残業代請求に関する解決事例 10
残業代請求に関する解決事例 10
解決事例10
担当弁護士
谷 靖介
ご依頼者 S.Tさん
ご依頼者のS.Tさんは、あるグループのホテルでフロント職として働いていました。交替制のシフトにより勤務時間が固定されていましたが、シフトの人手不足や早出・残業に従事していました。ただ、本社からは各ホテルの管理者に対し、現場の社員が長時間労働にならないよう留意する旨の指示も出されていました。
ご依頼者の上司であるマネージャーは、本社に長時間労働の指摘を受けることをさけるため、S.Tさんの労働時間を勝手にカットしてしまい、実際の労働時間とは異なる勤務時間に時刻を修正していました。
上司であるマネージャーがご依頼者の労働時間を勝手に変更しており、その期間は約8か月でした。当職が会社に対して労務管理体制に問題があったこと、元社員が問題であると考えていることを、ご依頼者に代わって本社担当者にしっかりと伝え、未払い残業代の適正な支払いを求めました。
会社側は現場管理者の不手際を認め、未払い分を支払う義務があることを認めました。その結果、交渉によって約40万円の支払いを受けました。
退職後、勤務時の管理者のタイムカード処理に納得ができず、本来会社が支払う未払い賃金の請求をしたいとの思いがきっかけで、ご依頼となりました。
ご依頼後、弁護士から会社の本部に対し、S.Tさんが勤務していた当時の出勤簿、勤怠データ、シフト表、給与規定等の資料の開示を求めたところ、会社側は自主的に資料を提出しました。出勤状況や労働時間の修正状況について、S.Tさんにて確認をし、未払い残業代の計算を進めました。
変形労働時間制、みなし時間外手当制が採用されていたため、S.Tさんの実際の未払い残業代を計算したところ、約40万円でした。会社労務担当者と約1か月の交渉を経て、ご依頼から約4か月で和解がまとまりました。
相手の会社は、従業員の数もかなり多く、また、労務管理体制はコンプライアンスに配慮をする体制を構築していました。そのため、会社の労務部署としては、ご依頼者の請求が訴訟になってしまう事態を避けたい様子が強く、交渉はかなりスムーズに進みました。
本社から長時間労働を減らすように指示を受けた現場の管理職が、部下の早出時間や残業時間を無断でカットするような事態は、他の事案でも時折見受けられます。
弁護士が介入することで、こうした違法な労務管理の実態を明らかにし、本来支払われるべきであった残業代がスムーズに支払われることとなりました。