交通事故に関する解決事例 78

後遺障害等級非該当の結果に異議申立てを行って併合第14級の認定を受け、当初提案額から約4.5倍の損害賠償金を獲得できた事案

解説弁護士
谷 靖介

I.Sさん・50歳代・主婦

受傷部位
背骨(頚椎・腰椎)
後遺障害等級
併合14級
傷病名
腰椎捻挫
頚椎捻挫
解決方法
示談交渉
弁護士費用特約
なし
取得金額
370万円

ご依頼者の事故発生状況

事故態様
(加害者)自動車/自動車(被害者)

ご依頼者のI.Sさんは国道を直進中、アクセルとブレーキを踏み間違え、道路外から急発進してきた加害者車両に側面衝突されました。この事故により、I.Sさんは腰椎捻挫後の腰部痛、頚椎捻挫後に頚部から両肩や背部にかけて痛みが残ってしまいました。

解決に向けた弁護士の活動内容

ご依頼者のI.Sさんは、事故から約7か月足らずで保険会社から治療費を打ち切られ、治療を終了しましたが、その後も頚部から両肩、背部にかけての痛み、腰部の激痛が継続していました。

しかし、保険会社を通じて後遺障害等級認定申請をした結果は後遺障害非該当であり、ごくわずかな損害賠償額を提案されて示談を迫られていたため、今後どうしたらよいかということで、当事務所へ相談にいらっしゃいました。

ご相談の中で、I.Sさんが訴えていた症状や通院の経緯等からすると、異議申立てが認められ、後遺障害等級認定を受けられる可能性があると判断し、異議申立ての手続きから受任しました。

加害者車両は助手席側に側面衝突したことから、事故時に助手席に乗車していたI.Sさんは身体に大きな衝撃を受け、事故直後から頚部から両肩、背部にかけて、痛みや吐き気及び腰部の痛みを感じていました。

しかし、保険会社を通じて後遺障害認定申請をした結果は後遺障害等級非該当でした。

後遺障害認定申請は、書類審査であるため(残存した症状によっては面談を実施する場合もあります)、残ってしまった症状を立証するための適切な資料が提出されていなければ、実際に痛みの症状があっても、後遺障害非該当の結果になってしまうことはあり得ます。

当事務所にご相談いただいた後は、I.Sさんの症状を立証するための医療記録の収集に尽力させていただき、異議申立てを行った結果、妥当な認定を得ることができました。

続いて主婦の休業損害についてですが、保険会社はI.Sさんの主婦としての休業損害について、当初提案では十数日数分しか支払わないと提案してきました。また、計算の基礎となる日額も、自賠責の最低基準のものでした。

しかしI.Sさんは、頚部から肩、背中にかけての部分と腰部が非常に痛く、めまいもあったことから、事故直後は料理やアイロンがけ等、下を向く作業が全くできませんでした。治療に努め、やっと少しずつ家事に復帰できたのは、事故から約3か月経過した後でした。このような実態をI.Sさんから丁寧にヒアリングし、徐々に家事労働ができるようになった程度に応じて休業損害を計算しました。

そして、主婦としての労働対価は自賠責の最低基準ではなく、きちんと評価されなければなりませんので、賃金日額については女性労働者の平均値を基準として計算しました。

算定内容をもとに保険会社に提案した結果、休業損害については当初保険会社から提案された額の約10倍の金額が認定されました。

このようにI.Sさんの休業損害(主婦休損)、逸失利益、慰謝料等について保険会社と交渉を行った結果、保険会社からの当初提案額から約4.5倍の損害賠償金を獲得できました。

弁護士による事例総括

本件事故により、ご依頼者のI.Sさんは身体にかなりの衝撃を受け、事故直後から頚部から両肩、背部にかけての激しい痛みや吐き気をはじめ、夜眠れないほどの腰部の痛みを感じていました。そして、保険会社から治療費を打ち切られ、症状固定になった後も、上記症状は残存していましたが、後遺障害が認定されなかったことから、適切な補償が受けられず、今後の生活に不安を感じておられました。

更にI.Sさんは、自宅では家事を一人で担っていた上、離れて暮らす高齢のご両親の介護も手伝っていたことから、ご自身の痛みだけでなく、これらの家事が思うようにできないストレスを感じておられました。

異議申立ての手続きや、その後の保険会社との示談交渉を進める中で、I.Sさんのご苦労をお聞かせいただき、なるべくご苦労が報われる形で活動できればと努めてまいりました。その結果、幸いにして、後遺障害が認定され、適切な賠償金を獲得することができました。

解決後には丁寧な感謝のお手紙も頂戴し、多少なりI.Sさんのお気持ちの慰めになるような活動ができていればよかったのですが…と思っております。

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