相続コラム
相続コラム
「法定相続人それぞれの主張が強く、遺産分割協議がまとまらない」
「他の相続人から突然遺留分を請求された」
「被相続人の預貯金を他の相続人が勝手に使い込んでいた」
相続トラブルはこの他にもさまざまなケースがありますが、ご自身が相続に関するこうしたトラブルに遭遇したら、どのように対応した方がよいでしょうか。
このような相続トラブルに遭うと、相続人同士で話し合いが難しくなっているケースも多く、相談相手がいなければ、ひとまず弁護士に相談してみようと考えるかもしれません。
しかし、相続トラブルで弁護士に相談するにも弁護士は数多くおり、何を基準にどのように探せばよいか、弁護士選びの判断に困る方が多いのも事実です。
ここでは、相続トラブルで弁護士に相談したいとき、どのような視点に注意して弁護士を探すべきか、相談の際に注意すべき弁護士の動向などについて解説します。
弁護士とひとくちに言っても、さまざまな業務があります。病院もそうですが、多くの方は発症した病気の専門医にかかると思います。目の病気であれば眼科、皮膚の病気であれば皮膚科というように、弁護士も企業法務を中心に活動している弁護士もいれば、債務整理に力を入れて活動している弁護士もいます。弁護士が病院と違ってわかりにくいのは、多くの分野を取り扱っていますので、相続トラブルに詳しい弁護士なのかどうか、判断がつきにくい点があげられます。
そのため、相続問題に詳しい弁護士事務所かどうか、まずは事務所のwebサイトで発信している情報を確認するようにしましょう。
現在では多くの弁護士事務所がホームページを持っており、そこでさまざまな情報を発信しています。
単に相続を取り扱っていると書かれていても、より詳しい情報を発信しているかどうかにも注目して、ホームページの情報を確認するようにしましょう。
多くの弁護士事務所は、ホームページやSNSで情報発信しています。相続に対応している事務所であれば、相続に関する情報を多数発信していると思います。
ここで注目してほしいのは、相続トラブルの解決事例をどの程度掲載しているかです。解決事例を多く掲載している弁護士事務所であれば、この分野の経験が豊富で精通している可能性が高いと考えられます。また、ご自身のトラブルに近い事例の解決事例を探してみることも有用です。
相続トラブルの解決事例を掲載していないからといって、必ずしも弁護士が相続に精通していないとは言えませんが、初めて弁護士に相談しようと考えている方であれば、こうした情報を手がかりに探すことで、弁護士とのトラブルを防ぐことにも繋がります。
ホームページを閲覧しながら、相続トラブルに詳しいと感じた弁護士事務所を2~3事務所程度ピックアップしていきましょう。
相続トラブルの場合、ホームページからメールで問い合わせをしてもよいのですが、多くのケースでトラブルが複雑化していると思いますので、文章にまとめるのは大変な作業になります。そのため、お電話での問い合わせがご自身の相続トラブルの内容をスムーズにお伝えできるのでおすすめです。
このとき、電話窓口の対応にも注視してください。丁寧な対応でこちらの内容をきちんとヒアリングしてくれるかどうかを確認するようにしましょう。ヒアリングの対応がきちんとしていれば、安心して相談できる可能性が高いと考えられます。
このときに注意すべき点として、電話窓口の相手は事務スタッフや受付部署の方で対応されることが多いです。事務スタッフや受付部署だから専門性が確認できないと判断せず、相続トラブルに詳しい事務所であれば、受付部署の対応もしっかりしており、法律相談を受けられるかどうか詳しくヒアリングできることが多いので、まずは状況を説明して判断するようにしましょう。
相続問題は親族同士の複雑な心情対立に加えて、複数の法律関係が絡み合うもので、拗れてしまった問題の解決には、数年かかることも珍しくありません。
そのため、相続問題の対処にあたっては、相続人間で交渉が進むかどうか、交渉が進まない場合に裁判所の法的手続き(調停、審判)を行うか、そのような手続きを行う場合は、いつ、誰が行うか、といった検討が必要不可欠です。
いつ、誰が法的手続きを行うか、その段取り、流れ、結果の見通しは特に重要であり、経験豊富な弁護士であれば、的確なアドバイスができます。
問題解決に向けた段取りや流れを的確かつ丁寧に説明できる弁護士に相談することが重要です。
相談をした弁護士のアドバイスがピンとこない、解決に向けた流れや段取りが曖昧な場合は、他の弁護士に相談することをおすすめします。
すでに相続問題を弁護士に相談や依頼しているとき、その弁護士の説明がわかりにくい、弁護士の説明に納得できないことが多々ある、本気で取り組んでくれていないなど、担当している弁護士への不安があるとき、セカンドオピニオンで他の弁護士の見解を確認することも大切です。
このときも同様に、これまで述べた点をチェックしながら相談を受けることで、現在の弁護士で問題がないのか、変更した方がよいのかの判断ができると思います。
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ここまで相続トラブルとなった際の弁護士の探し方について説明してきましたが、トラブルを放置してしまうと、さまざまな問題が生じてきます。
遺産分割協議がまとまらず相続税の納付期限が迫っており対応に困っているケースや、遺留分であれば時効の問題があるなど、相続トラブルでは期限に注意が必要な場面があるため、相続問題が発生したら、早めに弁護士へ相談することが解決への近道になることが多くあります。
焦って弁護士に依頼をする必要はありません。早めにこれまでお伝えしたかたちで弁護士を探し、複数の弁護士の中から納得いく弁護士に依頼をすることにより、早期かつ適正な解決に繋がる可能性が高まります。相続問題に理解の深い弁護士を見つけ、相談されることをおすすめします。
谷 靖介
Yasuyuki Tani
遺産分割協議や遺留分に関するトラブル、被相続人の預貯金使い込みや遺言内容の無効主張など、相続紛争問題を中心に、法律を通してご依頼者の方が「妥協のない」「後悔しない」解決を目指し、東京都を中心に活動を行っている。