子どもが面会交流を嫌がる場合の対応と注意点とは?
- 公開日:
- 2026年5月13日
子どもの別居している親との親子交流(面会交流)についてきちんと取り決めをして離婚したものの、子どもが親子交流を嫌がるようになった場合、子と同居している親はどのように対応すべきでしょうか。
嫌がるなか無理やり会わせても子どものためによくないと感じたり、離婚時の親子交流の取り決めを頻繁に破ってしまうと相手から法的措置をとられるのではと、板挟みとなり不安に感じるかもしれません。
親子交流時の子どもの状況により対応が変わってきますので、ここでは、状況に応じた対応方法や注意点について解説します。
- この記事の内容
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取り決めた親子交流(面会交流)を拒否することは原則難しい
親子交流(面会交流)は、別居後・離婚後であっても、親子が交流できることが、子どもの健全な成長に役立ち、子どもの利益に適うという観点で行われるものです。
そのため、いったん取り決めた親子交流を、単に「(元)配偶者が嫌い」「再婚するので会わせたくない」といった理由で拒否することはできません。正当な理由なく親子交流を拒否し続けてしまうと、子と同居している親にデメリットが生じることがあります。具体的には、相手方から慰謝料請求や「間接強制」の申立てといった、金銭的な請求を受けたり、親権者の変更を主張されたりする可能性があります。
また、親子交流について正式な取り決めがない場合にも、特段の事情がないのに交流を拒否していることが、裁判所が親権者の決定・変更の判断をする際に、マイナス要素として考慮されるリスクがあります。
親子交流(子どもの面会)を拒否できるケースとは?
親子交流は、何よりも子どものために行うべきものであり、交流のあり方を考える際には子どもの利益を最優先とする必要があります。したがって、交流を続けることが子どもの利益に適わないといえる正当な理由がある場合には、親子交流を拒否することができます。
具体的には、以下のような場合には親子交流を拒否する正当な理由があるといえます。
- 子どもへの虐待のおそれがある場合
親子交流を行うことで、相手方から子どもに対する暴行・暴言等の虐待が行われるおそれがある場合、親子交流を拒否することができます。同居時に実際に虐待が行われていた場合には、虐待のおそれが認められやすいといえます。
- (元)配偶者へのDVがあった場合
子ども自身に虐待の被害がないとしても、親がDVを受けていた場合、親子交流を拒否できる可能性が高いといえます。隠している居場所が相手方にばれて危険が生じるリスクがありますし、子どもがDV加害者である相手方に恐怖を抱いていることもあるためです。
なお、子どもの目の前で配偶者に暴力を行う「面前DV」は、子ども自身への心理的虐待として交流を拒否できる事情となります。
- 子どもが連れ去られるおそれがある場合
相手方が面会時に子どもを連れ去るおそれがある場合、親子交流は拒否することができます。
相手方が過去に子どもを連れ去ったことがある、子どもを連れ去ることをほのめかしているといった場合、連れ去りのおそれが認められやすいといえます。
- 子どもが本心から拒否している場合
子ども自身が本心から親との交流を拒否していることは、親子交流を拒否する正当な理由になりえます。子どもの年齢が高くなるほど、子ども自身の会いたくないという意思が尊重されやすくなっていきます。
なお、「会いたくない」という子どもの言葉が、同居している親への遠慮や迎合からくるものであって、子どもの本心ではない場合には、親子交流を拒否できる正当な理由とはなりませんので、注意が必要です。
- 子の都合を無視した親子交流の要求がある場合
子どもは成長するにつれ、親以外の人との交流も増え、予定も増えてきます。そのため、例えば「第1土曜日に面会する」と決めていても、優先しなければならない予定が入り、予定どおりの交流ができないことも増えていきます。
