むちうちの慰謝料相談千葉・茨城・東京

0120-25-4895
(平日・土曜/ 9:00~20:00)
お問い合わせ

むちうちの診断書とテストについて

むち打ちの治療

【記載サンプル】

むち打ちはレントゲンやMRI検査の画像に写りにくい神経症状です。
そのため、後遺症が残っているにも関わらず、医学的な証明がなされずに後遺障害等級認定を受けられないといった事態に至らないよう注意が必要です。
医師と相談の上で以下の検査を受けることが重要です。

①ジャクソンテスト

神経根障害を調べる検査です。
被験者がイスにすわり、医師が後ろにまわり、医師が被験者の頭部を後ろに倒しながら圧迫します。この時、神経根の支配領域である肩、上腕、前腕、手等に痛みやしびれ感が放散した場合に、陽性となります。後遺障害診断書には、痛みやしびれ感の訴えがあるときは「+」に、痛みやしびれ感の訴えがないときは「-」と記載されます。

ジャクソンテスト

②スパーリングテスト

ジャクソンテストと同様に頸部の神経根障害を調べる検査です。
被験者が頭を後ろに反らせた状態で、左や右に傾け、医師が圧を加え、神経根の出口を狭めます。その状態で、神経根から繋がっている肩、腕、手等に痛みやしびれがあるかを調べます。

①ジャクソンテスト、②スパーリングテストの2検査は、被験者の訴えを元にしており、後遺障害認定において決定的なものではありませんが、特定部位に神経症状を自覚していることを検査で実証できるものであり、実施しておくべき検査です。

スパーリングテスト

③深部腱反射テスト

筋肉に伸展刺激を与えた時に起こる、筋萎縮の反応を見る検査です。

深部腱反射テスト

腱に打診をして、正常な反射が返ってくるかどうかを検査します。
代表的な深部反射の中枢と求心・遠心路の対応は以下のようになっています。

求心・遠心路 反射中枢
下顎反射 三叉神経
上腕二頭筋反射 筋皮神経 C5.6(主に5)
腕橈骨筋反射 橈骨神経 C5.6(主に6)
上腕三頭筋反射 橈骨神経 C6~8(主に7)
回内筋反射 正中神経 C6~8
手指屈筋反射 正中神経 C6~Th1
胸筋反射 内・外胸神経 C5~Th1
膝反射 大腿神経 L2~4
下肢内転筋反射 閉鎖神経 L3~4

打診後に異常反応がある場合、せき髄や末梢神経に障害が生じている可能性があります。腱反射は被験者が自ら操作できない部分ですので、後遺障害等級の認定においては重視されている検査です。せき髄や大脳に異常があれば反射が亢進し、神経根や末梢神経に異常がある場合には、反射は低下ないし消失します。

むち打ちの頸椎捻挫に対する深部腱反射テストでは、特に、上腕二頭筋腱反射/上腕三頭筋腱反射/腕橈骨筋反射が重要です。

上腕二頭筋反射:被験者の両上肢を軽く外転させ、肘を約90度前後に曲げてもらいます。肘関節の屈側で上腕二頭筋の腱を検者の左第1指掌側で押さえ、指をハンマーで叩きます。必ず両側を検査して、左右を比較します。

上腕三頭筋反射:被験者に肘関節を約90度屈曲した肢位をとってもらいます。肘関節の約3cm近位部伸側をハンマーで叩きます。必ず両側を検査して、左右を比較します。

腕橈骨筋反射:被験者に両上肢を軽く外転、肘を軽く屈曲、前腕を軽く回内してもらい、手関節の2~3cm近位部で、腕橈骨筋を伸展する方向に橈骨遠位端をハンマーで叩きます。必ず両側を検査して、左右を比較します。

腱反射の評価基準と記載法は、
(+++):著明亢進(指で叩打など、わずかな刺激で誘発)
(++):亢進
(+):正常
(±):低下
(-):消失
となります。

例えば、深部腱反射テストで「低下」または「消失」の所見があり、対応する頚椎に椎間板ヘルニア等による神経婚や脊髄等の圧迫が画像上みられる等の場合には、医学的な証明が可能な状態と評価され、後遺障害12級に認定される可能性があります。

④筋電図検査

筋肉の活動を電気的に記録して筋力低下の有無やその原因が神経疾患によるものか否か等を調べる検査です。
針筋電図によって、筋力低下は神経疾患に原因があるのか、筋肉の異常に原因があるのかについて、判定します。
頸椎または腰椎の神経根の異常を医学的に証明する検査といえます。MRI画像に異常所見があり、筋電図検査においても神経疾患に原因がある筋力低下がみられた場合には、後遺障害12級に認定される可能性があります。

「むちうち」と診断書

「むちうち」が「後遺障害」と認められると、賠償額は、比較的大きな金額になることが多いのですが、「後遺障害」と認められるかどうかは、後遺障害等級認定手続において判断されます(「後遺障害としての等級認定」)。
「後遺障害等級認定」の手続は、治療終了後、医師に「後遺障害診断書(自動車損害賠償責任保険後遺障害診断書)」の作成を依頼し、「検査結果画像」等と併せて提出して、申請します。
この手続は書類審査が中心ですから、書類の内容が「後遺障害等級認定」に必要十分であるかどうかが重要なポイントになります。例えば、「むちうち」の「後遺障害診断書」の場合、事故から症状が一貫して続いている点が記載されているかどうか等を、確認する必要があります。
とはいえ、規定が複雑で医学的知識を必要とする「後遺障害等級認定」の内容を、完全に理解するのは容易ではありません。交通事故に注力している弁護士に相談して、「後遺障害等級認定」の手続に必要十分な内容が「後遺障害診断書」に記載されているか等について、申請前に確認されることをお勧めします。

「むちうち」と病院での「検査」について

交通事故で受傷した場合の「検査」には、

  • 骨の全体像を撮影して骨折などの異常の有無を調べるためのレントゲン検査(X線撮影検査:Xーray Photograph)
  • レントゲンではわからない骨折の有無や骨折の詳しい内容等を調べるためのCT検査(コンピュータ断層撮影法:Computed Tomography)
  • 靭帯や筋肉など生体内を断層的に見るためのMRI検査(核磁気共鳴画像法検査:Magnetic Resonance Imaging)
などがあります。

さらに、「むちうち」の症状には、痛み・しびれ・麻痺等の神経症状が現れる場合がありますので、「神経学的検査」も受けることが大切です。「神経学的検査」には、

  • 関節可動域検査
  • 徒手筋力検査
  • 筋萎縮検査
  • 神経根症状誘発テスト(スパーリングテスト、ジャクソンテスト等)
  • 知覚検査
  • 握力検査
  • 深部腱反射検査
などがあります。

これらの「検査」は、適切な治療を行うために実施されるものですが、治療終了後に、加害者に対して賠償金の請求を行う際の、証拠としても活用されます。「治療」の面でも「立証活動」の面でも、医療機関で適切な検査を受けることは非常に重要です。