交通事故に関する解決事例 11

自転車走行中の追突死亡事故で、弁護士の交渉により生活実態を考慮した逸失利益が認められ約2倍の賠償金を獲得した事案

担当弁護士
齋藤 碧

H.Oさん・60歳代・パート

解決方法
訴訟
弁護士費用特約
なし
取得金額
5600万円

ご依頼者の事故発生状況

事故態様
(加害者)自動車/自転車(被害者)

被害者が自転車を運転して車道を走行中、後方から進行してきた車が追突。加害者は現場から逃走した、いわゆるひき逃げの事案となります。

この事故により、被害者の方は事故当日に亡くなられました。

解決に向けた弁護士の活動内容

被害者遺族であるH.Oさんからのご依頼により、交渉段階から当職が受任させていただきました。交渉においては、被害者死亡による逸失利益及び慰謝料が主な争点となりました。

保険会社による示談提示においては、逸失利益の額が低く抑えられていたため、被害者の死亡による逸失利益の計算方法にH.Oさんは納得できず、訴訟を提起することとなりました。

訴訟においては、被害者の生前の生活実態(収入・家事の分担等)をふまえ、H.Oさんに最も有利となる計算方法を当方が主張し、他方、相手方は被害者の収入や家事労働が低く評価されるべきであること、被害者の収入がほぼ生活費として費消されることから逸失利益は低額になるべきであると主張してきました。

そうしたところ、判決においては、当方の提出した被害者の生前の生活実態に関する資料、ご家族の尋問結果を踏まえて、被害者の生活実態を考慮した計算方法による逸失利益が認められました。

第1審での勝訴判決が確定し、当初提案(約2500万円)の約2倍である5600万の損害賠償金を取得することができました。

弁護士による事例総括

死亡交通事故における逸失利益は、①基礎収入、②生活費控除率、③就労可能年数に対応するライプニッツ係数の3点をもとに計算されます。

本件では、①の家事労働者としての基礎収入と②の生活費控除率が争点となりました。生活費控除率とは、交通事故被害者の収入のうち、どの程度(割合)が生活費として消費されるか、言い換えれば、何%が被害者の手元に残るかを示す割合になります。

生活費控除率は、被害者の家庭内の地位や役割に応じて、原則として30%~50%の範囲内とされることが通常です。

本件では、保険会社は生活費控除率を「50%」と主張していました。これに対し当方は、被害者の生活実態や同居家族の状況、家事の分担などにつき具体的な主張を行い、生活費控除率は「30%」であると主張しました。

その結果、裁判所に当方の主張が認められ、生活費控除率を30%とする判決が下されました。

今回のような交通死亡事故では、弁護士に相談することが心理的に負担なことが多いと思います。しかしながら、保険会社は、お怪我が重い事故やお亡くなりになった事故の賠償として、誠意の感じられない低額な賠償提案をすることも多々あり、相談できる専門家がおらず、よく分からないまま示談に応じてしまっている方も多くいらっしゃいます。保険会社が提示している内容がご自身の感じている苦痛に対して、正当な賠償内容であるのか疑問を感じる場合には、一度弁護士にご相談されることをおすすめします。

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