配偶者が重度の統合失調症により婚姻継続が難しい状況で、弁護士が配偶者に配慮した保障提案を行い審判により離婚が成立した事案
- 公開日:
- 2026年7月24日
訴訟
- 担当弁護士
- 齋藤 碧
ご依頼者:T.Tさん・40歳代・男性
- 婚姻期間
- 約24年
- 子ども
- 2人(成人)
- 解決までの期間
- 約2年
ご依頼者の状況
ご依頼者であるT.Tさんの配偶者の方が、重度の統合失調症により意思疎通をはじめ家事や生活ができなくなり、精神科に入院中のため離婚協議が出来ない状況で、T.Tさんが離婚を希望され、ご相談に来られました。
解決に向けた弁護士の活動内容
協議離婚をするためには、配偶者の方に離婚の意味と効果が理解できる意思能力がある必要があることから、まずは、主治医に対して配偶者の方の意思能力に関する照会を行いました。
主治医の判断では意思能力はなく、回復の見込みもないとのことでした。そのため、裁判所に対して成年後見人の選任(後見開始の審判)申立てをし、「配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき」との離婚原因があるとして離婚裁判を提起しました。その後、裁判官の判断により調停手続きへと移行し(付調停)、最終的に調停に代わる審判という方法で離婚をすることができました。
弁護士による事例総括
配偶者の方本人を相手方として離婚手続きを進めることができなかったことから、後見開始の審判により、相手方の代理人として対応してくれる成年後見人が必要な事件でした。
裁判実務では、改正前民法第770条1項4号の「配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき」との離婚原因があっても、原則として、精神疾患をお持ちの方の療養・監護についての十分な保障がない場合には、裁判所の裁量によって離婚を認めないものとされていました。
現在の民法では、「配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき」との離婚原因は削除されましたが、「その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき」という離婚原因の1つの事情として配偶者の精神障害の状況を考慮することができるとされています。
本件は改正前民法の離婚事件でしたが、配偶者の方が社会保障制度により継続的な給付を受けられること、ご依頼者のT.Tさんが財産分与として一定の金銭を支払うことで離婚が認められました。