後遺障害10級の主な症状や慰謝料の相場について
calendar_today公開日:
event_repeat最終更新日:2023年07月07日
等級別による後遺障害の内容について交通事故による後遺障害について
交通事故被害で後遺症が残った場合、後遺障害等級認定の申請手続きを行うことで、症状内容に応じた等級認定を受けられる可能性があります。
ここでは、後遺障害10級が認定される主な症状や慰謝料の相場について解説します。
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後遺障害10級の認定基準について
後遺障害10級は、障害の部位や内容によって、1号から11号までに分けられています。
認定された場合の労働能力喪失率は、基本的に27%とされます。
各号の後遺障害の内容と認定基準は以下のとおりです。
目の障害
10級1号・2号は目の障害です。
10級1号
後遺障害の内容 |
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1眼の視力が0.1以下になったもの |
認定基準 |
片目の矯正視力が、万国式試視力表(ランドルト環の切れ目を見分ける通常の視力検査の方法)による視力測定で0.1以下になったもの |
10級2号
後遺障害の内容 |
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正面を見た場合に複視の症状を残すもの |
認定基準 |
次のいずれにも該当するもので、ヘススクリーンテスト(指標を赤緑ガラスで見たときの片目の赤い像・反対の目の緑の像から両目の位置のズレを評価する検査方法)により正面を見たときに複視が中心の位置にあることが確認されたもの a 本人が複視の症状のあることを自覚していること b 眼筋の麻痺等、複視を残す明らかな原因が認められること c ヘススクリーンテストにより患側の像が水平方向又は垂直方向の目盛りで5度以上離れた位置にあることが確認されること |
口の障害
10級3号・4号は口の障害です。
10級3号
後遺障害の内容 |
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咀嚼又は言語の機能に障害を残すもの |
認定基準 |
・固形食物の中に咀嚼できないものがあること又は咀嚼が十分にできないものがあり、そのことが医学的に確認できる場合。 具体的には、不正咬合・咀嚼関与筋群の異常・顎関節の障害・開口障害・補綴できない歯牙損傷等の咀嚼障害の原因が医学的に確認でき、かつ、ご飯・煮魚・ハム等は咀嚼できるが、沢庵・らっきょう・ピーナッツ等の一定の固さの食物中に咀嚼できないまたは咀嚼が十分にできないものがあること ・4種の語音(ま行などの口唇音・な行などの歯舌音・か行などの口蓋音・は行の咽頭音)のうち1種が発音不能であるもの |
10級4号
後遺障害の内容 |
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14歯以上に歯科補綴を加えたもの |
認定基準 |
14本以上の現実にそう失又は著しく欠損した歯に補綴(インプラント、クラウン、入れ歯など)を加えたもの |
耳の障害
10級5号・6号は耳の障害です。
10級5号
後遺障害の内容 |
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両耳の聴力が1メートル以上の距離では普通の話声を解することが困難である程度になったもの |
認定基準 |
・両耳の平均純音聴力レベル(どこまで小さな音を聞き取れるかの程度)が50dB以上のもの ・両耳の平均純音聴力レベルが40dB以上であり、かつ最高明瞭度(言葉を聞き取れる程度)が70%以下のもの |
10級6号
後遺障害の内容 |
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1耳の聴力が耳に接しなければ大声を解することができない程度になったもの |
認定基準 |
1耳の平均純音聴力レベル(どこまで小さな音を聞き取れるかの程度)が80dB以上90dB未満のもの |
上肢の障害
10級7号・10号は上肢の障害です。
10級7号
後遺障害の内容 |
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1手のおや指又はおや指以外の2の手指の用を廃したもの |
認定基準 |
片手のおや指1本、又は人差指~小指のうち2本について、手指の末節骨(指の先端側の骨)の半分以上を失い、又は中手指節関節(指の付け根側の関節)若しくは近位指節間関節(おや指にあっては指節間関節。指の真ん中の関節)に著しい運動障害を残すもの 具体的には a 手指の末節骨の長さの1/2以上を失ったもの b 中手指節関節又は近位指節間関節(おや指にあっては指節間関節)の可動域が健側の可動域角度の1/2以下に制限されるもの c おや指については、橈側外転(おや指を人差指から離す動き)又は掌側外転(おや指を掌から離す動き)のいずれかが健側の1/2以下に制限されているもの d 手指の末節(第1関節から先)の指腹部及び側部の深部感覚及び表在感覚が完全に脱失したもの |
10級10号
後遺障害の内容 |
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1上肢の3大関節中の1関節の機能に著しい障害を残すもの |
認定基準 |
片側の肩関節・肘関節・手関節のいずれか1つの関節が、次のいずれかに該当するもの a 関節の可動域が健側の可動域角度の1/2以下に制限されているもの b 人工関節・人工骨頭を挿入置換した関節のうち、可動域が健側の可動域角度の1/2を超えるもの |
下肢の障害
10級8号・9号・11号は下肢の障害です。
10級8号
後遺障害の内容 |
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1下肢を3センチメートル以上短縮したもの |
認定基準 |
上前腸骨棘(骨盤の外側の張り出した部分)と下腿内果下端(内くるぶし)間の長さを健側と比較して3センチメートル以上差が生じているもの |
10級9号
後遺障害の内容 |
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1足の第1の足指又は他の4指を失ったもの |
認定基準 |
片足のおや指1本、又は人差指~小指の計4本について、その全部を失ったもの。具体的には中足指節関節(指の付け根側の関節)から失ったもの |
10級11号
後遺障害の内容 |
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1下肢の3大関節中の1関節の機能に著しい障害を残すもの |
認定基準 |
片側の股関節・膝関節・足関節のうち1つの関節について、次のいずれかに該当するもの a 関節の可動域が健側の可動域角度の1/2以下に制限されているもの b 人工関節・人工骨頭を挿入置換した関節のうち、可動域が健側の可動域角度の1/2を超えるもの |
後遺障害10級に関する慰謝料の相場
後遺障害慰謝料には、自賠責基準・任意保険会社基準・裁判基準の3つの基準があります。
後遺障害10級の場合、自賠責保険による慰謝料金額(自賠責基準)は、190万円になります。これは、被害者救済のための最低限の補償のための基準です。
加害者側保険会社が示談提案する際の基準(任意保険会社基準)は、自賠責基準を下回らないものとされており、190万円よりは高い金額の提示がなされることが多いです。
もっとも、本来被害者が受け取るべき慰謝料水準よりは低い提示がなされることがほとんどです。
一方、裁判所が認定する慰謝料の相場(裁判基準)は、10級の場合、550万円です。裁判基準慰謝料が、後遺障害による精神的苦痛をてん補する賠償金の満額となります。
そして、弁護士が代理人として加害者側保険会社との交渉・裁判を行う場合、裁判基準に準ずる請求を行います。
後遺障害による苦痛について、適正な慰謝料を受け取るためには、弁護士に相談・依頼することを検討するのがよいでしょう。
交通事故被害による示談交渉は弁護士にご相談ください
この記事の監修
交通事故の被害者の方は、ただでさえケガの痛みで苦しい思いをされているなかで、初めての諸手続きの大変さや先の見通しの不安を抱えて生活されています。弁護士は医者と違い、ケガの痛みを癒すことはできませんが、不安を取り除くともに、適正な賠償を受ける手助けをできれば幸いです。
弁護士三浦 知草
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上野法律事務所
- 東京弁護士会
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