交通事故被害の基礎知識

適正な後遺障害等級認定を受けるための後遺障害診断書の作成手順について

適正な後遺障害等級認定を受けるための後遺障害診断書の作成手順について

交通事故被害に遭われ、通院してケガの治療にあたってきたが、完治に至らず医師より症状固定を告げられた場合、後遺障害診断書を作成する必要があります。

後遺障害診断書は、交通事故が原因で後遺障害(いわゆる後遺症)が残ったとき、後遺障害の症状や支障内容を証明する重要な書類です。

後遺障害の等級認定を受けることができれば、損害賠償項目に後遺障害慰謝料や逸失利益が加わり、賠償される金額が大きく変わります。書面に適切な記載がされないと、後遺障害等級が認定されないこともあり、特に注意が必要です。

後遺障害診断書は、主治医に作成を依頼して記載してもらいます。後遺障害診断書に対して理解の深い医師であれば問題ないのですが、ときに後遺障害の認定に影響を及ぼす可能性がある記載や、そもそも診断書の記載を拒否される医師も稀にいるため、事前に準備を進めておくことも大切です。

ここでは、適正な後遺障害等級認定を受けるために注意すべき後遺障害診断書の作成手順について解説します。

この記事の内容

適正な後遺障害診断書を作成することの重要性について

まずは、後遺障害診断書が、適正な後遺障害等級認定を受けるための重要書類であることについてご説明します。

後遺障害等級が認定されることの効果

後遺障害等級が認定されると、ケガによる損害(治療費、入通院慰謝料、休業損害など)に上乗せして、後遺障害による「後遺障害慰謝料」と「逸失利益」の賠償を受けることができます。

後遺障害慰謝料は、障害等級ごとに金額が定められており、むちうち症であれば第14級で110万円、第12級で290万円です(いずれも裁判基準)。

後遺障害等級と後遺障害慰謝料額

第1級 2800万円
第2級 2370万円
第3級 1990万円
第4級 1670万円
第5級 1400万円
第6級 1180万円
第7級 1000万円
第8級 830万円
第9級 690万円
第10級 550万円
第11級 420万円
第12級 290万円
第13級 180万円
第14級 110万円
  • ※いずれも裁判基準の満額です。

逸失利益は、後遺障害による労働能力の喪失についての損害です。

基礎収入(会社員であれば額面の年収)×労働能力喪失率×労働能力喪失期間に対応するライプニッツ係数(労働能力喪失期間から中間利息を控除した数字)で算出されます。

労働能力喪失率は、障害等級ごとに定められています。むちうち症の場合、第14級で基礎収入の5%を5年分、第12級で14%を10年分の逸失利益が認められることが多くなります。

むちうち症・捻挫・打撲などの軽傷を除くケガの場合、労働能力喪失期間は症状固定から67歳までの期間又は平均余命の1/2のいずれか短い方となります。

後遺障害等級と労働能力喪失率

第1級 100%
第2級
第3級
第4級 92%
第5級 79%
第6級 67%
第7級 56%
第8級 45%
第9級 35%
第10級 27%
第11級 20%
第12級 14%
第13級 9%
第14級 5%

等級が変わると、後遺障害慰謝料と逸失利益を合わせて、百万円単位で賠償金額が変わることになります。

適正な賠償額を受け取るためには、適正な後遺障害等級が認定されることが欠かせません。

後遺障害診断書が認定の基礎になる

後遺障害等級の認定を行うのは、損害保険料率算出機構(自賠責保険の調査事務所)です。

後遺障害の審査は、原則として書面審査です。提出された書類と画像データから等級が判断され、調査担当者が被害者の症状を直接目にする機会はありません

等級認定の判断の際には、医療記録が参照されますが、後遺障害診断書は、その中でも判断の基礎になる重要な書類です。

後遺障害診断書に正しく症状が記載されていないと、後遺障害等級が非該当となってしまったり、実際の症状よりも低い等級が認定されてしまうおそれがあります。

資料を追加して異議申し立てを行い、等級を後から争うことは可能ですが、その場合にも、1度提出した後遺障害診断書を撤回することはできません。

また、裁判で後遺障害等級を争うこともあり得ますが、裁判段階で、自賠責の認定と異なる判断をしてもらうハードルは非常に高いといえますし、やはり裁判官も後遺障害診断書の記載には着目します。

