交通事故に関する解決事例 117

加害者側の過失が高い事故だったにも関わらず、相手方保険会社が5:5の過失割合を主張、弁護士が紛争処理センターに申立を行い、適切な賠償金を獲得した事案

解説弁護士
谷 靖介

S.Tさん・50歳代・会社員

受傷部位
下肢
後遺障害等級
非該当
傷病名
左膝骨挫傷
左大腿筋挫傷
解決方法
紛争処理センター
弁護士費用特約
なし
取得金額
190万円

ご依頼者の事故発生状況

事故態様
(加害者)自動車/自動二輪(被害者)

ご依頼者のS.Tさんは、バイクで山道を走行していたところ、カーブに差し掛かったところで対向車線からセンターオーバーしてきた相手方自動車と衝突しました。この事故によりS.Tさんは転倒し、左大腿筋挫傷、左膝骨挫傷の傷害を負いました。

解決に向けた弁護士の活動内容

ご依頼者のS.Tさんは、相手がセンターオーバーしてきた事故ですので、S.Tさんとしては当然ご自身に過失はなく、相手方保険会社から適切な補償が受けられると思っていました。

しかし、相手方保険会社は過失割合を、「相手方対S.Tさん=50%:50%」という主張をしてきて、ご自身ではとても対応できそうにないと考え、相談にいらっしゃいました。

弁護士が事故態様についてヒアリングしたところ、相手方の言うとおりの過失割合で合意してはいけない事案である上、担当者の対応も悪く、ストレスをためているご様子でしたので、すぐご依頼を受けることとなりました。

当方から資料を添付した上で、妥当な過失割合及び損害賠償額を提案したところ、相手方保険会社からは、過失割合は50%:50%であるため、支払うものはないという回答が返ってきました。

そのため、交渉の継続は不可能と考え、紛争処理センターに申立てを行いました。

保険会社との示談交渉で合意に至らない場合は、交通事故紛争処理センター(以下、「紛争処理センター」といいます)を利用することが考えられます。

紛争処理センターは、自動車事故の被害者と加害者または加害者が契約する保険会社等との示談をめぐる紛争を解決するため、当事者の間に立って法律相談、和解あっ旋及び審査手続を行う中立の機関です。

紛争処理センターを利用するメリットとしては、無償で利用できることや、裁判をするよりも簡易な手続きで、迅速な解決を得られることが挙げられます。

本件では、S.Tさんが弁護士費用特約を付けておらず、ご本人の費用負担が発生すること等から、無料で利用できる紛争処理センターでの手続きを選択いたしました。

一方、紛争処理センターのデメリットとしては、同センターでの手続きには強制力がないため、双方が合意できないときは解決に至らず、結局裁判をするしかなくなってしまうところ等が挙げられます。

紛争処理センターでは、当事務所の弁護士が過失割合について、次の主張を行いました。

本件事故現場となった道路は、センターラインのない、曲がりくねった山道でしたが、衝突地点には、S.Tさんのバイクが倒れた後が残っており、警察で相手方本人立会いのもと作成された実況見分調書は、相手方がセンターオーバーしたという内容でした。

しかし、相手方保険会社は、過失割合50%:50%の主張を変えませんでした。

そこで当方は、実況見分調書やS.Tさんが撮影した事故現場の写真等をもとに、S.Tさんの過失は0%と主張・立証しました。

その結果、紛争処理センターでは、当方の主張が大幅に認められ(なお、道路の形状や見通し等から、S.Tさんの過失0が認められるのは困難な事案でした)、相手方の過失90%、S.Tさんの過失10%を前提とするあっ旋案が提示され、和解が成立しました。

弁護士による事例総括

ご依頼者のS.Tさんは、ツーリング先で事故に遭ってしまったのですが、その際の加害者の言動や、週末で保険会社の対応が不十分だったことなどから、事故当初から非常に不信感を持っていました。また、事故によって骨挫傷の受傷を負った膝は腫れあがり、酷い痛みがあったにもかかわらず、保険会社からは不合理な過失割合を主張され、更に治療費も早期に打ち切られてしまう等、非常にお気の毒な状況でした。

本来であれば、ここまで揉める事案ではなかったようにお見受けするのですが、保険会社の方針や、担当者の性質によっては納得できない対応をされて、全く話し合いが進まなくなってしまう場合もあります。

本件では弁護士から、資料や証拠に基づいた主張を行ったにもかかわらず、担当者が全く態度を変えなかったため、紛争処理センターへの申立てに移行せざるを得ませんでした。結果的に妥当な賠償金は得られましたが、S.Tさんには余計な時間や心労をおかけしてしまいました。

保険会社との交渉が決裂した場合にどのような手続きを選択すべきか、事案の内容はもちろんのこと、解決に要する時間や労力、ご本人の費用負担等の検討が必要です。このようなケースでお悩みがあれば、一度弁護士にご相談されることをおすすめします。

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