眼の後遺障害

眼の構造

眼は5感器の1つで代表的な感覚器です。
眼球と副眼器(眼球附属物)から成り立っています。
眼球は外膜、中膜、内膜の3層から成り立っています。
副眼器(眼球付属物)は、眼瞼(眼球の前を覆い、眼球の保護をし、涙で眼球を潤したり、角膜の表面を清浄に保つ)、結膜(眼球前面と眼瞼後面を覆う薄い膜)、涙器(涙腺、涙路から成ち、涙が眼球を潤し、洗浄する役割)、眼筋(眼球の運動を支配する小筋、神経が支配して眼球を動かす)に分かれます。

眼の構造

眼の後遺障害

障害の存在自体は、争いになりにくいといえます。
視力障害、複視や視野障害などの障害は、脳損傷、頚椎捻挫(むち打ち)などと共に問題となることもあります。
裁判においては、被害者の身体素因によるものか外傷性かについて争われることがあります。

眼の後遺障害等級

眼球障害とまぶたの障害があります。
眼球障害には、視力障害、調節機能障害、運動障害・複視、視野障害があります。
まぶたの障害には欠損障害と運動障害があります。
両眼に視力障害が生じた場合、両眼の視力障害の該当する等級をもって認定されます。
1眼ごとの等級を定めて併合繰上げの方法は行いません。
両眼の該当する等級より1眼の該当する等級が上位である場合は、その1眼のみを基準に等級認定されます。
眼球に系列が違う2つ以上の後遺障害がある場合、実務では併合の方法を用いて、等級を定めます。もっとも、1眼については8級(失明)を超えて7級相当と扱うことや、両眼の視力がある場合に併合の方法を用いて1級相当と取り扱うことはできません。

眼球の障害

視力障害

障害等級表にいう「視力」は矯正視力をいいます。眼鏡による矯正、コンタクトレンズ、眼内レンズによる矯正が含まれます。
視力計測は、基本的には万国式試視力表(ランドルト環の切れ目の方向を答えさせる一般的な視力表、アラビア数字)によって測定されます。
また、指数弁とは対象者が検査者の指の数を答え、正答できる最長距離により視力を表すもので、1m、50㎝、30㎝など距離別に判定します。

視力障害

失明

失明とは、眼球を失った場合、明暗がわからない及びようやく明暗がわかる程度のものをいい、光覚弁(暗室において、対象者の眼前で照明を点滅させて明暗弁別ができる視力、明暗弁ともいいます)または手動弁(検査者の手を対象者の眼の前で上下や左右に動かして、動きの方向を弁別できる能力)が含まれます。

種別 障害の程度 等級
視力障害 両眼が失明したもの 第1級1号
1眼が失明し、他眼の視力が0.02以下になったもの 第2級1号
両眼の視力が0.02以下になったもの 第2級2号
1眼が失明し、他眼の視力が0.06以下になったもの 第3級1号
両眼の視力が0.06以下になったもの 第4級1号
1眼が失明し、他眼の視力が0.1以下になったもの 第5級1号
両眼の視力が0.1以下になったもの 第6級1号
1眼が失明し、他眼の視力が0.6以下になったもの 第7級1号
1眼が失明し、又は1眼の視力が0.02以下になったもの 第8級1号
両眼の視力が0.6以下になったもの 第9級1号
1眼の視力が0.06以下になったもの 第9級2号
1眼の視力が0.1以下になったもの 第10級1号
1眼の視力が0.6以下になったもの 第13級1号

調節機能障害

調節機能とは物体像を網膜に結ぶために眼の屈折力を変化させる機能です。
いわゆる眼のピント合わせの機能です。

調節機能障害

調節力は、明視できる遠点から近点までの距離的な範囲(「調節域」)をレンズに換算した値で表し、単位はジオプトリー(D)です。
調節力は、年齢に密接に関係しており、水晶体(レンズ)は年齢とともに弾力性が失われ、だんだんと硬くなるために、水晶体を薄くしたり厚くしたり(ピント合わせ)が難しくなります。45歳頃より水晶体の弾力性はかなり失われ、近くを見る為に必要な調節ができなくなります(老眼)。

調節機障害 両眼の眼球に著しい調節機能障害を残すもの 第11級1号
1眼の眼球に著しい調節機能障害を残すもの 第12級1号

眼球に著しい調節機能障害を残すものとは、調整力が通常の場合の2分の1以下になった状態をいいます。

年齢別の調整力

年齢 15 20 25 30 35 40 45 50 55 60 65
調整力(D) 9.7 9.0 7.6 6.3 5.3 4.4 3.1 2.2 1.5 1.35 1.3
年齢 調整力(D)
15 9.7
20 9.0
25 7.6
30 6.3
35 5.3
40 4.4
45 3.1
50 2.2
55 1.5
60 1.35
65 1.3

