後遺障害11級の主な症状や慰謝料の相場について
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event_repeat最終更新日:2023年07月07日
等級別による後遺障害の内容について交通事故による後遺障害について
交通事故被害で後遺症が残った場合、後遺障害等級認定の申請手続きを行うことで、症状内容に応じた等級認定を受けられる可能性があります。
ここでは、後遺障害11級が認定される主な症状や慰謝料の相場について解説します。
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後遺障害11級の認定基準について
後遺障害11級は、障害の部位や内容によって、1号から10号までに分けられています。
認定された場合の労働能力喪失率は、基本的に20%とされます。
各号の後遺障害の内容と認定基準は以下のとおりです。
目の障害
11級1号~3号は目の障害です。
11級1号
後遺障害の内容 |
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両眼の眼球に著しい調節機能障害又は運動障害を残すもの |
認定基準 |
・調節力(明視できる遠点から近点までの距離的な範囲をレンズに換算した値)が通常の場合の1/2以下に減じたもの ・両目の眼球の注視野(頭部を固定し、眼球を運動させて直視することができる範囲)の広さが1/2以下に減じたもの |
11級2号
後遺障害の内容 |
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両眼のまぶたに著しい運動障害を残すもの |
認定基準 |
・両目について、普通に目を開けた場合に、瞳孔領(くろめ)を完全に覆うもの ・両目について、普通に目を閉じた場合に、角膜(くろめ)を完全に覆い得ないもの |
11級3号
後遺障害の内容 |
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1眼のまぶたに著しい欠損を残すもの |
認定基準 |
片目について、普通に目を閉じた場合に、角膜(くろめ)を完全に覆い得ない程度のもの |
歯の障害(11級4号)
後遺障害の内容 |
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10歯以上に対し歯科補綴を加えたもの |
認定基準 |
10本以上の現実にそう失又は著しく欠損した歯に補綴(インプラント、クラウン、入れ歯など)を加えたもの |
耳の障害
11級5号・6号は耳の障害です。
11級5号
後遺障害の内容 |
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両耳の聴力が1メートル以上の距離では小声を解することができない程度になったもの |
認定基準 |
両耳の平均純音聴力レベル(どこまで小さな音を聞き取れるかの程度)が40dB以上のもの |
11級6号
後遺障害の内容 |
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1耳の聴力が40センチメートル以上の距離では普通の話声を解することができない程度になったもの |
認定基準 |
・1耳の平均純音聴力レベル(どこまで小さな音を聞き取れるかの程度)が70dB以上80dB未満のもの ・1耳の平均純音聴力レベルが50dB以上であり、かつ、最高明瞭度(言葉を聞き取れる程度)が50%以下のもの |
体幹骨の障害(11級7号)
後遺障害の内容 |
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脊柱に変形を残すもの |
認定基準 |
次のいずれかに該当するもの a 脊椎圧迫骨折等を残しており、そのことがエックス線写真等により確認できるもの b 脊椎固定術(脊椎の一部を固定することで安定を図る手術)が行われたもの(移植した骨がいずれかの脊椎に吸収されたものを除く) c 3個以上の脊椎について、椎弓切除術等の椎弓形成術(椎弓を切り広げて脊髄への圧迫を取り除く手術)を受けたもの |
上肢の障害(11級8号)
後遺障害の内容 |
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1手の人差指、中指又は薬指を失ったもの |
認定基準 |
