交通事故に関する解決事例 105

治療後も下肢の痛みや痺れ、PTSDを発症していたが、裁判によって当初非該当であった後遺障害が認められ、慰謝料及び逸失利益を上乗せした内容での和解が成立した事案

担当弁護士
齋藤 碧

T.Sさん・50歳代・会社員

受傷部位
下肢
後遺障害等級
14級9号
傷病名
PTSD
骨盤骨折
解決方法
訴訟
弁護士費用特約
あり
取得金額
1570万円

ご依頼者の事故発生状況

事故態様
(加害者)自動車/自動車(被害者)

ご依頼者のT.Sさんは、交差点内を右折待ちで停車中、後方から進行してきた車両に追突され、その勢いで対向車線に押し出されました。次いで、対向車線を進行してきた車両に衝突する事故となりました。この事故によりT.Sさんは、骨盤骨折、PTSD等の傷害を負いました。

解決に向けた弁護士の活動内容

ご依頼者のT.Sさんは、当事務所へご相談いただいた時には、すでに治療は終了しており、自賠責保険で後遺障害非該当の結果が出ていました。しかしながら、下肢の痛みや痺れ、事故により発症してしまったPTSDによる強度の不安、抑うつ、動悸、不眠等の症状が残っていたことから、後遺障害の認定をご希望され、当事務所へご相談されました。

当事務所で自賠責保険会社に対する異議申立てを行いましたが、非該当の結果は覆りませんでした。そのため、裁判所での適正な後遺症の認定を求め、裁判を行いました。

後遺障害等級第14級9号「局部に神経症状が残すもの」の認定の際には、被害者の方の痛みや痺れなどの神経症状が交通事故から症状固定まで一貫しているということが重視され、一貫性は病院の診断書やカルテ等の記載から判断されます。

本件では、交通事故により全身を強打しており、実際には打撲や捻挫等もあったものの、骨盤等の骨折が大きな外傷であったため、診断書やカルテには主に骨折に関する記載しかされていませんでした。

T.Sさんは、症状固定時には下肢の症状が残存していましたが、カルテ上は治療途中から下肢の症状を訴え始めた旨の記載となっているため、一貫性が否定されて非該当の結果になりました。

裁判でも、自賠責保険の認定結果を参考にした上で後遺症の有無や程度(等級)が判断されますが、必ずしも同一の判断となるわけではありません。裁判では、依頼者の方の症状について、より詳細に主張・立証した結果を踏まえ、実態に即した後遺症の有無・程度(等級)が判断されます。

本件では、T.Sさんが症状固定後も他の病院で治療を継続していたことから、現在の主治医に交通事故による受傷と下肢の神経症状の因果関係についての医療照会を行うとともに、T.Sさんより事故から現在に至るまでの症状の推移について詳しく伺い、後遺症が残存していることを明らかにしました。

PTSDによる後遺症について、死の危険を感じるほどの交通事故に遭われるとPTSDを発症してしまうことがあります。交通事故後しばらく経っても車への恐怖感、動悸、無気力、不眠等の症状に悩まされる場合には、精神科や心療内科を受診して、治療を受ける必要があります。一定期間治療を継続しても症状が改善しない場合には、後遺障害等級認定を受けた上、相手方への賠償を求めることとなります。

精神的な症状は、外傷とは異なり、画像や検査結果で明らかにすることは困難です。精神的な症状が残っていることを証明するために、主治医の方の専門的な意見に加え、交通事故前の依頼者の方の性格、日常生活、勤務態度等をよく知る方々に協力いただき、交通事故後にどのように変化してしまったのかを明らかにします。

本件では、T.Sさんが交通事故後に継続的に通院をしていた精神科の医師がPTSDによる症状が残存していることが明らかである旨の書面を作成してくださり、T.Sさんの家族、職場の同僚もT.Sさんの変化について詳細に説明してくださいました。

自賠責保険の後遺障害等級認定では、T.Sさんが職場復帰できていることなどから非該当と判断されましたが、裁判では医師の意見が重視され、後遺症が残存していることが認められました。

その結果、下肢の症状及びPTSDによる症状について、14級相当の後遺症が残っていることを前提として、慰謝料及び逸失利益を上乗せした内容での和解が成立しました。

弁護士による事例総括

しっかり治療を受けても、後遺症が残ってしまうことがあります。後遺症が残ってしまった際には、自賠責保険への後遺障害等級認定申請を行いますが、その際に重要なのは、医師の診断書です。後遺障害診断書は必須の書類であり、医師に症状を理解してもらった上で適切な記載をしてもらうためには、定期的な病院への通院が必要です。

そして、病院を受診した際には、痛みや痺れなどの症状がある場合には、しっかり伝えて、カルテ等に記載してもらうことが重要です。痛みや痺れなどの神経症状は、画像等で客観的には証明できないことから、病院への通院頻度も重視されます。

交通事故被害に遭ってしまった場合には、後に後悔する治療とならないように、初期段階で弁護士にご相談されることも重要です。

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