相続トラブルの解決事例 34

被相続人の不動産処理で相手方相続人と意見の相違があり、当事務所の弁護士が適切な代償金の支払いによる交渉を進め、ご依頼者の納得いくかたちで遺産分割協議が成立した事案

解決事例34

担当弁護士
今井 浩統
トラブル内容
遺産分割協議
解決方法
交渉
ご依頼者
T.Bさん
受任年
2020年
解決年
2021年

相続トラブルの概要

被相続人の事業に相手方法定相続人が深く関与しており、被相続人の生前から様々な贈与を受けていました。被相続人の死亡後、相手方が当該事業で使用していた不動産の取得を希望し、ご依頼者のT.Bさんは適切な金銭受領による遺産分割協議の成立を希望されたので、弁護士が相手方と交渉し、ご依頼者の希望する金額の取得に成功しました。

解決に向けてのポイント

不動産の取得を希望する相続人は、当該不動産の評価額に相当する代償金の支払いが必要となります。

遺産の中に、そのような評価額を上回る現預金があれば問題とならないことが多いのですが、このような現預金が存在しない場合、不動産の取得希望者は代償金を用意しなければ、当該不動産を取得することはできません。

解決に向けた交渉の経過

本件の遺産は、相手方の住む自宅不動産と事業用不動産、少額の現預金でした。

当事務所にご依頼いただく前、ご依頼者のT.Bさんは、相手方の住む自宅不動産を売却させることは難しいため、事業用不動産を売却し、売却金を利用して遺産分割を行うことを提案していました。

当該事業用不動産の取得を希望する方がおりましたので、相手方の承諾さえあればまとまるところでしたが、ご依頼者のT.Bさんから相手方に電話やメールをしても回答はほとんどなく、話し合いにも応じなかったため、当事務所に来所・ご依頼いただくことになりました。

被相続人の預貯金等は、相手方が管理していたため当事務所において調査をしたところ、銀行間での多数回の振込みが確認され、うち4000万円ほどが相手方に支払われていました。このため、これらの金額を踏まえ、事業用不動産を売却した分割を提案しました。

そうしたところ、相手方に代理人弁護士が就任し、4000万円のうち、一部については生前贈与と認め、残りは事業の支払いのためのものであると主張してきましたが、あわせて借入れをして代償金を支払いたいとの提案もなされました。

数度交渉するうち、ご依頼者のT.Bさんが当初獲得を希望していた金額の提案がなされましたので、当該金額で合意することとなりました。

当事務所が関わった結果

本件のご依頼者であるT.Bさんは、相手方に対して複雑な感情はお持ちでしたが、遺産分割協議の成立を合理的に考えておられたため、目標となる金額を教えていただき、当職で相手方の説得を行いました。

ご依頼者のT.Bさんは、金銭受領が目的であり、適切な代償金の支払いがなされるのであれば、事業用不動産の売却にもこだわりはありませんでした。このような中、交渉を重ね、相手方も当方の説得に応じてくださったので、高額な借入れが必要ではありましたが、2月ほどでおおよその協議は終了しました。

新型コロナウイルスに伴う最初の緊急事態宣言下でのご依頼であったため、遺産調査における各所での手続きが遅延するなど、当事務所ではいかんともしがたい部分もありましたが、協議自体は早期にまとまり、当事者双方において納得のできる解決ができたと思います。

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