1手の人差指・中指・薬指のいずれかを、近位指節間関節(指の真ん中の関節)以上で失ったもの。 具体的には a 手指を中手骨(手の甲部分の骨)又は基節骨(指の付け根側の骨)で切断したもの b 近位指節間関節において、基節骨と中節骨(指の真ん中の骨)とを離断したもの |
下肢の障害(11号9号)
後遺障害の内容 |
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1足の第1の足指を含み2以上の足指の用を廃したもの |
認定基準 |
おや指と人差指~小指のいずれか1本の計2本以上について、 おや指は末節骨(指の先端側の骨)の半分以上、その他の足指は遠位指節間関節(指の先端側の関節)以上を失ったもの、又は中足指節関節(指の付け根側の関節)若しくは近位指節間関節(おや指にあっては指節間関節。指の真ん中の関節)に著しい運動障害を残すもの 具体的には a おや指の末節骨の長さの1/2以上を失ったもの b おや指以外の足指を中節骨(指の真ん中の骨)若しくは基節骨(指の付け根側の骨)を切断したもの又は遠位指節間関節若しくは近位指節間関節において離断したもの c 中足指節関節又は近位指節間関節(おや指にあっては指節間関節)の可動域は健側の可動域角度の1/2以下に制限されるもの |
腹部臓器の障害(11級10号)
後遺障害の内容 | |
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胸腹部臓器の機能に障害を残し、労務の遂行に相当な程度の支障があるもの (通常の労務に服することはできるが、機能の障害の存在が明確であって労務に支障を来すもの) |
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認定基準 | |
呼吸器の障害 | 動脈血酸素分圧が70Torr以上、かつ、動脈血炭酸ガス分圧が限界値範囲にないもので、以下のいずれかに該当するもの a スパイロメトリーの結果が%1秒量35以下又は%肺活量が40以下で、軽度の呼吸困難※が認められるもの b スパイロメトリーの結果が%1秒量35を超え55以下又は%肺活量が40を超え60以下で、軽度の呼吸困難が認められるもの c スパイロメトリーの結果が%1秒量55を超え70以下又は%肺活量が60を超え80以下で、高度・中等度・軽度の呼吸困難※が認められるもの ※高度の呼吸困難は、連続して概ね100m以上歩けないもの。 中等度の呼吸困難は、平地でさえ健常者と同様に歩けないが、自分のペースでなら1km程度の歩行が可能であるもの。 軽度の呼吸困難は、健常者と同様には階段の昇降ができないもの。 d a〜cには当たらないものの、呼吸機能の低下による呼吸困難が見られ、運動負荷試験の結果から明らかに呼吸機能に障害があると認められるもの |
循環器の障害 | 心機能の低下による運動耐容能の低下が軽度のもの。 概ね8METsを超える強度の身体活動が制限されるもの(平地を急いで歩く・健常者と同じ速度で階段を上がるといった身体活動に支障はないものの、それ以上激しいか、急激な身体活動が制限されるもの) |
心臓の房室弁または大動脈弁を置換したもので、継続的に抗凝血薬療法を受けていないもの | |
大動脈に偽腔開存型の解離を残すもの | |
胃の障害 | 胃の切除によって、a〜cのいずれか1つが認められるもの a 消化吸収障害(胃の全部を亡失したこと、または胃の一部を亡失し、かつ低体重等が認められること) b ダンピング症候群(胃の全部又は一部を亡失しており、かつ、食後30分以内に出現するめまい・起立不能等の早期ダンピング症候群に起因する症状または食後2〜3時間後に出現する全身脱力感・めまいなど晩期ダンピング症候群に起因する症状が認められること) c 胃切除後逆流性食道炎(胃の全部又は一部を亡失しており、かつ、胸焼け・胸痛・嚥下困難等の胃切除術後の逆流性食道炎に起因する自覚症状があり、内視鏡検査により食道にびらん・潰瘍等の胃切除術後の逆流性食道炎に起因する所見が確認されるもの) |
小腸の障害 | 小腸を大量に切除したもの(残存する空腸及び回腸の長さが100cmを超え300cm未満となったもので、消化吸収障害が認められるもの) |
小腸皮膚瘻(ろう)を残すもの(瘻孔から少量ではあるが明らかに小腸の内容が漏出する程度のもの) | |
小腸に狭窄を残すもの。次のいずれにも該当するものをいう。 a 1か月に1回以上、腹痛・腹部膨満感・嘔気・嘔吐等の症状が認められること b 単純エックス線像においてケルクリングひだ像が認められること |
