交通事故に関する解決事例 07

自転車同士の事故で示談提案の賠償金額が低く、交渉が難航したため訴訟を提起、結果として約500万円増額した賠償額で和解した事案

解説弁護士
谷 靖介

E.Iさん・80歳代・主婦

受傷部位
下肢
後遺障害等級
12級13号
傷病名
下肢の局部の頑固な神経症状
解決方法
訴訟
弁護士費用特約
なし
取得金額
670万円

ご依頼者の事故発生状況

事故態様
(加害者)自転車/自転車(被害者)

自転車を運転していたご依頼者のE.Iさんは、信号のない交差点を直進して通過しようとしたところ、後方から走行してきた加害者がE.Iさんの自転車を追い抜いて交差点を左折しようとしたため、E.Iさんの自転車に衝突。

この事故により、E.Iさんは約3か月入院し、退院後に4か月の通院をされ、症状固定となりました。

幸い加害者が自転車保険に加入していたため、加害者の保険会社を経由して、自賠責調査事務所による後遺障害等級の審査を受けることができました。その結果、右足の骨折部位の局部の神経症状(12級13号)として後遺障害等級の認定がなされました。

解決に向けた弁護士の活動内容

ご依頼者のE.Iさんは、加害者側保険会社より和解案の提示を受けましたが、保険会社の提示金額が適正なのか判断がつかず、当事務所にご相談されました。

弁護士が内容を確認したところ、必ずしも認定された等級に応じた適正な賠償額とはいえない金額であったため、示談交渉のご依頼をお受けすることとなりました。

その後、当職と相手方保険会社との間で交渉を行いましたが、金額の差が大きく交渉が難航したため、やむなく訴訟提起しました。

訴訟では、過失割合とご高齢の家事従事者としての損害の認定が問題となりました。

過失相殺について、自転車事故の場合、警察によって自転車事故報告書等の資料が作成されているケースもあります。まずはこれらの資料を弁護士会照会によって入手し、E.Iさんから事故状況に関するヒアリングを行い、事故現場に赴いて写真撮影をし、報告書にまとめる等の調査活動を行いました。

近時においては、自転車同士の事故でも過失割合基準の試案が公表されております。そこで過去の裁判例や上記試案等を検討し、E.Iさんに有利に働くよう主張を展開しました。

結果として、過失割合については当方の主張通りの和解案を提示いただけました。

ご高齢の家事従事者としての損害については、E.Iさんから事情をお伺いし、日常生活や家事においてどのような支障を感じているかについて陳述書等を作成、ご自宅を訪問して生活状況を写真撮影させていただくなどの調査を行いました。

また、実際に家事に従事している様子を立証するため、ご家族からも事情をお伺いし、陳述書を作成することや、E.Iさんの身体・健康状況に関する資料を市役所等から取り寄せるなどの調査活動も行いました。

訴訟提起後は、5回の期日を経て裁判所より和解案の提示を受け、結果としては、現役世代の方と比べると限定的ではありましたが、家事従事者としての逸失利益性が一定程度あることを踏まえた和解案を提示いただくことができました。

この和解案に基づき、加害者側保険会社の事前の提示額(約170万円)より約500万円の増額となり、解決に至りました。

弁護士による事例総括

近年、自転車同士の事故についてご相談をお受けすることが増えています。

自動車事故の場合と異なり、まだまだ保険制度が浸透していない等の事情もあり、現実的な賠償を獲得できるのか、事案によっても異なってきます。

また、自転車事故の場合、過失割合についても事件ごとに個別の分析を要する度合いが高い傾向にあると思われます(言い換えれば自転車事故の場合、過失割合についての見込みを立てにくい傾向があるとも言えます)。

さらに、本件はご高齢の主婦の逸失利益性(休業損害や後遺障害による逸失利益)についても問題となる事案でした。この問題は、被害者ごとに健康状態や生活状況も様々で、一概に論じにくい難しい面があります。最終的にはどのように家事従事者としての労働の実態を立証していくのか、事案ごとに工夫を要します。

このような自転車同士の事故でお悩みの場合、一度弁護士にご相談されることをおすすめします。

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