後遺障害1級の主な症状や慰謝料の相場について
calendar_today公開日:
event_repeat最終更新日:2023年07月07日
等級別による後遺障害の内容について交通事故による後遺障害について
交通事故被害で後遺症が残った場合、後遺障害等級認定の申請手続きを行うことで、症状内容に応じた等級認定を受けられる可能性があります。
ここでは、後遺障害1級が認定される主な症状や慰謝料の相場について解説します。
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後遺障害1級の認定基準について
後遺障害1級は、大きく、介護を要する後遺障害(別表Ⅰ)と、その他の後遺障害(別表Ⅱ)に区分されます。
さらに、介護を要する後遺障害は1号と2号に区分され、その他の後遺障害は1号から6号までに分けられています。
認定された場合の労働能力喪失率は、基本的に100%とされます。
各号の後遺障害の内容と認定基準は以下のとおりです。
介護を要する後遺障害(別表Ⅰ)
介護を要する後遺障害は、以下のとおりです。
神経系統の障害(別表Ⅰ・1級1号)
後遺障害の内容 | |
---|---|
神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、常に介護を要するもの | |
認定基準 | |
高次脳機能障害 (器質性精神障害) |
高次脳機能障害のため、生命維持に必要な身の回り処理の動作について、常に他人の介護を要するもの 具体的には、以下のものが該当する。 a 重篤な高次脳機能障害のため、食事・入浴・用便・更衣等に常時介護を要するもの b 高次脳機能障害による高度の認知症や情意の荒廃があるため、常時監視を要するもの |
身体性機能障害 | 身体性機能障害のため、生命維持に必要な身の回り処理の動作について、常に他人の介護を要するもの 具体的には、以下のものが該当する。 a 高度の四肢麻痺が認められるもの b 中等度の四肢麻痺であって、食事・入浴・用便・更衣等について常時介護を要するもの c 高度の片麻痺であって、食事・入浴・用便・更衣等について常時介護を要するもの |
脊髄損傷 | 脊髄損傷のため、生命維持に必要な身の回り処理の動作について、常に他人の介護を要するもの 具体的には、以下のものが該当する。 a 高度の四肢麻痺が認められるもの b 高度の対麻痺が認められるもの c 中等度の四肢麻痺であって、食事・入浴・用便・更衣等について常時介護を要するもの d 中等度の対麻痺であって、食事・入浴・用便・更衣等について常時介護を要するもの |
胸腹部臓器の障害(別表Ⅰ・1級2号)
後遺障害の内容 | |
---|---|
胸腹部臓器の機能に著しい障害を残し、常に介護を要するもの | |
認定基準 | |
呼吸器の障害 | 動脈血酸素分圧が50Torr以下のもので、呼吸機能の低下により常時介護が必要なもの |
動脈血酸素分圧が50Torrを超え60Torr以下であり、動脈血炭酸ガス分圧が限界値範囲内にないもので、かつ、呼吸機能の低下により常時介護が必要なもの | |
スパイロメトリーの結果が、%1秒量が35以下又は%肺活量が40以下のもので、高度の呼吸困難が認められ、かつ、呼吸機能の低下により常時介護が必要なもの 「高度の呼吸困難」とは、呼吸困難のため、連続して概ね100m以上歩けないものをいう。 |
その他の後遺障害(別表Ⅱ)
その他の後遺障害は以下のとおりです。
目の障害(別表Ⅱ・1級1号)
後遺障害の内容 |
---|
両眼が失明したもの |
認定基準 |
両眼について、眼球を亡失・摘出したもの、明暗を弁じ得ないもの、又は、ようやく明暗を弁ずることができる程度のもの |
口の障害(別表Ⅱ・1級2号)
後遺障害の内容 |
---|
咀嚼及び言語の機能を廃したもの |
認定基準 |
