相続人の1人が行方不明となり遺産分割協議ができない状況のなか、弁護士が不在者財産管理人の選任を申立て、選任された不在者財産管理人と調停を成立させた事案

解決事例59

ご依頼者のT.Tさんは、遺産分割の協議ができないまま、相続人の1人が行方不明となってしまい、手続が進められないとお困りでご相談にお越しになりました。

遺産にはアパートがあり、相続債務としてアパート建築費用のローンがありました。行方不明の相続人のアパート賃料収入は管理会社がプールし、行方不明の相続人が負担すべきローンの支払いは、T.Tさんが立て替えて支払っている状況でした。

遺産分割の当事者が行方不明の場合、いくつかの方法がありますが、不在者財産管理人の選任をし、その不在者財産管理人を相手として遺産分割協議や調停を成立させるのが原則的な解決方法です。

そこで、不在者財産管理人の選任を申立て、選任された不在者財産管理人と調停を成立させました。また、立て替えたローンの精算も、不在者財産管理人に関与してもらうことでスムーズに行うことができました。

当初、別の弁護士に依頼していたようですが、「相続人の1人が行方不明であるから、手続を進めることができない」ということで、「遺産分割調停を取り下げるよう調停委員から言われ、取下げをしてしまった」とのことでした。

しかし、行方不明であったとしても、解決の方法がないわけではありません。

不在者財産管理人を選任するにも費用がかかりますが、幸い本件ではアパート賃料があったため、それを不在者財産管理人の報酬に充てることができ、ご依頼者のT.Tさんの費用負担はせずに選任をすることができました。

不在者財産管理人の選任ではなく、調停の取下げに至った理由はよくわかりませんが、解決方法が全くないとも限りません。

結果として「手段を選んで対処すれば、解決することはできる」事案でしたので、今回の事例のように解決が難しいと考えられる事案でも、一度弁護士にご相談されることをお勧めします。

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