申請を行う段階で、必要事項を満たした後遺障害診断書をきちんと提出し、最初から適正な等級の認定を受けられるようにすることが重要です。

  • ※醜状障害の場合には書面審査に加えて面談調査が実施されます。

後遺障害診断書の入手方法と諸経費

後遺障害診断書には、自賠責保険の申請専用の書式があり、病院から通常発行される診断書とは異なります。書式は保険会社からもらうのが一般的ですが、後遺障害診断書の作成依頼の多い整形外科などでは、書式を備えていることもあります。

書式を取得したら、主治医に後遺障害診断書の作成を依頼します。作成の際には、改めて診察を行い、症状の聴取や各種検査を実施する医師が多いです。

複数の診療科にかかっている場合には、すべての科の主治医に作成を依頼しましょう。例えば、事故で骨折と歯の欠損が生じた場合には、整形外科だけでなく歯科または口腔外科の後遺障害診断書が必要です。

作成費用は、1通につき5000円~1万円程度です。その他、後遺障害診断書作成のために診察や検査を受けた場合には、その費用がかかります。後遺障害診断書作成費用はいったん立て替え払いとなりますが、等級が認定された場合には、支払いを受けることができます。

後遺障害診断書は、診察を受けて作成を依頼してから、数日から2週間程度で受領できることが多いです。

適正な後遺障害診断書を医師に作成してもらうには?

医師は治療の専門家ですが、必ずしも後遺障害申請の知識が豊富なわけではありません。そのため、診断書作成を医師に任せきりにするのではなく、被害者の側で、適正な後遺障害診断書を作成してもらえるよう注意しておく必要があります。

ここでは、適正な後遺障害診断書を作成してもらうための注意点についてご説明します。

症状固定のタイミングで依頼する

後遺障害診断書を作成してもらうのは、ケガが「症状固定」に達した時点です。症状固定は、症状が一進一退の状態となり、治療をしても改善が見込めない状態になることを指します。症状固定に達したかを最終的に判断するのは主治医です。

症状固定に達する前に後遺障害診断書の作成を依頼してしまうと、等級認定を受けるために必要な治療期間が短すぎたり、「まだ改善の見込みがある」という記載がなされたりして、適正な等級を受けられなくなることがあります。

逆に、本来の症状固定時期以降に漫然と治療を続けた後で、後遺障害診断書を作成してもらうと、可動域制限・外貌醜状の判定などで不利な記載になる可能性があります。

リハビリをしても改善しない状態になったと感じる場合には、後遺障害診断書を書いてもらう時期について主治医と相談してみましょう。

症状を正確に伝える

後遺障害診断書には、自覚症状の記載欄があり、医師が被害者からの聞き取りをもとに記載を行います。

症状を医師に伝える際には、漏れなく正確に伝えるようにしましょう。例えば、頸椎捻挫のむちうちの場合、首以外にも肩や手首が痛ければ、頸部痛・肩部痛・手首痛と個別にきちんと伝えることで、記載が正確になります。記載が漏れた部位に異常が見つかっても、自覚症状の記載がなければその異常について等級認定を受けることは難しくなります。

また、例えばむちうちの場合、「常に少し痛いけれど、動かすと痛みが更に増す」といった症状が残ることがあります。むちうちの後遺障害等級認定では、「常に痛みがあること(常時痛)」が認定の1つの目安になりますので、「常に少し痛い」という部分が脱落して、「動かすと痛い」という記載になってしまうと、等級認定が難しくなります。少しでも痛みがある場合には、その旨を正確に記載してもらいましょう。

必要な検査を受ける

後遺障害によっては、診断書を書いてもらう際に、検査を受けることが必要な場合があります。例えば、動揺関節(関節がぐらぐら不安定な状態)であればストレスレントゲン検査、聴覚障害であれば日を変えて3回以上の聴力検査といった必須の検査項目があります。

