残業代請求に関する解決事例 06
残業代請求に関する解決事例 06
解決事例06
担当弁護士
谷 靖介
ご依頼者 R.Eさん
ご依頼者のR.Eさんは、営業補助職として営業社員のサポートが中心であり、連日にわたり早出や残業が続いていました。また、上司からは、始業時間前の早出要請を受けることもあり、昼休みの電話対応なども担当するなど、こうした労働時間について一部のみ残業代が支払われ、実働に応じた残業代が支払われていない状況でした。
粘り強い交渉で和解に至った事案です。会社側は、「こちらの算定した早出残業の時間について、R.Eさんが会社の指示に基づかずに働いた」と、当初は争う姿勢をもっておりました。
もっとも、会社は交渉当初から訴訟などの法的措置を避けたい意向が強く、一定額の残業代は支払うとの姿勢が交渉初期からありました。
会社側の弁護士と協議を行い、ご依頼者のR.Eさんが納得できる金額での和解となりました。
まず、弁護士が会社宛にタイムカードや就業規則等の資料提出を求めたところ、会社側は資料提出には応じました。
開示された資料をもとに内容の確認を進め、タイムカードの打刻と実際の労働時間が食い違う部分には、1分単位で時間を調整し、ご依頼者の確認と修正を繰り返し、調整を行いました。
その後、法的に最大限考えられる労働時間と残業代を計算して会社側との交渉をスタートさせ、会社側の弁護士とはお互いに事実の認定と法律論をぶつけ合いました。
1か月半ほどの交渉の結果、こちらの要求をほぼ受け入れ、会社が残業代を支払うことでまとまりました。
できる限りご依頼者の記憶に添う形でタイムカードの打刻時間から分単位で調整し、法的に考えられる最大限に近い金額で会社に残業代の請求を行いました。
こちらの請求に対して会社側からは長文の反論が返ってきましたが、その書面を読み込むと、裁判は避けたいという意向が示されており、交渉で和解を進められる可能性が高いと思わせるものでした。
一見強気な対応があっても、会社側が訴訟を避けたい意向がある場合、交渉でどこまで会社側に譲歩を迫ることができるかの見極めが重要になります。
会社側の弁護士に対して、法律的に有利なポイントを指摘の上で交渉を進め、未払いの残業代をしっかりと払う内容での和解が成立しました。
元勤務先の上司の指示に基づいて働いたにも関わらず、賃金に反映されないことや不当な労働時間の管理をしていた点に強い怒りの気持ちをもっていました。
弁護士を通じて言うべきことをしっかりと言い、また、本来支払われるべきであった賃金を受け取れることになり、よかったと思います。