労働災害の法律相談東京・千葉・茨城

労働災害(労災)に関する基礎知識

労災が認定されるまでの日数について

お仕事の中でケガや病気をした場合、労災申請して認定されると、労災保険よりさまざまな給付金を受け取ることができます。申請は、関係書類に必要事項を記入したうえ、会社(事業者)の証明※を受けて労働基準監督署に提出し、審査を受けることになります。
労災申請してから認定を受けるまでどの程度の時間がかかるのか、労災事故にあわれた方にとっては気になる事項だと思います。ここでは、どの程度の期間で労災が認定されるかについて、一般的な目安について説明します。

  • 会社が証明を拒否した場合、証明欄は空白にし、労基署に事情を説明して提出することもできます。
この記事の内容

労災認定の目安について

厚生労働省が公開している『労災保険 請求(申請)のできる保険給付等』のなかに、労災請求受付から給付決定までの期間についての目安が記載されていますので、請求(申請)内容ごとの期間について表にまとめました。

ケガや病気の治療を受けた場合の給付手続き 請求書を受理してから給付決定までの期間はおおむね1か月ですが、場合によっては、1か月以上を要することもあります。
休業(補償)給付を受けるための手続き 請求書を受理してから給付決定までの期間はおおむね1か月ですが、場合によっては、1か月以上を要することもあります。
後遺障害が残った場合の給付の手続き 請求書を受理してから給付決定までの期間はおおむね3か月ですが、場合によっては、3か月以上を要することもあります。
遺族(補償)年金・一時金を受けるための手続き 請求書を受理してから給付決定までの期間はおおむね4か月ですが、場合によっては、4か月以上を要することもあります。

「労災保険 請求(申請)のできる保険給付等」(厚生労働省)https://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/roudou/gyousei/rousai/dl/091124-1.pdfを加工して作成

早期に労災が認定される事例

『労災保険 請求(申請)のできる保険給付等』に記載されている「災請求受付から給付決定までの期間」について、申請ごとの目安をご紹介しましたが、「ケガや病気の治療を受けた場合の給付手続き申請」や「休業(補償)給付を受けるための手続き」については、問題がなければ1か月程度の日数で、労災認定の可否がはっきりするといえます。
その他に、早期に認定されるための要素についてもご紹介します。

お仕事によるケガであることがきちんと判断できる場合

労災事故の状況が、業務中のケガであることがある程度はっきりしている場合、認定までの日数は1〜3か月程度と、あまりかからないケースが多いといえます。事業主が労災申請をきちんと行い、ケガの状況についての証拠が揃っている場合であれば、1か月程度で認定されることもあります。労基署の業務状況によってはこの限りではありませんが、参考目安としてみてください。

労災認定に時間がかかる事例

一方で、認定に時間がかかるケースもあります。『労災保険 請求(申請)のできる保険給付等』に記載されている「災請求受付から給付決定までの期間」を見ると、後遺障害認定や遺族年金については、認定まで3か月以上の日数がかかります。その他にも、どのような場合に時間がかかるのか、主なケースを紹介します。

うつ病や心疾患などの病気であり、仕事が直接的な原因であるかどうかの判断が難しい場合

労働者が、仕事が原因でうつ病や心疾患を患った場合、病気の発症に関し、仕事が直接的な原因であると判断される必要があります。
すなわち、仕事によるストレスが原因で発症したのか、長時間労働が原因なのか、プライベートで問題を抱え、それが原因で発症したのかといった、発病の原因を多角的に調べる必要があり、医学的な観点からも慎重な判断が求められます。
例えば、長時間労働が原因と考えられる場合、タイムカードなどの客観的な労働時間記録はもちろん、仕事で使用しているパソコンのログやメールのやりとり、被災者が利用しているスマートフォンの使用状況なども確認する場合があり、証拠の収集と分析に時間を要します。悪質な企業の場合、労務管理がずさんでタイムカードなどの記録さえないこともあり、証拠収集に手間取ることもあります。
こうしたことから、うつ病などの精神障害における労災認定や、過労死や過労による自殺が原因と考えられる労災認定の結果が出るまでに、半年から1年以上かかることもあります。

後遺障害の等級認定が絡む場合

仕事での作業中に大ケガを負い治療を行っても事故前の健康な状態に回復せず、身体に障害が残る場合など、治療終了(症状固定)後に残る症状のことを、後遺障害といいます。
労災による後遺障害が、厚生労働省の定めた障害等級に当てはまると認定された場合、障害(補償)給付を受けられますが、この審査は時間がかかることもあります。
労災事故で後遺障害が残った場合、改めて労働基準監督署に障害(補償)給付の申請を行う必要があります。請求を受けた労基署は主治医の診断書をはじめ、医師や本人への聞き取り調査などを行い、認定の判断をします。
こうした調査に時間がかかることや、申請された後遺障害の等級認定判断が難しい場合、認定に時間がかかってしまい、結果が出るまで半年以上かかることもあります。

認定にかかる時間はケースバイケース

ここまで労災が認定されるまでにかかる時間の目安を見てきましたが、認定までにかかる時間はケガの内容や請求内容によって異なることが通常です。
うつ病や心疾患などの病気や、過労自殺といったケースは、認定までに時間がかかることが多いとお伝えしましたが、認定条件となる証拠や記録がきちんとある場合などは、比較的早期に認定されることもあります。
申請から半年を超え、動きがなく不安な場合は、請求(申請)をした労基署へ問い合わせをし、状況を確認してみてください。

後遺障害の認定を受けるには、主治医から後遺障害が残ったことを証明する「後遺障害診断書」を受け取る必要があります。通常であれば、医師から固定症状の判断が見えてきたところで、後遺障害についての説明があると思います。その際、診断書についても聞いておくとよいでしょう。

労災事故による損害賠償請求は弁護士へご相談ください

初回相談は無料です

この記事の監修

小湊 敬祐

Keisuke Kominato

  • 弁護士
  • 上野法律事務所
  • 東京弁護士会所属

労働災害をはじめ、交通事故、未払い残業代請求や相続紛争業務を中心に、ご依頼者の心情に寄り添いながら、さまざまな法律問題でお悩みの方に対し、解決にむけたサポートを行っている。

弁護士詳細

関連コンテンツ

労災に関する基礎知識一覧にもどる