご依頼者と経営者との感情的な対立は表面化せず回避することができました。また、相手方は、証拠がない期間の未払い割増賃金の発生及び金額について争わなかったため、交渉自体はスムーズに進めることができ、ご依頼者のR.Mさんに有利な金額で合意することができました。

当事務所が関わった結果

残業代等の未払い割増賃金を元勤務先に請求する場合、退職するまでにご依頼者と経営者の感情的な対立が生じている場合も多く、その所為で交渉が難航することも少なくありません。

また、証拠が乏しいことについて、相手方から証拠がない期間の割増賃金を認めないと言われれば、やはり交渉は難航します。

本件は、幸いにして交渉で比較的短期に解決することができましたが、話し合いで合意ができない場合は、裁判や労働審判等の手続きを選択せざるを得ません。どのような手続きが適切かは、事案の内容やそれまでの経緯等にもよりますので、まずはお気軽にご相談いただければと思います。

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