相続トラブルの解決事例 15
相続トラブルの解決事例 15
本件は、お父様のご相続に関して、奥様とお子様のお1人(X様)からのご相談で、家族関係としては、お父様(被相続人)、奥様(妻)、子ども2人(X、Y)とのことでした。
元々、お父様と奥様は、相手方のYと自宅で同居していたものの、最近は両親とYとの関係性が悪化したため、お父様の相続発生後は奥様が自宅を出てX様と暮らすようになっていました。
お父様の遺産としては、奥様が結婚前から所有していた土地に建てた自宅建物があり、その他は預貯金(数百万円)がほとんどでした。
他方で、相手方Yは、X様が生前にお父様から援助を受けており、特別受益があることを強く主張しているとのことでした。
このような状況で、当事者同士の遺産分割協議がなかなか進まないとのご相談で、奥様としては老後の生活のために自宅建物を取得し、自宅敷地を含めて活用したいのとのご希望をもっていました。
本件は、自宅建物のみが遺産となるという意味ではややイレギュラーな事案であり、ご依頼者はご自宅建物を取得されることを希望していました(なお、このような場合、遺産の建物は、単なる建物だけではなく敷地利用権原【例:使用貸借・賃借権】が付帯する建物として、敷地利用権原を含めて評価されます)。
しかし、遺産である自宅建物には相手方Yが居住しており、仮に遺産分割の結果として奥様が自宅建物を取得できたとしても、Yが任意に退去してくれない場合には、退去のための法的手続を別に執らなくてはいけません。
したがって、本件のポイントの1つは、相手方Yから任意退去が得られるかでした。
また、その他の遺産はほとんどが預貯金であったところ、相続発生の前後において、被相続人名義の預貯金が引き出されているとのことでしたので、その点についても調査が必要であると考えていました。
ご依頼をお受けした後、まずは相続預貯金の調査を行い、預貯金の入出金の状況を確認し、不動産の評価については固定資産税評価証明書等を収集して、評価額の調査を行いました。
遺産内容と評価額について整理した上で、相手方に対して遺産分割調停の申立を行いました。
調停手続は、第三者(調停委員)を介して、定期的に期日を重ねて協議を進めることができます。特に今回の件では、相手方にも代理人弁護士が選任されており、双方とも代理人が就いたことでポイントとなる事項を中心に、効率よく協議を進めることができました。
具体的には本件調停で、相手方が引き出した預貯金の使途について説明を求め、葬儀費用等の使途の説明や領収書等の資料の開示を受けました。
さらに、当方の分割案の希望を説明し、相手方に対し任意の退去を求める旨を伝えました。
数回の期日を経て協議した結果、相手方Yが引き出した預貯金の使途については特段不審な点がないことを確認することができました。
また、相手方からは、自宅建物は奥様が取得することに応じ、自宅を任意に退去することにも応じる旨の返答を得ることができました。
もっとも、相手方Yとしては、X様への特別受益をからめて、預貯金については多めに取得したいとの希望があるようでした。
そこで、ご依頼者の奥様とX様とで慎重に方針を検討した上で、自宅建物の退去の問題を一挙に解決できるメリットを踏まえて、相続預貯金の取得額については相手方の主張に多少譲歩した上で、さらに交渉を重ねました。
その結果、最終的には双方納得する分割案で調整することができ、無事に調停を成立させることができました。
そして、調停成立から数か月後に相手方は自宅建物を任意に退去し、奥様はご自宅を無事に取得することができました。
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