相続トラブルの解決事例 07
相続トラブルの解決事例 07
被相続人(母親)の死亡前2年にかけて、被相続人の通帳・印鑑を管理していた一人の相続人Aさんによって、預金が50万円や100万円の単位で数回にわたって引き出されていました。ATMでキャッシュカードの1日上限額50万円が引き出されていることもあれば、窓口で数百万円引き出されている時もあり、合計すると5000万円以上の預金が引き出されました。
相続発生後、Bさんが預金を管理していたAさんに対し、預金がどうなっているかを質問しても、「被相続人のために使った」と、Aさんは曖昧な説明を繰り返すばかりでした。BさんはAさんとの遺産分割を進めるにあたり、引き出された多額の預金と遺産分割をどう進めればよいか悩み、法律相談に訪れました。
ご依頼を受けた時点で、Bさんの手元には被相続人の預金履歴の一部があるだけでした。弁護士は相続人Bさんから依頼を受け、交渉を行った後、預金以外の不動産と引き出した預金額とを調整するため、遺産分割調停を申立てました。
そして、調停の場で引き出した預金分を特別受益として扱い、Aさんの取得分を少なくする遺産分割をAさんに提案しましたが、Aさんは全く応じませんでした。
そのため、預金引き出し分について、調停とは別に訴訟を提起することとなり、訴訟を進めた結果、2000万円以上をAさんがBさんに支払うという訴訟上の和解が成立しました。
Aさんに対しては、交渉で引き出した預金の返還を求めましたが、Aさんは「被相続人のために使った」の一点張りで、自主的な返還に応じる考えは全くありませんでした。Aさんから依頼を受けた弁護士も、Aさんと同様の説明を繰り返すだけでした。
そのため、預金の管理をAさんが行っていたことなどを中心に、後の訴訟で預金の管理自体が争いとならないよう、前提となる事実関係を固める活動を進め、交渉は打ち切りました。
訴訟では、金融機関への文書調査嘱託等によって、Aさんが保有している預金口座に照会を行い、Aさんの預金情報と預金の移動情報について、詳細な調査と分析を実施しました。
その結果、被相続人の預金を引き出した同日に、Aさんの預金口座に多額の預金を移し替えた詳細な移動情報を把握できました。
訴訟で積極的な主張と決定的な証拠を確保できたため、裁判官からは、こちらの主張をほぼ認める形での和解提案がなされました。
Aさんも裁判官の考えには従い、訴訟では、Bさんの請求の大半を認める結果となる、有利な形での和解決着となりました。
被相続人の預貯金が一部の相続人に引き出された問題で、弁護士がこの相続人と交渉し、死亡後の引出しについて法定相続分に相当する金銭の支払いを受けることで解決した事案
相手方の1人が被相続人の生前に1億円を超える出金をしていたが、弁護士が介入して使途不明金の回収に成功した事案
被相続人の預金が2000万円近く10年に渡り引き出され、弁護士に相談。被相続人が預金を下ろしていない事実を突き止め、適正な遺産分割を行い早期に解決した事案
親の遺産の使い込みを指摘してきた他の相続人からの主張に対し、領収書を精査し支出を明らかにしたことで不当な使い込みがないことを証明、相手方が要求していた金額からの減額に成功し、和解した事案