そうした事情に配慮せず、相手方が「絶対に第1土曜日に面会させろ」といった、子どもの都合を無視した要求を突き付けてくる場合には、親子交流を拒否できる可能性があります。
なお、こうしたケースであっても、直ちに親子交流を拒否するのではなく、まずは相手方と協議して、日程再調整や直接会うことに代わる交流方法の調整を試みることが重要です。
- 父母の争いが激しく子に過度の負担をかける場合
父母の間の争いが非常に激しく、交流を行うことで子どもに過度の負担が及ぶ場合、面会交流を拒否できる可能性があります。
父母がお互いに相手の悪口を子どもに吹き込む、子どもを通じて相手の状況に探りを入れる、本来直接協議すべき事項を子どもに伝言させるといった言動は、子どもに精神的負担をかけることになり、現時点で交流を行うことが子どもの利益に適わないという判断に繋がることがあります。
もちろん、子どもと同居している親も、このような子どもに負担をかける言動を取らないよう注意が必要です。
正当な理由により親子交流(面会交流)を拒否する場合の流れ
正当な理由があって親子交流を拒否する場合には、以下のような流れをとることになります。
- 子どもが嫌がっていても無理のない範囲でまずは交流を促してあげる
虐待や連れ去りのおそれがないにも関わらず、子どもが相手方と会うのを嫌がっていることがあります。そのようなケースでは、いきなり親子交流を拒否するのではなく、交流を行うことを促してあげることが重要です。
特に小さい子どもほど、同居している親への遠慮や同調が、「パパ・ママが嫌いだから会いたくない」といった表現をとることがあります。また、友達や習い事など親以外の都合を優先したい気持ちから「会いたくない」と言っているケースもあり、日時や場所の調整によって解決するケースもあります。
子どもと同居している親は、別居している親に会いたければぜひ会ったらよいと子どもに伝えてあげることが重要です。親自身の相手方に対する気持ちを切り分けることはなかなか難しいですが、なるべく喜んで親子交流に送り出す姿勢を見せたいところです。
子どもの「会いたくない」という言葉を鵜吞みにして親子交流を拒否してしまうと、後に正当な理由として認められないおそれがあります。
- 相手方と協議する
親子交流を拒否する場合、まずは相手方と協議を行うことが一般的です。
子どもが成長するにつれて、当初取り決めた交流条件が現状に合わなくなることはよくあります。
「取り決めたとおりの交流をする」か「交流を拒否する」かの二者択一ではなく、今の子どもの状況にあった柔軟な調整を試みましょう。会う頻度や時間を減らすことで、子どもにとっても親にとっても負担の少ない交流に変えられる可能性があります。
また、直接会う形での親子交流が難しい場合には、ビデオ通話や電話、手紙やメールでの交流、子どもの写真の提供といった間接的な交流を行う合意ができないか検討します。
- 調停による解決
相手方が当初の取り決め内容に頑なにこだわったり、実現困難な交流条件を要求してきたりして、協議での合意が困難な場合には、裁判所での「親子交流調停」による取り決めを行います。
調停手続きの中では、必要に応じて、家庭裁判所調査官が子どもと面談して調査を行ったり、試行的な交流を実施したりして、子どもにとって最善の形で親子交流を実現することを目指します。
第三者である裁判所を介して話し合うことで、負担の大きい交流の取り決めを変更し、子どもの現状に合わせたものにできるケースが多くあります。
- 審判による解決
調停での話し合いを経ても、親子交流の条件が折り合えず、合意ができない場合には、親子交流調停は不成立となります。この場合、手続きは自動的に「親子交流審判」に移ります。
審判では、これまでの両当事者(父母)の主張や、調査官調査の内容といったものを踏まえて、裁判官が面会交流の条件を取り決めます。
親子交流(面会交流)を拒否することで生じるリスクとは?
