相続トラブルの解決事例 01

母親・第2子と他の兄弟が対立。遺産の評価方法、特別受益の該当性など相手方代理人と粘り強く議論を重ね、母娘側の希望に沿うかたちで調停を成立した事案

解決事例01

解説弁護士
谷 靖介
トラブル内容
特別受益
解決方法
調停
ご依頼者
K.Eさん
受任年
2017年
解決年
2018年

相続トラブルの概要

お父様の相続に関し、妻とお子様2人が相続人となる事案で、当事務所には妻とお子様のお一人から相談いただきました。

状況を伺ったところ、「他方の兄弟から『調停を申し立てる』と言われており、どのように対応したらいいか分からない。」とのことでした。

ご相談者のお悩みとして、相手方はお父様の生前に住宅の無償利用等の経済的援助を受けており、そういった過去の経緯を踏まえて公平な遺産分割をしたいとのご希望でした。

また、高齢の奥様の老後資金をいかに残すのかという点についてもお悩みでした。

解決に向けてのポイント

ご依頼者様のお話を伺って、解決に向けたポイントが2つありました。

遺産の評価

主な遺産は、マンション2件と預貯金でした。

ご依頼者様は、一方のマンションを取得することを希望されていたのですが、マンションの評価額によって遺産総額が変わり、相手方に支払うべき代償金の額にも影響します。そして、代償金の金額は、奥様が手元に残すことができる預貯金に跳ね返ってくるという構図でした。

このような構図から、本件では遺産の評価(不動産の評価方法)がポイントになる事案でした。

特別受益(住宅の無償使用)

被相続人と同居していた場合の住宅の無償使用について、一般的には特別受益に当たる可能性が低いケースが多いと思われます。

もっとも本件では、相手方はお父様と同居しておらず、以前には相手方がお父様に家賃相当額を支払っていた等の個別事情もあったため、特別受益に当たる可能性があり得ることを強調するように努めました。

解決に向けた交渉の経過

相手方から調停申立がなされ、リーガルプラスで調停手続代理人として活動を開始することになりました。

相手方にも代理人(弁護士)が就任したため、代理人間で主張整理を重ねることができ、争点整理は建設的に進めることができました。

しかし、実際に調停期日に出席した際、ご依頼者様には調停委員の対応に苦慮する面が若干あったかもしれません。

当事者本人からすると、調停委員が相手方に肩入れするような言動をとっているように思えてしまい、調停がこじれてしまうケースはよくあることかもしれません。

そうした場合、代理人が一緒に調停に出席していれば、弁護士がご依頼者と調停委員とのクッションになれるかと思います。

本件でも、ご依頼者様は、初めて裁判所を利用されるとのことでしたので、一緒に調停に出席することで、調停委員への対応についてもできる限りサポートいたしました。

当事務所が関わった結果

調停の初期において、相手方はマンション1件と代償金約700万円の分与を要求してきました。

しかし、遺産の評価方法、特別受益の該当性、今後の妻の生活設計について相手方代理人と粘り強く議論を重ねた結果、相手方から譲歩を引き出し、マンション1件と代償金400万円を支払う内容にて調停を成立させることができました。

調停期日は5回目で成立し、約5か月間で解決となりました。結果的にはご依頼者様が希望された方のマンションを確保し、少しでも多く妻の老後資金を残すことができました。

また、心理面でご依頼者様は慣れないトラブルを抱えて不安なお気持ちが強かったかと思います。リーガルプラスの弁護士がお手伝いさせていただくことで、少しでも心の支えとしていただけたなら幸いに存じます。

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