「脊髄損傷」とは?
脳と体の各部をつなぐ「脊髄」。損傷した部位以下が麻痺症状を起こすため、損傷した部位が脳に近いほど麻痺する部位は広範囲となります。たとえば、首の部分(頸髄)を損傷すると上半身と下半身が麻痺し、腰の部分(腰髄)を損傷すると下半身が麻痺します。
そのため、交通事故によって損傷した脊髄の場所によって症状が大きく異なります。

「脊髄損傷」の症状
損傷した脊髄の部位によって、以下の症状が起きます。
- 局所症状
- 局所の疼痛(とうつう)、叩打痛(こうだつう)、変形、可動域の制限などがあります。
顔面や頭部、腰背部などの体幹にしばしば挫傷、擦過傷、打撲などもみられます。 - 麻痺
- 完全麻痺と不全麻痺とに分けられます。
完全麻痺では、損傷部以下の運動、知覚が消失してしまうものです。
不全麻痺は、損傷を受けた部位や程度によって症状が異なります。例えば、頸髄損傷では四肢麻痺(両側の上・下肢すべてに生じた麻痺)、胸腰髄損傷では対麻痺(両下肢の麻痺)が発症します。 - 全身症状
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- 循環障害
- 頸髄損傷や胸髄損傷により、交感神経が遮断され副交感神経優位になることで、心筋収縮力は低下し、心拍出量の低下、除脈、血圧低下が起こります。
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- 呼吸障害
- 損傷部位が高度である場合、重い呼吸障害に至ることがあります。人工呼吸がすぐに必要な場合や喚気不全になる場合があります。
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- 膀胱直腸障害
- 尿閉、残尿、失禁、排尿遅延などの症状が発症するものです。
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