相続トラブルの解決事例 48

隣接する遺産不動産に対立当事者が居住する事案において、ご依頼者の希望どおり遺産不動産すべての取得に成功し、相手方を立ち退かせることに成功した事案

解決事例48

担当弁護士
今井 浩統
トラブル内容
遺産分割
解決方法
調停
ご依頼者
T.Yさん他2名
受任年
2019年
解決年
2021年

ご相談時の状況

遺産である土地上に遺産である建物が2軒あり、建物Aにはご依頼者の1人であるT.Yさんが被相続人と同居しており、建物Bには相手方らが居住しておりました。

相手方らは、一方的に遺産のほとんどを取得する旨宣言し、T.Yさんらは、相手方らから暴行を受ける等の被害に遭うこともあったため、当事者間では話し合いがおよそ不可能な状況でした。

また、建物Aに居住していたT.Yさんは高齢であったため、建物Aから退去した場合、新たに賃貸借契約を締結することが難しい状況にあり、建物Aを取得できなければ住居を失う可能性がありました。T.Yさんは、両当事者の関係性等から、その後の生活に支障をきたす恐れがあるなど、複雑な事情もあったことから、これら不動産の取得を希望していました。

解決に向けた弁護士の活動内容と解決に至ったポイント

不動産の一部には相手方も居住していたため、審判において不動産の全てを取得することは困難な事例でした。不動産を現物分割する等の方法は考えられましたが、相手方が暴力的な人物であったため、ご依頼者のT.Yさんに身体的危害を加えられる危険性が高く、当方にて全ての不動産を取得し、相手方に退去してもらう必要がありました。

T.Yさんは遺産相続に関する事実関係を理解しきれていなかったため、私と一緒に整理しながら法律関係を分析していきました。その中で、T.Yさんが正当な権利をどこまで主張すれば、どのような事態を招いてしまうのか、法的な権利関係のみならず、弁護士としての経験から事実上の問題点等も踏まえた打ち合わせを行い、解決までの方向性を決めました。

方針を打ち合わせたあと、相手方に書面を送付しましたが、弁護士に連絡はありませんでした。また、弁護士からの警告を無視してT.Yさんに直接接触を図る等されましたので、直ちに調停を申立てました。

本件については、T.Yさんの寄与分、相手方らによる貸金、30年にも渡る親族間でのトラブル等、多数の問題があったのですが、不動産の取得を優先しました。調停では当初の予定通りに進み、最終的にはT.Yさんが不動産のすべてを取得し、相手方らが代償金を受け取って退去することで合意が成立しました。

予測される相手方らの対応を踏まえ、詳細に打ち合わせができていたこともあり、調停はわずか4回の期日で成立しました。

法的には実現困難であった不動産全ての取得及び相手方らの退去に成功したため、T.Yさんをはじめ、ご依頼者のみなさんには大変喜んでいただき、何度もお礼のお手紙をいただきました。私としては思ったとおりの解決ができたことも嬉しかったのですが、何よりもご依頼者のみなさんに喜んでいただけたことに一番の喜びを感じています。

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