調節機能の検査

アコモドポリレコーダー等の調節機能測定装置を用います。

調節機能障害

運動機能障害

眼球の運動は各眼3対の外眼筋がそれぞれの眼に作用してなされます。
外眼筋が麻痺した場合は、眼球の偏位が起こり、眼球運動の制限が起こります。

運動機能障害 正面を見た場合に複視の症状を残すもの 第10級2号
両眼の眼球に著しい運動障害を残すもの 第11級1号
1眼の眼球に著しい運動障害を残すもの 第12級1号
正面以外を見た場合に複視の症状を残すもの 第13級2号

「複視」とは、物が二重に(二つに)見えることをいいます。単眼での複視は片眼性複視、片眼で見たとき複視が起きず、両眼で見たときに複視になる場合を両眼性複視といいます。

運動機能障害

複視の認定基準は、

  1. 本人の自覚
  2. 眼筋の麻痺等複視を残す明らかな原因があること
  3. ヘススクリーンテストにより患側の像が水平方向又は垂直方向の目盛りで5度以上離れた位置にあることが確認されること

です。
その他、開散麻痺、輻輳痙攣、眼球が物理的に動かないなども運動機能障害として評価されます。

「眼球に著しい運動障害を残すもの」とは、眼球の注視野(頭部を固定、眼球を運動させ直視できる範囲。)の広さが2分の1以下になった状態をいいます。個人差はありますが、正常範囲は単眼視で50°両眼視で45°となります。

「両眼の眼球に著しい運動障害を残すもの」は、単眼視での注視野について、両眼ともに2分の1以下になった場合を指します。

視野障害

視野とは、一点に視線を固定したままの状態で見ることのできる範囲をいいます。

視野障害 両眼に半盲症、視野狭窄又は視野変状を残すもの 第9級3号
1眼に半盲症、視野狭窄又は視野変状を残すもの 第13級2号

半盲症は、視神経交叉部およびそれより上部の視覚神経伝導路が障害され,両眼の視野にほぼ同様の欠損が現れた状態です。
視野狭窄は、視野が縁のほうから、あるいは不規則に欠けて狭くなる状態。
視野変状は、暗点と視野欠損がある状態です。


視野障害

視野の検査

ゴールドマン型視野計によります。

まぶたの障害

まぶたの
欠損障害
両眼のまぶたに著しい欠損を残すもの 第9級4号
1眼のまぶたに著しい欠損を残すもの 第11級3号
両眼のまぶたの一部に欠損を残し又はまつげはげを残すもの 第13級4号
1眼のまぶたの一部に欠損を残し又はまつげはげを残すもの 第14級1号

「まぶたに著しい欠損を残すもの」とは、閉瞼時に角膜を完全に覆い得ない程度のものをいいます。
「まぶたの一部に欠損を残すもの」とは、閉瞼時に角膜を完全に覆うことができるが、球結膜(しろめ)が露出している程度のものをいいます。
「まつげはげを残すもの」とは、まつげの生えている周縁の2分の1以上にわたってはげを残すものをいいます。

まぶたの障害
まぶたの
運動障害
両眼のまぶたに著しい運動障害を残すもの 第11級2号
1眼のまぶたに著しい運動障害を残すもの 第12級2号

「まぶたに著しい運動障害を残すもの」とは、開瞼時に瞳孔領を完全に覆うものまたは閉瞼時に角膜を完全に覆うことができない状態をいいます。

その他の眼の後遺障害

外傷性散瞳

散瞳(病的)とは、瞳孔の直径が開大して対光反応が消失または減弱するものをいい、羞明は「まぶしい」状態です。

散瞳の障害 瞳孔の対光反射が著しく障害され、著明な羞明を訴え労働に支障を来たすもの 両眼・第11級相当
単独眼・第12級相当
瞳孔の対光反射は認められるが不十分であり、羞名を訴え労働に支障を来たすもの 両眼第12級相当
単独眼第14級相当

流涙

涙腺から分泌された涙は、涙点、涙小管、涙嚢、鼻涙管を通って鼻へ排出されます。
流涙とは、外傷によりこの涙路が断裂/狭窄/閉塞等が起こり、涙が眼から頬にあふれ出るようになることをいいます。

涙流の障害 常時涙流を残すもの 両眼・第12級相当
単独眼・第14級相当

眼の後遺障害の認定上の問題点

  1. 因果関係が争われるケース
    1. 受傷の有無が争われる場合
    2. 事故によって視力障害等が発症したかが争われる場合、特に事故後に期間が経過してから症状が発生した場合などが問題になりやすいといえます。視力障害等は、器質的原因がある場合に認定されます。そのため、検査や医師の所見を踏まえて認定されます。
  2. むち打ち損傷に伴い調整機能障害が生じた場合 むち打ち損傷や頭部外傷をきっかけに、被害者が視力障害や調整機能障害を訴えるケースがありますが、自賠責保険実務では原因が心因性のものとして因果関係が否定されがちです。

後遺障害のご相談は無料です。

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