面会交流を拒否した場合、次のようなリスクが生じる可能性があります。
- 履行勧告を受ける
相手方が申し出を行うと、裁判所は、取り決めた内容に従って親子交流を行うよう、同居している親への勧告・説得を行います。
履行勧告には強制力はありませんが、心理的なプレッシャーがかかることになります。
- 間接強制(強制執行)がなされる
親子交流を拒否し続けていると、強制執行の一種である「間接強制」が行われる可能性があります。
間接強制は、決められた期間内に取り決めどおりの親子交流を行わないと、「間接強制金」という金銭的なペナルティを課して、心理的プレッシャーをかけるものです。通常「親子交流に応じない場合には、1回あたり○円支払え」という形がとられます。
1回あたりの金額は数万円程度ですが、長期間親子交流を拒否するほど、金銭的な負担が増していきます。
- 親子交流拒否についての慰謝料請求を受ける
相手方が慰謝料請求の裁判を起こすことがあります。
親子交流を拒否する正当な理由が認められない場合には、実際に数十万円程度の慰謝料の支払いを命じる判決が出されるケースもあります。
- 親権者の変更・決定に影響する
親子交流を拒否していることを一事情として、相手方から親権の変更(相手方自身の単独親権への変更・共同親権への変更)を主張されることがあります。
正当な理由のない交流の拒否は、子どもの利益を十分に尊重していない姿勢の表れと捉えられて、親権者を変更する際の判断にマイナスに働く可能性があります。
また、離婚前の場合にも、離婚成立時に親権者を決定する際に、親子交流拒否が影響を及ぼす可能性は否定できません。
共同親権でも正当な理由があれば親子交流(面会交流)を拒否することはできるのか?
共同親権を選択した場合であっても、親子交流が子どものためのものである点は同様です。したがって、親子交流を行うことが子どもの利益に適わず、交流を拒否する正当な理由があるのであれば、やはり親子交流を拒否できると考えるべきです。
共同親権特有の問題
もっとも、拒否する場合、共同親権特有の問題が考えられます。
- 親権行使の際に協力を拒否される
共同親権の場合、離婚後も、子どもの引っ越し・進学・医療行為等の親権行使について、元配偶者と協議して決める必要があります。このため、本来あってはならないことですが、親子交流を拒否されていることを理由に、父母で協議して決めなければならない事項についての協力を拒否されることも想定されます。
- 親子交流の求めが強くなる
別居している親の心情として、親権がない場合に比べ、「親権者なのだから当然会う権利があるはずだ」という思いを抱きやすくなるといえ、より強く親子交流を要求されることが考えられます。
共同親権については、2026年(令和8年)4月に法改正がなされたばかりですので、親子交流を拒否した場合の裁判所の判断の蓄積が待たれるところです。
親子交流(面会交流)で相手と揉めるようなら弁護士に相談する
親子交流について、相手方と直接協議をすると、どうしてもお互いに感情的になってしまいがちです。「自分自身が子どもに会いたい」「会わせたくない」という親の気持ちが先に立ってしまい、本来最も尊重されるべき、子どもの気持ち・子どもの利益が後回しになってしまうこともよくあります。
弁護士に相談することで、どのような親子交流のあり方が今の子どもにとって相応しいか、冷静に見極めながら対応を行うことができます。
また、弁護士を代理人に立てることで、相手方の不当な要求に押し切られる心配なく、無理せず継続可能な交流方法をとることができます。また、調停や審判の手続きで解決を図る場合の不安も解消することができます。
親子交流について相手方との協議がうまくいかない場合には、一度弁護士に相談してみましょう。
離婚・不貞に関する問題は弁護士へご相談ください
この記事の監修

離婚・不倫は、当事者の方を精神的に消耗させることが多い問題です。また、離婚は、過去の結婚生活についての清算を図るものであると同時に、将来の生活を左右するものであり、人生全体に関わる問題といえます。
各問題を少しでもよい解決に導き、新しい生活をスタートさせるお手伝いができれば幸いです。
弁護士三浦 知草
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市川法律事務所
- 千葉県弁護士会
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