相続トラブルの解決事例 57

土地の遺産相続で意見対立が先鋭化、弁護士が相手相続人の意向を引き出した上でご依頼者の意向をすり合わせ、お互いが納得の行く遺産分割で解決した事案

解決事例57

担当弁護士
谷 靖介
トラブル内容
遺産分割協議
解決方法
協議
ご依頼者
M.Tさん
受任年
2022年
解決年
2022年

ご相談時の状況

母親の相続に関するご相談で、被相続人である母親の相続人は、兄(相手相続人)、姉妹(ご依頼者)の3名でした。遺言も残されておらず、法定相続分はそれぞれが1/3でした。

都内の遺産の土地上に相手が建物を所有しており、土地取得を希望している様子でした。当事者で代償金について協議を進めていましたが、金額の開きが大きく、行き違いや感情対立もあり、協議が進まない状況に陥っていました。

解決に向けたご依頼後の弁護士の活動内容

初回法律相談から継続法律相談では、ご依頼者のM.Tさんがご自身で協議を進めるための連絡内容や分割の提案方法について、アドバイスを実施していました。

しかしながら、相手相続人の態度が非常に硬く、代償金の調整がつかずにお困りでしたので、お引き受けすることになりました。

まずは弁護士から相手相続人に手紙をお送りし、相手相続人の自宅を訪問しました。自宅訪問で、亡くなられた母親(被相続人)の生活状況など様々な話をしましたが、相手相続人も遺産分割協議の長期化を望むものではなく、また、家庭裁判所で遺産分割調停や審判になり、M.Tさんらの法定相続分(2/3)の権利が確定する事態までは求められると困る、といった状況が判明しました。

活動結果と解決のポイント

相手相続人との協議をふまえて、ご依頼者のM.Tさんと打ち合わせを行いました。M.Tさんらも、協議や家庭裁判所での調停・審判による解決の長期化や親族間の感情対立を望まないことから、法定相続分より譲歩をした内容の代償金を設定し、遺産分割の提案を行いました。

相続税申告期限が近づき、小規模宅地の特例を用いて相続税申告を図りたい当事者の考えもある中で、相手からの質問や諸連絡に丁寧に対応し、結果として、スムーズに遺産分割協議が成立しました。

分割協議の内容に従い、M.Tさんは代償金を取得することができました。

事例の総括

活動開始当初、ご依頼者のM.Tさんは「自分で協議しても態度を変えない相手と、弁護士の協議が進むのか」と、非常に心配されていました。また、遺産をめぐるトラブルに、非常にお疲れの様子でした。

相手相続人と速やかに接触をし、相手の思惑を探り、想定していたよりも相手相続人が紛争の拡大を望んでいないことが判明したので、当方で提案方法を工夫し、無事、代償金方式による遺産分割が成立しました。ご依頼から4か月程度で解決に至り、M.Tさんには大変喜んでいただけました。

遺産分割協議の場合、お互いの利害や手続きに要する期間・労力・心理的負担を考慮し、時には法定相続分よりも多少譲歩をして着地を図ることがありますが、そのような視点から短期解決を図った例といえます。

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