相続トラブルの解決事例 07

亡くなった母親の預貯金の使い込みに対して訴訟を提起、金融機関への文書調査嘱託等により証拠を確保し、ご依頼者の請求の大半が認められる有利な和解決着となった事案

解決事例07

担当弁護士
谷 靖介
トラブル内容
遺産の使い込み
解決方法
訴訟上の和解
ご依頼者
I.Sさん
受任年
2015年
解決年
2017年

相続トラブルの概要

被相続人(母親)の死亡前2年にかけて、被相続人の通帳・印鑑を管理していた一人の相続人Aさんによって、預金が50万円や100万円の単位で数回にわたって引き出されていました。ATMでキャッシュカードの1日上限額50万円が引き出されていることもあれば、窓口で数百万円引き出されている時もあり、合計すると5000万円以上の預金が引き出されました。

相続発生後、Bさんが預金を管理していたAさんに対し、預金がどうなっているかを質問しても、「被相続人のために使った」と、Aさんは曖昧な説明を繰り返すばかりでした。BさんはAさんとの遺産分割を進めるにあたり、引き出された多額の預金と遺産分割をどう進めればよいか悩み、法律相談に訪れました。

解決に向けてのポイント

ご依頼を受けた時点で、Bさんの手元には被相続人の預金履歴の一部があるだけでした。弁護士は相続人Bさんから依頼を受け、交渉を行った後、預金以外の不動産と引き出した預金額とを調整するため、遺産分割調停を申立てました。

そして、調停の場で引き出した預金分を特別受益として扱い、Aさんの取得分を少なくする遺産分割をAさんに提案しましたが、Aさんは全く応じませんでした。

そのため、預金引き出し分について、調停とは別に訴訟を提起することとなり、訴訟を進めた結果、2000万円以上をAさんがBさんに支払うという訴訟上の和解が成立しました。

解決に向けた交渉の経過

Aさんに対しては、交渉で引き出した預金の返還を求めましたが、Aさんは「被相続人のために使った」の一点張りで、自主的な返還に応じる考えは全くありませんでした。Aさんから依頼を受けた弁護士も、Aさんと同様の説明を繰り返すだけでした。

そのため、預金の管理をAさんが行っていたことなどを中心に、後の訴訟で預金の管理自体が争いとならないよう、前提となる事実関係を固める活動を進め、交渉は打ち切りました。

当事務所が関わった結果

訴訟では、金融機関への文書調査嘱託等によって、Aさんが保有している預金口座に照会を行い、Aさんの預金情報と預金の移動情報について、詳細な調査と分析を実施しました。

その結果、被相続人の預金を引き出した同日に、Aさんの預金口座に多額の預金を移し替えた詳細な移動情報を把握できました。

訴訟で積極的な主張と決定的な証拠を確保できたため、裁判官からは、こちらの主張をほぼ認める形での和解提案がなされました。

Aさんも裁判官の考えには従い、訴訟では、Bさんの請求の大半を認める結果となる、有利な形での和解決着となりました。

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