必要な検査をきちんと受けて、症状が証明されないと、適正な等級認定を受けることはできません。注意が必要なのは、後遺障害等級認定のために必要な検査は、必ずしも治療上必要な検査とは限らない点です。治療のプロである医師も、後遺障害等級認定のための検査についてはよく理解していない場合もありますので、必要な検査の実施に不安がある場合には、交通事故に詳しい弁護士に相談してみましょう。

主治医の治療をしっかり受ける

主治医の指示に従って、治療を継続するようにしましょう。自己判断で通院をやめてしまったり、あまりにも通院間隔が開いてしまうと、後遺障害診断書を書いてもらうことが難しくなる場合があります。また、後遺障害診断書を作成できるのは医師のみであり、整骨院などの施術者に作成を依頼することはできません。

弁護士としては、その他の観点からも整骨院通いはおすすめできないのですが、後遺障害診断書作成のためにも、整骨院メインの通院は避け、主治医の行う治療をしっかり受けるようにしましょう。

障害によってはその他の必要書類の作成を依頼する

後遺障害の内容によっては、定式の後遺障害診断書に加えて、医師に書類作成を依頼する必要があります。

例えば、高次脳機能障害の場合、後遺障害診断書の他に「神経系統の障害に関する医学的意見」と「頭部外傷後の意識障害についての所見」という書類を作成してもらうことが必要です。

必須書類の書式については保険会社から受け取ることができます。

後遺障害診断書の作成依頼に不安があるときは弁護士へ相談する

後遺障害診断書をきちんと作成してもらえるかに不安がある場合には、医師に依頼する前に、一度弁護士に相談してみましょう。後遺障害診断書に記載してもらうべき事項や受けるべき検査について事前にアドバイスを受けることができます。

また、基本的には被害者ご本人が作成依頼を行うことになりますが、場合によっては、弁護士が診察に同行したり、弁護士から医療照会を行うこともあります。

医師から後遺障害診断書を作成いただいたら記載内容を確認する

主治医に後遺障害診断書を作成してもらったら、記載内容を確認するようにしましょう。病院から直接保険会社に送付すると言われる場合もありますが、必ず一度ご自身で受け取り、チェックをしてから提出するようにしてください。

いったん提出した後遺障害診断書は後から修正したり、出し直したりすることは基本的にできません。

自賠責の認定機関は、提出されたものを基礎にして等級を判断しますので、提出は慎重に行いましょう。

後遺障害診断書のチェックポイント

後遺障害診断書を受け取ったら、ご自身が伝えたとおりの症状がきちんと書かれているかを確認しましょう。

具体的には、以下のような点に注意してチェックしてみましょう。

治療期間・症状固定日は正しいか

症状固定日は、治療費や慰謝料の発生する期間の終期となります。また、後遺障害の認定に必要なだけの通院期間が確保されているかについても、症状固定日を基準として判断します。

まれにではありますが、保険会社による治療費打ち切り後にも、医師の指示で通院を続けていたにもかかわらず、打ち切り日が症状固定日とされているケースもあり注意が必要です。

症状のある部位は網羅されているか

痛み・しびれがある部位がすべて書かれているかを確認しましょう。例えば頸椎捻挫で、肩や腕にも痛みがあるのに「頸部痛」としか書かれていない場合には記載が不十分です。

「常時痛い」という記載になっているか

何も動かさなくても痛い場合には、きちんと「常に痛い」という記載になっているかを確認しましょう。「常時痛みがあり、首を屈曲すると増悪する」ならよい記載ですが、「首の屈曲時痛」は神経障害の認められにくい記載です。

診断名は外傷で生じるものか

「頸椎捻挫」などの診断名であれば、事故による外傷として生じるものですが、頸部が痛む場合の「脊柱管狭窄症」、肩が痛む場合の「肩関節周囲炎」などは、外傷により生じた症状であることを否定されやすい診断名です。記載されたものが外傷性の診断名なのかわからない場合には、提出前に一度調べるか、弁護士に相談してみましょう。

今後の見通しはどう書かれているか

後遺障害は、治療をしてももはや改善せず、今後も改善が見込めない状態を指します。そのため、「障害内容の増悪・緩解の見通し」を記載する欄に、改善見込みであると記載されてしまうと、認定を得ることが難しくなります。

