被害者のご家族の方

「高次脳機能障害」とは?

高次脳機能障害とは、記憶力が落ちたり、計画の段取りができなくなったり、感情のコントロールができなくなったりなど、脳の損傷によって認知障害や行動障害、人格変化を起こしてしまう障害の総称です。

こんな症状はありませんか?「高次脳機能障害」の症状をチェック

交通事故前と後を比べて、こんな症状は出ていませんか?
ご本人だけでなく、ご家族の方が比べて気づいてあげてください。

  • 話していて言葉が上手く出てこなかったり、同じ言葉を何度も言ってしまう。
  • 文章が上手く書けなかったり、数字がわからないことがある。
  • 些細なことですぐに怒ったり、泣いたり、感情の変化が激しくなった。
  • ぼーっとしたり、注意散漫になったりして、ミスが増えた。
  • 計画性のない、突発的な行動が増えた。
  • 味覚や嗅覚の変化で好みが変わった。
  • 物忘れが増えた。
  • 歯磨きや着替えなど、日常の動作が上手くできなくなった。
  • 「空気が読めない」と感じることが増えた。

高次脳機能障害は一見してわかりにくく、本人も症状の自覚がないので「隠れた後遺症」と言われることもあります。症状もその度合いも人によってさまざまで、被害者本人が「事故後に変わった」と自覚できないことも特徴のひとつです。表面的には何も以上がないため、家族が気づいてあげることが高次脳機能障害の早期発見につながります。
チェックポイントの症状のように、「なんかおかしいな」「いつもと違うな」「交通事故にあってから性格が変わったな」と思ったら、医療機関で適切な検査や治療、サポートを受けてください。

「高次脳機能障害」の原因とメカニズム

高次脳機能障害は「脳の神経回路の損傷」が原因です。
脳の病気、または事故によって脳に大きな衝撃を受けたときに、脳の神経回路の神経線維がダメージを受けたり、酸素やブドウ糖がうまく補給できなくなって一部の細胞が死んでしまいます。
交通事故による高次脳機能障害の場合は

  1. 頭部に衝撃が加わり、脳挫傷、頭蓋内血腫など脳の一部が損傷(局在性脳損傷)して高次脳機能障害になる場合。
  2. 急激な回転しながらの衝撃が脳に加わった結果、脳内の神経線維(軸索)が広範囲に断裂・せん断(一次性びまん性軸索損傷)して高次脳機能障害になる場合。
  3. 一次性びまん性脳損傷のほか、事故後に頭蓋内血腫や脳膨張が発生(二次性びまん性軸索損傷)して高次脳機能障害になる場合。

「高次脳機能障害」の具体的な症状と必要な検査

交通事故にあった後、それまでの生活と比べて、被害者の言動に違和感を覚えたら高次脳機能障害の症状が出ている疑いがあります。適宜、医療機関で検査を受けてください。

記憶障害
概要 脳の側頭葉内側の損傷によって起こる障害です。
前向性健忘:新しいことを記憶できない、記憶しにくい。
逆行性健忘:過去のできごとを思い出せない、思い出しにくい。
症状 ・自分のしたことを忘れてしまう。
・物を置いた場所をすぐに忘れる。
・一日の予定が覚えられない。
・作業中に声をかけられると、何をしていたか忘れてしまう。
・人の名前や作業の手順が覚えられない。   など
検査方法 全般的記憶検査:WMS-R(ウェクスラー記憶検査)
言語性記憶検査:三宅式記銘力検査
視覚性記憶検査:ベントン視覚記銘力検査、REY図形テスト
日常記憶検査:RBMT(リバーミード行動記憶検査)
注意障害
概要 前頭葉や頭頂葉の損傷によって起こる障害です。
注意力が散漫になる、集中力ない、行動に一貫性ないなどの症状があります。
症状 ・ぼんやりしている。
・細かなミスが多い。
・気が散りやすく、集中できない。
・同時に複数のことができない。
・周囲の状況を理解できないまま行動する。
・言われていることを理解できない。   など
検査方法 CAT・CAS:標準注意検査法・標準意欲評価法
D-CAT:注意機能スクリーニング検査
半側空間無視
概要 脳の片側半球が損傷を受けると、それに対応した側からの情報、感覚を認識できなくなってしまう障害です。自分が意識して見ている空間の片側を見落としてしまいます。主に右脳損傷による左側空間無視が見られます。
症状 ・通路で左側の壁にぶつかる。
・歩いていると右に寄ってしまう。
・片方のものを見落とす。   など
検査方法 BIT(行動性無視検査 日本版)
線分二等分検査
線分抹消検査
図形模写検査
社会的行動障害
概要 前頭葉と側頭葉の損傷によって起こる障害です。
感情のコントロールができない、感情抑制ができな、感情が欠如してしまうなどの症状が代表的です。
症状 ・すぐに興奮して大声で怒鳴る。
・突然暴力を振るう。
・自分の思ったとおりにならない場合に起こる。
・不潔なままでも気にしない、だらしない行為をする。
・過食や極端な浪費をしてしまう。
・言動が子どもっぽくなる。
・じっとしていられない。   など
検査方法 適応行動尺度(ABS)
S-M社会生活能力検査
遂行機能障害
概要 前頭葉の損傷によって起こる障害です。
物事の優先順位がつけられず、行き当たりばったりの行動、判断をする、約束の時間を守れない、急な状況に混乱するなどの症状が代表的です。
症状 ・計画をたてても、まったく進められない。
・自分から行動ができない。
・物事の優先順位がつけられず、混乱する。
・間違いを繰り返す。   など
検査方法 BADS (遂行機能障害症候群の行動評価)
WCST(ウイスコンシン・カード分類検査)
失語症・失行症
概要 大脳半球の損傷によって起こる障害です。
失語症:日常会話で言葉がスムーズに出てこない。簡単な計算ができなくなるという症状です。
失行症:言葉は理解できるが行動ができない。着替えるなどの日常的な動作がぎこちない、物を壊しがちなどという症状です。
症状 ・日常会話で上手く言葉が出てこない。
・簡単な計算ができない。
・お箸が持てない、使えない。
・靴紐が上手く結べない。
・着替えや歯磨きなど、日常動作が上手くできない。
検査方法 標準失語症検査(SLTA)
標準失語症検査 補助テスト(SLTA-ST)
トークンテスト (Token Test)
失行症の検査
標準高次動作性検査
コース(kohs)立方体組み合わせテスト
ウェクスラー記憶検査(WMS-R)
検査方法参照:国立障害者リハビリテーションセンターHP・鳥取県高次脳機能障がい支援サイト

成年後見人選任申立てについて

高次脳機能障害によって被害者本人が物事の実態を理解したり、意思表示ができない(事理弁識能力が欠ける)場合、本人に変わって適切な手続きができるよう進める代理人(後見人)を立てる必要があります。

詳しくは「成年後見制度」をご覧ください。

成年後見制度

成年後見人選任申立てに関して「よくあるご質問」

交通事故被害で高次脳機能障害となりました。財産管理のために「成年後見制度」を利用した場合、その費用を加害者側に請求することは可能ですか。

はい、次の費用を請求することが可能です。
①成年後見開始の申立手続き費用
②鑑定費用
③後見人報酬
④後見監督人報酬(後見監督人が選任されている場合)

その他の「よくある質問」を見る

次ページ : 「高次脳機能障害」の後遺障害等級の認定

関連リンク