流動食以外は摂取できず、かつ、4種の語音(ま行などの口唇音・な行などの歯舌音・か行などの口蓋音・は行の咽頭音)のうち、3種以上の発音不能のもの |
上肢の障害
1級3号・4号は上肢の障害です。
別表Ⅱ・1級3号
後遺障害の内容 |
---|
両上肢を肘関節以上で失ったもの |
認定基準 |
両腕について、次のいずれかに該当するもの a 肩関節において、肩甲骨と上腕骨を離断したもの b 肩関節と肘関節の間において上肢を切断したもの c 肘関節において、上腕骨と橈骨及び尺骨(前腕の2本の骨)とを離断したもの |
別表Ⅱ・1級4号
後遺障害の内容 |
---|
両上肢の用を全廃したもの |
認定基準 |
3大関節(肩関節・肘関節・手関節)の全てが強直し、かつ、手指の全部の用を廃したもの。 上腕神経叢の完全麻痺(上肢を支配する神経根が脊髄から引き抜ける等して、上肢の運動機能と感覚機能の両方が完全に失われた状態)もこれに含まれる。 |
下肢の障害
1級5号・6号は下肢の障害です。
別表Ⅱ・1級5号
後遺障害の内容 |
---|
両下肢を膝関節以上で失ったもの |
認定基準 |
両脚について、次のいずれかに該当するもの a 股関節において寛骨(大腿骨骨頭の受け皿となる骨盤側の骨)と大腿骨を離断したもの b 股関節と膝関節との間において切断したもの c 膝関節において、大腿骨と脛骨及び腓骨(すね部分の2本の骨)とを離断したもの |
別表Ⅱ・1級6号
後遺障害の内容 |
---|
両下肢の用を全廃したもの |
認定基準 |
3大関節(股関節・膝関節・足関節)の全てが強直したもの。なお、3大関節が強直したことに加え、足指全部が強直したものもこれに含まれる。 |
後遺障害1級に関する慰謝料の相場
後遺障害慰謝料には、自賠責基準・任意保険会社基準・裁判基準の3つの基準があります。
後遺障害1級の場合、自賠責保険による慰謝料金額(自賠責基準)は、介護を要するもの(別表Ⅰ)で1650万円、その他の後遺障害(別表Ⅱ)で1150万円になります。これは、被害者救済のための最低限の補償のための基準です。
加害者側保険会社が示談提案する際の基準(任意保険会社基準)は、自賠責基準を下回らないものとされており、別表Ⅰの場合で1650万円、別表Ⅱの場合で1150万円よりは高い金額の提示がなされることが多いです。
もっとも、本来被害者が受け取るべき慰謝料水準よりは低い提示がなされることがほとんどです。
一方、裁判所が認定する慰謝料の相場(裁判基準)は、1級の場合、2800万円です。裁判基準慰謝料が、後遺障害による精神的苦痛をてん補する賠償金の満額となります。
また、1級の場合、被害者ご本人の慰謝料だけでなく、近親者(親・子・配偶者等)に固有の慰謝料請求権が認められるケースが多くあります。
弁護士が代理人として加害者側保険会社との交渉・裁判を行う場合、裁判基準に準ずる請求を行います。
後遺障害1級は最も重篤な障害であり、被害者ご本人や家族の今後の生活の不安を解消するためにも、適正な慰謝料請求が必要です。
後遺障害による苦痛について、適正な慰謝料を受け取るためには、弁護士に相談・依頼することを検討するのがよいでしょう。
交通事故被害による示談交渉は弁護士にご相談ください
この記事の監修
交通事故の被害者の方は、ただでさえケガの痛みで苦しい思いをされているなかで、初めての諸手続きの大変さや先の見通しの不安を抱えて生活されています。弁護士は医者と違い、ケガの痛みを癒すことはできませんが、不安を取り除くともに、適正な賠償を受ける手助けをできれば幸いです。
弁護士三浦 知草
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上野法律事務所
- 東京弁護士会
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