交通事故に関する解決事例 137

後遺障害等級併合9級に認定され、相手方保険会社の示談金額が低額だったため弁護士が交渉に入り、当初提示額の約3倍の金額で示談成立した事案

解説弁護士
谷 靖介

G.Tさん・40歳代・会社員

受傷部位
上肢
後遺障害等級
併合9号
傷病名
頚部捻挫
左橈骨遠位端骨折
右肩挫傷
両膝打撲挫創
解決方法
示談交渉
弁護士費用特約
なし
取得金額
2300万円

ご依頼者の事故発生状況

事故態様
(加害者)自動車/歩行者(被害者)

ご依頼者のG.Tさんは信号のない横断歩道を歩行中、徐行せず交差点を右折した加害者車両と衝突しました。この事故によりG.Tさんは、頚部捻挫・左橈骨遠位端骨折・右肩挫傷・両膝打撲挫創の大ケガを負いました。

また、左上肢の機能障害(可動域制限)、歯の欠損、頚部の神経症状(左上肢と左手関節)の後遺障害が残り、後遺障害等級併合9級の認定を受けました。

解決に向けた弁護士の活動内容

ご依頼者のG.Tさんは、相手方保険会社から届いた示談提案額の妥当性を知りたいという理由で当事務所へ来所され、ご依頼されました。

相手方保険会社の当初提示額を確認すると、自賠責基準未満であったため、かなり低額の提示でした。そこで弁護士は、裁判所や弁護士が採用する適正な慰謝料・逸失利益・将来治療費等を主張し、交渉を進めました。

将来治療費ですが、G.Tさんはこの事故で3本の歯を失い、インプラントを使用していたため、定期的なメンテナンスと10年に1度の義歯の交換が必要と歯科医師から指導を受けていました。そのため、平均余命から将来的に必要なインプラント交換費用およびそれに伴う治療費として将来治療費を請求し、適切な金額を獲得することができました。

この項目は、事前の示談提示には全く含まれていなかった費用であり、歯科治療には高額の治療費がかかる見込みであったことから、弁護士が介入することで将来治療費を獲得できたことは、適切な賠償額の交渉をすることの重要性を、あらためて認識することになりました。

逸失利益と後遺障害慰謝料についても交渉を行いました。

逸失利益は、後遺障害によって労働能力が一定程度失われたと捉え、その程度に従って、将来的に得られるはずだった収入分を失ったとして請求するものです。

今回3本の歯の欠損があったものの、インプラントを入れており、G.Tさんの職業柄、労働能力を明らかに喪失させたとは言えないとして逸失利益の算定方式が争われました。

逸失利益の考え方のもとは、労働能力がどれほど失われたといえるか、という点ですので、個別具体的に業務の内容を検討したうえで適切な賠償額を定める必要がありました。

裁判例では、逸失利益として認められないとしても、インプラントとなったことによるかみ合わせの悪さや精神的な負担等を後遺障害慰謝料として増額することにより、適切な賠償額を定める傾向にあったため、今回はそのような裁判例を主張し、逸失利益について譲歩すべきは譲歩し、他の面で賠償額を増額できるよう主張を尽くしました。

その結果、逸失利益と後遺障害慰謝料を合わせて十分な賠償額を獲得することができました。

こうした交渉の末、最終的に当初提示額の3倍以上の2300万円で示談が成立しました。

弁護士による事例総括

後遺障害等級が大きくなるほど、相手方保険会社からの示談提示額は適正額より低額となる傾向にあります。

事故直後から弁護士が介入しているケースでは、弁護士側から損害額の提示をすることが多いので心配はないものの、弁護士に依頼していない間に保険会社から示談の提示が来た場合には、そのまま示談をせず、一度弁護士に相談してほしいと思います。

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