相続トラブルの解決事例 11

亡くなった母親の土地相続について兄弟姉妹間で揉め、当事者のひとりから遺産分割調停が申し立てられ、最終的に他の相続人から代償金を取得する形で合意が成立した事案

解決事例11

解説弁護士
谷 靖介
トラブル内容
遺産分割協議
解決方法
調停
ご依頼者
T.Bさん
受任年
2016年
解決年
2019年

相続トラブルの概要

亡くなったお母様の遺産に関する話し合いが兄弟姉妹で進まない遺産分割の事案です。

遺産のうち預金が占める割合が小さく、遺産の大半が土地でした。土地を誰がどう取得するかについて、相続人間で話し合いが進まず、法律相談にお越しになられました。

他の相続人から家庭裁判所の遺産分割調停が申し立てられ、さらには、他の相続人が弁護士を就け、お母様への寄与やお母様からご依頼者への金銭提供など特別受益を強く主張したことから、遺産分割調停・審判の代理活動をご依頼されることとなりました。

解決に向けてのポイント

他の相続人は土地の取得に対する拘りが非常に強く、また、寄与分として、お母様のための財産支出、介護サポートなどに関して、弁護士を通じて様々な主張を行い、大量の資料を提出しました。

財産支出に関する寄与分主張は一定の根拠もありましたが、ご依頼者の相続分をゼロとするほどの根拠はありませんでした。

他の相続人が諸事情により土地の取得を強く希望していたことから、裁判官をまじえて和解条項を摺合せ、ご依頼者が他の相続人から代償金を取得する形で合意が成立しました。

解決に向けた交渉の経過

調停が申し立てられた当初、ご依頼者はご自身で調停に出席しており、弁護士は法律的なポイントを中心に、継続アドバイスという形でサポートをしていましたが、他の相続人が調停申立て当初から弁護士を就け、寄与分の詳細な主張を行い、ご依頼者の相続分はない、との強い主張を行いました。

調停当初は非常に他の相続人の主張が強固なものであったため、当事務所にて詳細な反論を行い、寄与分の主張については、生前のお母様の生活状況や介護の必要性の詳細な内容について、過去の資料などを裁判所に提出し、丁寧な反論を行い、同時に和解成立のポイントを探る努力を続けました。

当事務所が関わった結果

担当弁護士は、他の相続人による寄与分の主張や提出した証拠について、ご依頼者の考えをもとに、詳細な反論や証拠提出を行いました。結果として、双方の法律上の主張や証拠の提出は膨大な分量となりました。

手続の終盤では「仮に審判が発令された場合はどのような遺産分割となるか」に関して、担当弁護士が遺産分割審判手続を担当する裁判官に質問をし、裁判官からは、仮に審判となった場合の分割内容の見込み等を伝えました。

他の相続人も、審判発令を望むものではなかったため、土地は他の相続人が取得する代わりにご依頼者が一定の金銭を取得する形で、合意が成立しました。

担当弁護士は他の相続人の寄与分主張へ適切な反論を行い、仮に審判が発令された場合の展開予測を丁寧に行い、裁判官をまじえ、丁寧な和解調整を行いました。

ご依頼者様からのコメント

ご依頼者は、他の相続人が遺産に対する拘りが強く、譲歩の姿勢が非常に弱いことに困惑し続けていました。他の相続人は、一定の寄与分があるとはいえ、ご依頼者の取得分を非常に少なく考えており、協議調整がスムーズには進まない状態が続きました。無事和解が成立した時は、とてもホッとしたご様子でした。2年以上の期間がかかった遺産分割が無事にまとまり、裁判所での和解を報告した際は、「遺産に関する法律問題が全て解消してよかった」「弁護士のおかげで遺産問題が解決して、本当によかった」「もし兄弟姉妹と今後またトラブルになった時は、また相談をします」とのお言葉をいただけました。

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