後遺障害非該当事案のため、傷害慰謝料の増額に絞って交渉し、受任からわずか1か月半程度で保険会社からの当初提案額の約2.6倍の損害賠償額で示談が成立した事案
- 公開日:
- 2023年5月18日
示談交渉主婦(夫)休業損害
- 解説弁護士
- 谷 靖介
I.Iさん・60歳代・会社員
- 受傷部位
- 背骨(頚椎・腰椎)
- 後遺障害等級
- 非該当
- 傷病名
- 頭部打撲
頚椎捻挫
両手関節捻挫
- 解決方法
- 示談交渉
- 弁護士費用特約
- なし
- 取得金額
- 約80万円
ご依頼者の事故発生状況
- 事故態様
- (加害者)自動車/自動車(被害者)
ご依頼者のI.Iさんは、国道を直進していたところ、道路外のコインパーキングからブレーキとアクセルを踏み間違えた相手方の車が飛び出してきて、I.Iさんの車の側面に衝突。この事故により、頚椎捻挫、頭部打撲、両手関節捻挫等の傷害を負いました。
解決に向けた弁護士の活動内容
ご依頼者のI.Iさんは、相手方保険会社を通じて後遺障害認定申請をしたところ、結果は後遺障害非該当でした。
I.Iさんは、後遺障害非該当の結果をはじめ、保険会社から提示された損害賠償額が妥当かどうか知りたいということで来所され、相談後にご依頼されました。
後遺障害認定非該当の結果については、I.Iさんがご持参いただいた治療の経過の資料やご自身が訴えられている症状から検討させていただき、本件については異議申立てをしたとしても、後遺障害の判断が覆る可能性は低いという見通しを率直にお伝えさせていただきました。
I.Iさんには上記見通しをご理解いただき、異議申立てはせずに示談金の増額交渉を進めることとなりました。
傷害慰謝料について保険会社は、慰謝料の基準の中でも最低限の自賠責の基準での金額を提案していました。
I.Iさんは、アクセルとブレーキを踏み間違えた自動車にかなりの勢いで衝突され、同乗していたご家族ともに事故に巻き込まれていました。そして、事故によるケガにより約半年以上もの間、痛みや治療の苦痛等に耐えたのですから、その精神的苦痛は正当に賠償されなければなりません。
当方からは、裁判基準の傷害慰謝料を提案し、受任から1か月半ほどの短い期間で裁判基準に近い額で合意することができました。結果として、保険会社からの当初提案額の約2.6倍の金額で示談をすることができました。
弁護士による事例総括
本件のポイントは、異議申立てするかしないかの見極めであったと考えます。
事故によるケガで何らかの症状が残ってしまった場合、お体が事故前の状態にまで戻っていないにもかかわらず、後遺障害非該当というのはご納得のいかないことだと思います。
後遺障害認定の結果については、「異議申立て」という、再度認定をし直してもらう手続きを利用することができますが、実際、異議申立てが認められる割合は、多くはありません。
異議申立てには、数か月もの時間や資料収集等のコストがかかりますので、そのようなリスクを冒して申立てをすべきかは、慎重な検討が必要であると考えます。
本件の場合はご持参いただいた資料から、弁護士が異議申立てを認められる見通しは厳しい旨を丁寧にご説明し、ご依頼者のI.Iさんに理解いただけたため、異議申立てについてはしないこととし、争点を傷害慰謝料の増額に絞りました。
保険会社と交渉を進め、ご依頼から約1か月半程度で合意に至り、解決をすることができました。
どのような手続きや解決方法が妥当かは、それぞれの事案によります。後遺障害をはじめ、相手方保険会社からの示談金額や示談内容に疑問をもたれましたら、一度弁護士に相談されることをおすすめします。