相続トラブルの解決事例 55

相手配偶者の干渉が強く当事者間の協議が困難ななか、分割提案を工夫し、約4か月の交渉によって遺産分割協議が成立した事案

解決事例55

担当弁護士
谷 靖介
トラブル内容
遺産分割協議
解決方法
協議
ご依頼者
N.Jさん
受任年
2022年
解決年
2022年

ご相談時の状況

父親の相続に関するご相談で、被相続人である父親の相続人は、兄(相手相続人)、ご依頼者であるN.Jさんの2名でした。

遺言も残されておらず、法定相続分はそれぞれ1/2、遺産の内容は、関西の実家の土地及び建物、預貯金、株式となっていました。

相手相続人の配偶者(義姉)が父親の生前から財産問題に積極的に関与しており、不明点や疑問点が多い状態でもありました。

実家の土地及び建物の名義変更のため、N.Jさんが相手相続人に実印・印鑑証明を預けていたところ、正式な遺産分割協議を締結する前に、相手相続人が土地及び建物の名義変更、預貯金の解約、株式の名義変更を進めており、そのような状態からのスタートでした。

セカンドオピニオンによる弁護士からのアドバイス

初回法律相談時は、既に他の弁護士にご依頼中であったため、セカンドオピニオンの法律相談でした。

当時依頼中の弁護士は、家庭裁判所での遺産分割調停を進めていましたが、ご依頼中の弁護士の活動方針(調停で諸問題を総合的に解決)と、ご依頼者のN.Jさんが希望する方針(財産管理状態などの調査や確認)にズレが生じていました。

そのため、初回法律相談では、ご依頼中の弁護士の進め方とは違った角度からアドバイスを行いました。しばらくしてN.Jさんは、いったん他の弁護士との委任契約を終了させて、調停も取り下げをしました。

調停取り下げ後、ご自身で預金情報などの調査を進めた上で、継続して法律相談を行い、アドバイスを行いました。

N.Jさんが特に気になっていた預貯金の管理状況について、情報把握や理解が相当進み、改めて相手相続人と交渉し直すことになりました。

相手弁護士との直接交渉は心情的な負担が強いとのことで、ご依頼をお引き受けすることとなりました。

解決に向けたご依頼後の弁護士の活動内容

まずは相手代理人に連絡をし、遺産の全容分析、既に名義変更済みの実家不動産や株式、解約済みの預貯金の扱いについて、法的なポイントを中心に協議を提案しました。

相手相続人が実家不動産の取得を強く希望し、当方は不動産の取得を希望しなかったことから、実家不動産は相手相続人が取得することを前提として、預貯金の金額調整を中心に交渉を進めました。

双方ともに家庭裁判所での調停・審判による手続きの長期化や、これ以上の感情対立を避けたい思いもあり、結果として改めての調停は行わず、遺産分割協議が成立し、ご依頼者のN.Jさんは、金融資産を中心として適正な遺産を取得することができました。

解決のポイントと依頼者様からのコメント

ご依頼時点で既に不動産の名義が変更され、預貯金も解約されてしまっているという変則的な事案のため、活動開始当初、ご依頼者のN.Jさんは「前任弁護士でうまく進まなかった遺産分割が果たして進むのか」と、非常にご不安が強い様子でした。

また、被相続人の老後の世話をめぐる過去のいきさつなどで、相手相続人、相手配偶者との衝突もあり、精神的にも強い負担を受けていました。

交渉を進める中で、相手相続人も紛争の長期化や拡大を望んでいないことがわかり、強く押す部分と敢えて押さない部分を意識しながら交渉を進めたところ、結果として、ご依頼から4か月程度で、相応の金融資産を取得する内容での遺産分割が成立しました。

解決後、ご依頼者のN.Jさんからは「これで両親との別れに向き合う事ができた気がします。早期解決に結びついた事、的確に助言をくださったこと、心の支えになってくださったことについて、心より感謝いたします」とのお言葉をいただきました。

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