道路を横断中の衝突事故で、基礎収入・過失加算の主張が反映され1000万円超増額できた事案
- 公開日:
- 2023年4月2日
- 最終更新日:
- 2023年4月26日
死亡事故
- 担当弁護士
- 宮崎 寛之
S.T さん・70歳代・主婦
- 解決方法
- 訴訟
- 弁護士費用特約
- なし
- 取得金額
- 約3400万円
ご依頼者の事故発生状況
- 事故態様
- (加害者)自動車/歩行者(被害者)
被害者が道路を横断中(横断歩道ではありませんでした)、加害者運転の自動車と衝突。この事故により被害者の方はお亡くなりになりました。
その後、相手方保険会社から示談金の提示がありましたが、その提示額が低額なのではないかと思い、ご遺族のS.Tさんが当事務所へご相談に来られました。
解決に向けた弁護士の活動内容
保険会社と交渉を進めたところ、慰謝料については増額がなされたものの、逸失利益等その他の項目では全く増額提案がなされなかったため、訴訟を提起しました。
相手方保険会社は、被害者以外の家事従業者の存在に触れ、女性労働者平均賃金の50%を主張、さらに、本件事故発生日時が日没後であったことを理由として、過失割合の基本の基準より、被害者の過失を5%多く主張してきました。
この主張に対して、当方は他の家事従業者が一日中仕事や実家の家事をしていた事実を主張・立証しました。
過失割合については、夜間であることによる過失の加算修正の趣旨に鑑み、日没後であってもただちに暗闇になるものではなく、歩行者の発見が困難であったという事情はないと主張・立証しました。また、被害者を発見することが可能であった地点や、加害者が衝突直前で初めて被害者を発見したことを主張・立証し、加害者に前方不注意の著しい過失があったことを主張しました。
この結果、裁判所に当方の主張が認められ、女性労働者平均賃金の90%相当額の和解案と、過失割合については、日没後間がない時刻の事故と考える余地があること、前照灯が下向きであったこと、加害者が直前まで被害者に気付かなかったことを総合的に考慮し、夜間による過失加算をしない和解案を提示しました。
弁護士による事例総括
本件は、被害者がお亡くなりになってしまった事件であるにもかかわらず、相手方保険会社からの提示額は約2000万円でした。過失相殺による減額を考えても、明らかに低い金額での提示でした。
いわゆる裁判基準では、交通死亡事故の場合、慰謝料の基準は2000万円~2800万円とされています。
そのため、相手方保険会社からの提案は、ほぼ慰謝料だけの金額にしかならず、ご遺族固有の慰謝料や、被害者の方が生きていれば受けられた経済的な利益(逸失利益)分の増額が一定程度可能であると判断しました。
事故により、大切な方の命が奪われてしまった悲しみの中交渉しなければならない負担感や、命を金銭的に評価することへの抵抗感は非常に大きいと思います。
しかし、相手方保険会社の提示する示談金額が、必ずしも被害者・ご遺族の方の損害を正しく評価したものとはいえないことがあります。
弁護士が代理人として活動することにより、示談交渉の負担は軽減できると思いますので、交通事故被害においては悩みを抱えず、一度弁護士にご相談されることをおすすめします。