交通事故に関する解決事例 126

むちうち損傷で後遺障害非該当の事前認定を受けて弁護士が異議申立てを行い、改めて後遺障害等級第14級に認定され、示談金も大きく倍増した事案

担当弁護士
齋藤 碧

K.Bさん・40歳代・会社員

受傷部位
背骨(頚椎・腰椎)
後遺障害等級
併合14級
傷病名
頚椎捻挫
腰椎捻挫
解決方法
示談交渉
弁護士費用特約
あり
取得金額
390万円

ご依頼者の事故発生状況

事故態様
(加害者)自動車/自動車(被害者)

ご依頼者のK.Bさんは、被害者車両の助手席に同乗し、赤信号で停車していたところ、後方からノーブレーキで進行してきた車両に追突されました。この事故によりK.Bさんは、頚椎捻挫、腰椎捻挫といったケガを負い、半年にわたり整形外科でのリハビリ治療を受けましたが、首と腰の痛み、手の痺れが残ってしまいました。

解決に向けた弁護士の活動内容

ご依頼者のK.Bさんは、後遺障害の申請を行いましたが非該当の結果となり、保険会社からは非該当を前提とした示談提案がありました。

K.Bさんは、後遺障害等級非該当の結果を争うことをご希望され、当事務所にご相談に来られました。

ご相談に来られた際、K.Bさんが後遺障害診断書をお持ちであったことから、内容を確認し、後遺障害等級第14級の認定可能性があると判断しました。

ご依頼を受けた後には、病院への医療照会、画像鑑定結果等の参考となる資料の収集を行いました。その上で、後遺障害等級認定に有用な資料を選別し、交通事故後の症状、治療状況等から後遺障害に認定されるべきことを主張し、異議申立てを行いました。

その結果、当初の非該当の結果がくつがえり、後遺障害等級第14級に認定されました。

頚椎捻挫や腰椎捻挫といったいわゆるむちうち損傷の場合、しっかり治療を受けていても、痛みや痺れが改善しないことがあります。それなのに、後遺障害等級認定の申請をしても非該当と判断されてしまうことがあります。

これは、頚椎捻挫や腰椎捻挫といったケガはレントゲンやMRIなどの画像上は異常がなく、痛みや痺れといった神経症状が第三者からは明らかではないことに大きな要因があります。

そのため、異議申立てにあたっては、目に見えない神経症状が存在することをどのようにして明らかにするかが重要となります。具体的には、交通事故時の衝撃の大きさを車両の損傷状態から説明したり、神経症状があるからこそ継続的に整形外科にできるだけ通院をして治療したのだということを通院日数やカルテの記載から主張することが考えられます。また、元々あった無症状のヘルニアなどが交通事故の衝撃により有症化することもありますので、他の医師に画像鑑定をお願いして、交通事故後の症状との関連を説明してもらうことも考えられます。

本件では画像鑑定をしましたが、レントゲンやMRIの画像上は異常が全くありませんでした。また、車両の損傷状態もそれほど酷いものではありませんでした。しかしながらK.Bさんは、症状固定の判断がされるまでの6か月間、毎日のように整形外科に通院してリハビリ治療を受けており、保険会社の治療費の支払対応が終わった後も自費で通院を継続していました。そのため、カルテを取り寄せて、治療経過が神経症状の存在をものがたっていると主張して、異議申立てを行いました。

その結果、後遺障害等級認定機関がカルテの記載から、K.Bさんには交通事故当初から神経症状が継続して存在し、治療状況も勘案した結果、後遺障害等級第14級に該当するとして判断を改めました。

その後の保険会社との交渉では、裁判基準の慰謝料、後遺障害逸失利益を主張し、K.Bさんのご意向に沿う金額で解決に至りました。

弁護士による事例総括

交通事故により同じようなケガをして、同じような痛みや痺れが残ってしまった被害者でも、その後遺障害等級認定結果が異なることがよくあります。

その違いが生じる要因としては、交通事故後の治療経過や必要な検査の実施の有無などが挙げられます。

本件では、ご相談時にK.Bさんが整形外科での十分な期間のリハビリ治療を継続していたことが分かったため、後遺障害等級認定の可能性が高いとの見立ての上、有用な資料の収集を行い、ご希望に沿う形で解決まで進むことができました。

本件とは逆に、治療経過からみて、弁護士が活動をしても後遺障害等級認定が厳しいこともあります。そのような事態にならないよう交通事故に遭った初期段階でご相談いただければ、適切な治療や検査を受けられるようアドバイスさせていただきます。

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