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大腸の障害 | 大腸を大量に切除したもの(結腸のすべてを切除する等、大腸のほとんどを切除したもの) |
大腸皮膚瘻を残すもの(瘻孔から瘻孔から少量ではあるが明らかに大腸の内容が漏出する程度のもの) | |
大腸に狭窄を残すもので、次のいずれにも該当するもの a 1か月に1回以上、腹痛・腹部膨満感等の症状が認められること b 単純エックス線像において、貯留した大量のガス等により結腸膨起が相当区間認められること |
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肝臓の障害 | 慢性肝炎(ウイルスの持続感染が認められ、かつ、AST・ALTが持続的に低値であるものに限る。) |
膵臓の障害 | 外分泌機能の障害又は内分泌機能の障害のいずれかが認められるもの 外分泌機能の障害とは、次のいずれにも該当するものをいう。 a 上腹部痛・脂肪便(常食摂取で1日糞便中脂肪が6g以上であるもの)・頻回の下痢等の症状が認められること b 次のいずれかに該当すること (a) 膵臓を一部切除したこと (b) BT-PABA(PFD)試験で異常低値(70%未満)を示すこと (c) 糞便中キモトリプシン活性で異常低値(24U/g未満)を示すこと (d) アミラーゼ又はエラスターゼの異常低値を認めるもの 内分泌機能の障害とは、次のいずれにも該当するものをいう。 a 異なる日に行った経口糖負荷試験によって、境界型又は糖尿病型であることが2回以上確認されること b 空腹時血漿中のC―ペプチド(CPR)が0.5ng/ml以下(インスリン異常低値)であること c Ⅱ型糖尿病に該当しないこと |
ヘルニアを残すもの | 腹壁瘢痕ヘルニア・腹壁ヘルニア・鼠径ヘルニア・内ヘルニアを残すもので、重激な業務に従事した場合等、腹圧が強くかかるときにヘルニアの脱出・膨隆が認められるもの |
腎臓の障害 | 1側の腎臓を亡失したもので、GFR(腎臓の糸球体が老廃物等をろ過する能力)が70ml/分を超え90ml/以下のもの |
腎臓を失っていないもので、GFRが50ml/分を超え70ml/以下のもの | |
その他泌尿器の障害 | 尿路変向術を行ったもののうち、外尿道口形成術を受けたもの(外性器亡失といずれか高い方の等級が認定される) |
尿路変向術を行ったもののうち、尿道カテーテルを留置したもの | |
膀胱の機能の障害により、残尿が50ml以上100ml未満であるもの | |
尿道狭窄のため、糸状ブジー(尿道を拡張するための細い器具)を必要とするもの | |
切迫性尿失禁又は腹圧性尿失禁を残すもので、常時パット等の装着は要しないが、下着が少し濡れるもの | |
頻尿を残すもの。次のいずれにも該当するものをいう。 a 器質的病変による膀胱容量の器質的な減少又は膀胱若しくは尿道の支配神経の損傷が認められること b 日中8回以上の排尿が認められること c 多飲等の他の原因が認められること |
後遺障害11級に関する慰謝料の相場
後遺障害慰謝料には、自賠責基準・任意保険会社基準・裁判基準の3つの基準があります。
後遺障害11級の場合、自賠責保険による慰謝料金額(自賠責基準)は、136万円になります。これは、被害者救済のための最低限の補償のための基準です。
加害者側保険会社が示談提案する際の基準(任意保険会社基準)は、自賠責基準を下回らないものとされており、136万円よりは高い金額の提示がなされることが多いです。
もっとも、本来被害者が受け取るべき慰謝料水準よりは低い提示がなされることがほとんどです。
一方、裁判所が認定する慰謝料の相場(裁判基準)は、11級の場合、420万円です。裁判基準慰謝料が、後遺障害による精神的苦痛をてん補する賠償金の満額となります。
そして、弁護士が代理人として加害者側保険会社との交渉・裁判を行う場合、裁判基準に準ずる請求を行います。
後遺障害による苦痛について、適正な慰謝料を受け取るためには、弁護士に相談・依頼することを検討するのがよいでしょう。
交通事故被害による示談交渉は弁護士にご相談ください
この記事の監修
交通事故の被害者の方は、ただでさえケガの痛みで苦しい思いをされているなかで、初めての諸手続きの大変さや先の見通しの不安を抱えて生活されています。弁護士は医者と違い、ケガの痛みを癒すことはできませんが、不安を取り除くともに、適正な賠償を受ける手助けをできれば幸いです。
弁護士三浦 知草
-
上野法律事務所
- 東京弁護士会
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