逸失利益の労働能力喪失期間で保険会社と折り合わず弁護士がケガの状況と仕事の影響を丁寧に主張・立証し、喪失期間の伸長が認められ和解した事案
- 公開日:
- 2024年2月8日
紛争処理センターむちうち後遺障害
- 担当弁護士
- 若松 俊樹
S.Oさん・50歳代・看護師
- 受傷部位
- 上肢
- 後遺障害等級
- 14級9号
- 傷病名
- 右肩腱板損傷
- 解決方法
- 紛争処理センター
- 弁護士費用特約
- なし
- 取得金額
- 約420万円
ご依頼者の事故発生状況
- 事故態様
- (加害者)原付/自転車(被害者)
ご依頼者のS.Oさんは、自転車で歩道を走行していたところ、右側の狭い道から出てきた相手方運転の原動機付自転車と衝突し、大ケガを負われました。
解決に向けた弁護士の活動内容
ご依頼者のS.Oさんは、この事故により右肩腱板損傷などの重傷を負い、治療終了後、右肩の痛みについて14級9号が認定されましたが、異議申立てと金額交渉を希望され、ご相談にいらっしゃいました。
カルテなど新たな医学的証拠をそろえて異議申立てを行いましたが、等級は14級9号で変わらず、S.Oさんと協議の結果、14級9号を前提に最終金額交渉をすることとしました。
逸失利益の労働能力喪失期間について、当方で原則通り67歳までの期間が認められると主張したのに対し、相手方保険会社は5年を主張したため、紛争処理センターへの和解あっせん申立を行いました。
和解あっせん案でも期間5年が変わらなかったため、審査手続に移行し、現在の痛みの状況や仕事・生活への影響について丁寧に主張・立証した結果、67歳までの期間は認定しがたいとされたものの、労働能力喪失期間を10年に伸ばすことができ、和解となりました。
弁護士による事例総括
痛みやしびれといった後遺障害で12級や14級が認定された場合、むちうち損傷などであれば労働能力喪失期間は12級で10年以下、14級で5年以下と制限される傾向があります。他方、むちうち損傷ではない原因での痛みやしびれの場合、必ずしもむちうち損傷の場合と同様に期間制限がされるとは限らず、個別具体的に判断されるべきであるとされています。
労働能力喪失期間が争いとなる場合、現在残っている症状がどのようなものであるか、それによって仕事上・生活上どのような影響が出ているかをできるだけ具体的に主張・立証する必要があります。今回の場合、ご依頼者のS.Oさんが看護師であり、仕事上の具体的な動作と関連してどのような不具合があるかについて、陳述書を作るなどして丁寧に主張・立証したことが功を奏したといえます。