交通事故被害の基礎知識

後遺障害2級の主な症状や慰謝料の相場について

後遺障害2級の主な症状や慰謝料の相場について

交通事故被害で後遺症が残った場合、後遺障害等級認定の申請手続きを行うことで、症状内容に応じた等級認定を受けられる可能性があります。
ここでは、後遺障害2級が認定される主な症状や慰謝料の相場について解説します。

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この記事の内容

後遺障害2級の認定基準について

後遺障害2級は、大きく、介護を要する後遺障害(別表Ⅰ)と、その他の後遺障害(別表Ⅱ)に区分されます。

さらに、介護を要する後遺障害は1号と2号に区分され、その他の後遺障害は1号から4号までに分けられています。

認定された場合の労働能力喪失率は、基本的に100%とされます。

各号の後遺障害の内容と認定基準は以下のとおりです。

介護を要する後遺障害(別表Ⅰ)

介護を要する後遺障害は、以下のとおりです。

神経系統の障害(別表Ⅰ・2級1号)

後遺障害の内容
神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、随時介護を要するもの
認定基準
高次脳機能障害
(器質性精神障害)
高次脳機能障害のため、生命維持に必要な身の回り処理の動作について、随時介護を要するもの
具体的には、以下のものが該当する。
a 重篤な高次脳機能障害のため、食事・入浴・用便・更衣等に随時介護を要するもの
b 高次脳機能障害による認知症、情意の障害、幻覚、妄想、頻回の発作性意識障害等のため随時他人による監視を必要とするもの
c 重篤な高次脳機能障害のため自宅内の日常生活動作は一応できるが、1人で外出することなどが困難であり、外出の際には他人の介護を必要とするため、随時他人の介護を必要とするもの
身体性機能障害 身体性機能障害のため、生命維持に必要な身の回り処理の動作について、随時介護を要するもの
具体的には、以下のものが該当する。
a 高度の片麻痺が認められるもの
b 中等度の四肢麻痺であって、食事・入浴・用便・更衣等について随時介護を必要とするもの
脊髄損傷 脊髄損傷のため、生命維持に必要な身の回り処理の動作について、随時介護を要するもの
具体的には、以下のものが該当する。
a 中等度の四肢麻痺が認められるもの
b 軽度の四肢麻痺であって、食事・入浴・用便・更衣等について随時介護を要するもの
c 中等度の対麻痺であって、食事・入浴・用便・更衣等について随時介護を要するもの

胸腹部臓器の障害(別表Ⅰ・2級2号)

後遺障害の内容
胸腹部臓器の機能に著しい障害を残し、随時介護を要するもの
認定基準
呼吸器の障害 動脈血酸素分圧が50Torr以下のもので、呼吸機能の低下により随時介護が必要なもの
動脈血酸素分圧が50Torrを超え60Torr以下であり、動脈血炭酸ガス分圧が限界値範囲内にないもので、かつ、呼吸機能の低下により随時介護が必要なもの
スパイロメトリーの結果が、%1秒量が35以下又は%肺活量が40以下のもので、高度の呼吸困難が認められ、かつ、呼吸機能の低下により随時介護が必要なもの
「高度の呼吸困難」とは、呼吸困難のため、連続して概ね100m以上歩けないものをいう。

その他の後遺障害(別表Ⅱ)

その他の後遺障害は以下のとおりです。

眼の障害

2級1号・2号は眼の障害です。

別表Ⅱ・2級1号

後遺障害の内容
1眼が失明し、他眼の視力が0.02以下になったもの
認定基準
片眼が失明(眼球を亡失・摘出したもの、明暗を弁じ得ないもの、明暗をようやく弁じることができる程度のもの)し、もう一方の眼の矯正視力が、万国式試視力表による視力検査(ランドルト環の切れ目を見分ける通常の視力検査)において0.02以下となったもの

別表Ⅱ・2級2号

後遺障害の内容
両眼の視力が0.02以下になったもの
認定基準
両眼の矯正視力が、万国式試視力表による視力検査(ランドルト環の切れ目を見分ける通常の視力検査)において0.02以下となったもの

上肢の障害(別表Ⅱ・2級3号)

後遺障害の内容
両上肢を手関節以上で失ったもの
認定基準
両腕について次のいずれかに該当するもの
a 肘関節と手関節の間において上肢を離断したもの
b 手関節において、橈骨及び尺骨(前腕の2本の骨)と手根骨(手に付け根部分の8つの骨の総称)とを切断したもの

下肢の障害(別表Ⅱ・2級4号)

後遺障害の内容
両下肢を足関節以上で失ったもの
認定基準
両脚について次のいずれかに該当するもの
a 膝関節と足関節の間において切断したもの
b 足関節において、脛骨及び腓骨(すね部分の2本の骨)と距骨(すね部分と足部分をつなぐ位置にある足首の骨)とを離断したもの

後遺障害2級に関する慰謝料の相場

後遺障害慰謝料には、自賠責基準・任意保険会社基準・裁判基準の3つの基準があります。

後遺障害2級の場合、自賠責保険による慰謝料金額(自賠責基準)は、介護を要するもの(別表Ⅰ)で1163万円、その他の後遺障害は(別表Ⅱ)で958万円になります。これは、被害者救済のための最低限の補償のための基準です。

加害者側保険会社が示談提案する際の基準(任意保険会社基準)は、自賠責基準を下回らないものとされており、別表Ⅰの場合1163万円、別表Ⅱの場合958万円よりは高い金額の提示がなされることが多いです。

もっとも、本来被害者が受け取るべき慰謝料水準よりは低い提示がなされることがほとんどです。

一方、裁判所が認定する慰謝料の相場(裁判基準)は、2級の場合、2370万円です。裁判基準慰謝料が、後遺障害による精神的苦痛をてん補する賠償金の満額となります。

また、2級の場合、被害者ご本人の慰謝料だけでなく、近親者(親・子・配偶者等)に固有の慰謝料請求権が認められることもあります。

弁護士が代理人として加害者側保険会社との交渉・裁判を行う場合、裁判基準に準ずる請求を行います。

後遺障害2級は非常に重篤な障害であり、被害者ご本人や家族の今後の生活の不安を解消するためにも、適正な慰謝料請求が必要です。

後遺障害による苦痛について、適正な慰謝料を受け取るためには、弁護士に相談・依頼することを検討するのがよいでしょう。

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この記事の監修

交通事故の被害者の方は、ただでさえケガの痛みで苦しい思いをされているなかで、初めての諸手続きの大変さや先の見通しの不安を抱えて生活されています。弁護士は医者と違い、ケガの痛みを癒すことはできませんが、不安を取り除くともに、適正な賠償を受ける手助けをできれば幸いです。

弁護士三浦 知草

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