解決事例11
労災事故の損害賠償請求に向けて、ご依頼者の過失が不利にならないよう弁護士が会社側と交渉し、納得のいく解決金の支払いを受けることで和解した事案
担当弁護士
若松 俊樹
M.Uさん・30歳代・男性
- 後遺障害等級
- 14級7号
- 解決方法
- 示談交渉
- 労災支給額
- 約130万円
- 会社からの賠償金額
- 約270万円
- 総額
- 約440万円
ご依頼者の業務内容と当時の災害状況
ご依頼者のM.Uさんは、トンネル内のコンクリート点検作業中、上司の指示でドリルのそばに左手を添えていたところ、上司が誤ってドリルのスイッチを入れたため、M.Uさんの左手指がグローブごと巻き込まれ、左薬指骨折などのケガを負いました。
弁護士にご相談された理由
ご依頼者のM.Uさんは、当初、会社から自爆事故として労災申請するよう要請されたことに不信感を抱き、上司と会社に対する損害賠償請求を検討するためご相談にいらっしゃいました。
解決に向けた弁護士の活動内容
事故が起きた原因は、上司が誤ってスイッチを入れたことにあることは明らかでしたが、他方、上司の指示とはいえご依頼者のM.Uさんがドリルのそばに手を添えていた行為は危険行為として禁止されている行為であったという事情もありました。
このため、仮に裁判となった場合に裁判官によって、相手方代理人の主張する過失割合(30%)より、さらに大きい過失割合を認定されるリスクがありました。
そこで、相手方代理人との交渉ないし双方の提示額、裁判になった場合の展望などをいくつかシミュレーションし、M.Uさんとも検討した結果、既払い額を除いた270万円の解決金(会社の保険から約40万円の追加支給あり)を支払ってもらうことで早期和解となりました。
解決に至ったポイント
本件は、ご依頼者のM.Uさんの側に過失相殺を取られる可能性の高い行為があったため、訴訟提起をすることでかえってこちらに不利な結果となるリスクが十分ある事案であったといえます。
このような場合、不利な事情についても正面から検討したうえで、どのような内容であれば早期和解とした方がよいかを慎重に吟味する必要があります。
こちら側に過失があるケースでも、できるだけ有利な金額での和解を目指して粘り強く交渉を行っていきますので、まずは一度ご相談にいらしていただくことが肝要です。