後遺障害診断書の記載内容に不備や気になる点があった場合

後遺障害診断書の内容を確認して、記載内容に気になる部分や、自分が伝えた内容と異なる部分がある場合には、再度診察を受けて主治医に修正を依頼してみましょう。

診断書の最終的な記載内容を決定するのは医師ですが、自覚症状などについては修正に応じてもらえる場合が多いです。

記載内容に不安があるときは弁護士へ相談する

後遺障害診断書の内容をご自身でチェックしても不安が残る場合には、後遺障害診断書を持参して弁護士に相談してみましょう。

記載内容は十分か、認定が受けにくくなる記載がないかといったことを弁護士にチェックしてもらうことで、後遺障害診断書の記載が原因で認定がなされなくなってしまうことを防ぐことができます。

医師に診断書の作成を断られたときの対応について

まれにではありますが、医師によっては後遺障害診断書の作成を断られてしまうことがあります。ここでは、医師が診断書作成を断る理由と、被害者(患者)の側でできる対処法を見ていきます。

医師が後遺障害診断書の作成を断る理由について

医師が後遺障害診断書作成を断る場合には、以下のような理由が考えられます。

後遺障害の残存が治療の失敗という誤解をしている

医師の中には、後遺障害を、治療がうまくいかなかった結果残った「後遺症」だと誤解をしている方もいらっしゃいます。医学的な「後遺症」と法律的な「後遺障害」は別のものなのですが、後遺障害診断書を作成することで、治療の失敗を認める記載を行わなければならないと考える場合があるのです。

症状と事故との因果関係があると判断できない

事故から時間が経ってから通院を始めた場合や、事故で症状が出たことを告げずに通院していた場合には、主治医は事故が原因で症状が出ていると判断することができず、後遺障害診断書の作成を断ることがあります。また、通院期間が短すぎる・通院頻度が低すぎるといった場合にも、医師は後遺障害診断書を作成できるだけの判断材料がなく、作成を断る場合があります。

後遺障害診断書を書いた経験がない

整形外科以外を専門とする医師は、交通事故による通院に慣れておらず、後遺障害診断書を書いた経験がない場合があります。作成経験が乏しいことから、後遺障害診断書作成に難色を示すケースがあります。

紛争に巻き込まれることを心配している

交通事故による通院に慣れていない医師は、後遺障害診断書を作成することで、被害者と加害者の間の紛争に巻き込まれることを心配したり、あるいは、後遺障害が残ったことの責任を追及されるのではないかと不安を感じて後遺障害診断書作成を断る場合もあります。

まだ症状固定になっていない

医師としてはまだ治療の効果が出ており、症状固定に達していないと判断している場合には、今はまだ後遺障害診断書を書けないと作成を断ることがあります。

通院中に何らかのトラブルが生じている

治療中に、整骨院通院の禁止や服薬についての医師の指示を守らず、トラブルが生じていた場合には、後遺障害診断書の作成を断られることがあります。

後遺障害診断書の作成を断られないようにするためには

上記のような理由で後遺障害診断書作成を断られないようにするためには、以下の点に注意して治療を受けましょう。

医師の指示を守って通院する

後遺障害診断書をきちんと作成してもらうためにも、医師の指示を守って通院するようにしましょう。医師が整骨院などの施術機関への通院をしないように指示する場合には、あえて整骨院通いをすることは避けましょう。適切な頻度で通院し、リハビリや服薬をきちんと行っていないと、後遺障害診断書の記載内容も充実しにくいといえます。

後遺障害申請に非協力的な場合には早めに転院する

医師の中には、例えば「あなたのむちうち症で後遺障害が残ることはあり得ない」などといった、後遺障害申請に懐疑的・批判的な方もおられます。主治医が後遺障害申請に非協力的だと感じる場合には、通院継続中のできるだけ早いうちに、後遺障害申請に協力的な病院に転院して治療を続けることも検討しましょう。

転院をむやみに繰り返さない

医師が後遺障害について非協力的な場合には転院の検討もあり得ますが、必要性が乏しい転院を何度も繰り返すことは避けましょう。後遺障害等級認定では、症状の一貫性が重要です。転院を繰り返すと、ケガの経過がわかりにくくなり、症状が事故時からずっと続いているということの証明が難しくなってしまいます。

