相続トラブルの基礎知識
相続トラブルの基礎知識
一方的に遺産分割協議書が送られてくるという状況は、相続人同士の関係性が良好とは言えない状況が多いです。相続人同士の面識がない、または疎遠である場合、協議書の内容をしっかりと確認し、不満がある場合は相手と交渉を進める必要があります。しかし、そういった相手との交渉は一筋縄でいかないことも多く、まともな話し合いができず交渉が滞ることもあります。
ここでは、一方的に送られてきた遺産分割協議書の注意点や、とるべき行動について解説します。
遺産分割協議は相続人全員の同意が必要です。そのため、一部の相続人により一方的に作成された遺産分割協議書に応じる必要はありません。しかし、同意をすれば参加したと見なされ、協議書どおりに遺産分割が行われるので、慎重に対応することが大切です。すぐに合意することも避けるべきですが、わからないからといって無視をして交渉を避けていると、最終的に裁判所での手続きをとられる可能性もあります。
まずは届いた遺産分割協議書の内容をよく読み、疑問点や不満点、不安がある場合は弁護士に相談されることをおすすめします。
一度成立した遺産分割協議をやり直すことは困難ですので、疑問点や不満がある場合は、軽率な合意は絶対に避けましょう。
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一方的に送られてきた遺産分割協議書の内容に不満がある場合は、ご自身が主張したい点を整理し、場合によっては裏付けとなる資料を収集する必要があります。
①相続人調査・相続財産調査を行う
遺産分割協議書の内容が真実であるかどうか、適切に遺産分割を行うために相続の全貌を把握します。
②自身の相続分の計算、主張をまとめる
相続人の範囲を相続財産が確定したら、自身の相続分を計算し、自分の希望や主張をまとめます。
③協議の目標と交渉回数を設定する
遺産分割協議書について、送ってきた相続人や他の相続人に対して相続分の主張を行います。しかし、すでに一方的に協議書が送られてきている状況ですので、当事者同士の協議段階では難航する可能性があります。交渉回数、期限を区切り、難航する場合は弁護士に依頼することをおすすめします。
④遺産分割調停・審判を申し立てる
遺産分割協議が難航する場合は、裁判手続きによる解決を目指すのが一般的です。裁判所では感情面だけで主張することはむずかしく、根拠となる証拠資料や法的根拠に基づいた主張であることが大切です。ご自身での対応がむずかしい場合は弁護士にご相談されることをおすすめします。
谷 靖介
Yasuyuki Tani
遺産分割協議や遺留分に関するトラブル、被相続人の預貯金使い込みや遺言内容の無効主張など、相続紛争問題を中心に、法律を通してご依頼者の方が「妥協のない」「後悔しない」解決を目指し、東京都を中心に活動を行っている。