事故によるケガであることを明示して通院する

事故によるケガでの通院であることを、確実に医療機関に伝えましょう。相手方保険会社が治療費の一括払い対応をしてくれている場合には問題はありませんが、打ち切り後や保険会社が事故との関連性を否認している症状(例えば耳鳴りや精神障害)の治療の場合、ご自身で事故による通院であることを伝える必要があります。

万が一後遺障害診断書作成を断られてしまったら

上記のような注意点を守って通院しても、後遺障害診断書の作成を断られてしまった場合の対応をご説明します。

医学的な「後遺症」とは異なることを丁寧に説明する

自賠責保険の後遺障害申請は、治療の失敗による「後遺症」を問題にするものではなく、あくまでも事故の加害者から適正な賠償を得るために協力をしてほしいということを丁寧に説明してみましょう。

他の医療機関に転院して後遺障害診断書を書いてもらう

被害者から丁寧な説明・お願いをしても後遺障害診断書を作成してもらえない場合には、他の病院に転院し、転院先の医師に作成を依頼することを検討しましょう。

ただし、転院後の治療期間が短すぎると、転院先の医師が適切な後遺障害診断書を作成することが難しくなるので、転院後も治療期間を確保することが必要です。

必要な記載事項や検査を伝えて交渉する

医師によっては、後遺障害診断書作成の経験の乏しさから作成を躊躇する場合もありますので、被害者の側から記載してほしい事項や行ってほしい検査を丁寧に伝えて、作成をしてもらえるように交渉してみましょう。

後遺障害診断書を自賠責保険会社に提出する

後遺障害診断書の内容の確認・修正が済んだら、後遺障害診断書を自賠責保険会社に提出します。

最終的な提出先は「損害保険料率算出機構」になりますが、任意保険会社を通じて申請を行う「事前認定」と被害者自身が申請を行う「被害者請求」で、やり方が少し異なります。

事前認定の場合

事前認定の場合、被害者は相手方保険会社に後遺障害診断書を提出します。保険会社は、経過診断書などその他の書類を取り付け、後遺障害診断書とともに損害保険料率算出機構に提出します。等級の認定結果も、相手方保険会社を通じて通知されます。

被害者請求の場合

被害者請求の場合、被害者が申請書類をそろえ、相手方保険会社を経由せずに、損害保険料率算出機構に提出を行います。経過診断書などの必要書類は、相手方保険会社から写しを送ってもらい、いったん自分で内容を確認して提出します。認定結果も被害者に直接通知されます。被害者請求は、後遺障害についての自賠責保険金の請求の形を取りますので、等級が認定されると指定口座に等級に応じた自賠責保険金が振り込まれます。

事前認定と被害者請求とで、提出すべき書類は基本的に同じです。もっとも、事前認定の場合には提出する資料を被害者の側でコントロールすることはできません。したがって、必要書類以外の資料(例えば医師の意見書など)を一緒に審査してもらいたい場合には、被害者請求を選ぶ必要があります。また、相手方保険会社が通院の一部を否認しているような場合には、被害者請求ですべての通院についての申請を行う必要があります。

症状固定のタイミングで弁護士への相談を検討する

ここまでご説明してきたとおり、後遺障害診断書は、後遺障害等級判断の根拠となる重要な書類であり、最終的な損害賠償額にも大きな影響を与えるものです。そして、後遺障害診断書は、一度提出してしまうと撤回ができず、他の資料でリカバリーするのはかなり難しいといわざるを得ませんので、作成の依頼・提出は慎重に行う必要があります。

症状固定の時期に差し掛かり、後遺障害診断書を作成する局面に至った場合には、記載内容が適正な後遺障害認定に役立つものになるように、一度弁護士に相談されることをおすすめします。

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この記事の監修

交通事故の被害者の方は、ただでさえケガの痛みで苦しい思いをされているなかで、初めての諸手続きの大変さや先の見通しの不安を抱えて生活されています。弁護士は医者と違い、ケガの痛みを癒すことはできませんが、不安を取り除くともに、適正な賠償を受ける手助けをできれば幸いです。

弁護士三浦 知草

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