交通事故に関する解決事例 131

14級9号において労働能力喪失期間が10年とされ、復職後の歩合給減額分についても請求が認められた事案

担当弁護士
今井 浩統

Z.Kさん・20歳代・会社員

受傷部位
下肢
後遺障害等級
14級9号
傷病名
右膝皮膚欠損創
右膝擦過傷
右脛骨遠位端骨折
右肘打撲傷
解決方法
訴訟
弁護士費用特約
あり
取得金額
450万円

ご依頼者の事故発生状況

事故態様
(加害者)自動車/自動二輪(被害者)

ご依頼者のZ.Kさんは片側一車線の道路を走行中、路肩から飛び出してきた相手方車両を回避しようとしたところ、回避できず衝突し転倒しました。この事故によりZ.Kさんは、右膝皮膚欠損創、右脛骨遠位端骨折、右肘打撲傷等のケガを負いました。

解決に向けた弁護士の活動内容

ご依頼者のZ.Kさんは、保険会社からの賠償金提示を受けたものの、その内容に不満を抱き、当事務所へご相談に来られ、今後の交渉をご依頼されました。

本件は、典型処理にはなじまない事情が多数存在したため、当職が代理人に就任した後、相手方保険会社にも早期に代理人が就任しました。交渉において丁寧な説明を繰り返しましたが、保険会社が当方の請求を認めなかったため、訴訟となりました。

訴訟において同様の説明を繰り返したところ、裁判官は当方の請求の大部分を認め、これに即した和解案を提示しましたが、相手方保険会社はこれを拒絶しました。その後も、裁判官が相手方を強く説得してくださいましたが、相手方保険会社は一向にこれに応じようとしませんでした。このため、和解を諦め、判決による解決を図ることとなりました。

しかし、判決となった場合、控訴審に係属し、解決が1年近く遅くなってしまうことが見込まれました。本件事故の発生から5年も経過していたためZ.Kさんがこれを嫌い、急遽多少低い金額であっても和解に応じるという意向を示されました。
裁判官も当該金額での和解に不本意なご様子でしたが、相手方保険会社の提示した金額で本件を解決することとなりました。

労働能力喪失期間

一般に14級9号の労働能力喪失期間は5年といわれています。

しかし、これはむちうちを前提としたものであって、それ以外の障害による労働能力喪失期間はこれと異なりますので、注意が必要です。

ご依頼者のZ.Kさんのケガは、膝の神経症状でしたので、当然むちうちとは異なりました。このため、和解案においても5年ではなく、10年の労働能力喪失期間が認められています。

交通事故を専門的に扱う弁護士であれば、この点については理解のあることと思いますが、このようなことを知らない弁護士も多く、また、保険会社担当者も知らないことが多いため、注意が必要な部分となります。

歩合給の損害

ご依頼者のZ.Kさんは、固定給に加え歩合給を内容とする雇用契約を締結しておりました。

Z.Kさんの業務は、従業員ごとに顧客がつきます。Z.Kさんは1年以上も治療が必要であったため、本件事故前に担当していた顧客は全て他の従業員に引き継いでしまっており、復帰当初は歩合給の対象となる顧客がおりませんでした。また、短期間には顧客を獲得することは不可能な業種でした。

このため、Z.Kさんの業務内容や顧客獲得までのプロセスを丁寧に説明したところ、復職後、一定期間の歩合給減額分については、裁判所の和解案でも認定されました。

弁護士による事例総括

最終的な和解金額については、当職としても納得できないものではありました。

しかし、従前の経緯からしますとご依頼者のZ.Kさんのお気持ちも痛いほど理解できるものでしたので、多少低い金額での和解に応じることになりました。適正な賠償という観点からすると、多少低い金額ではありましたが、当初提案額からの増額幅に鑑みると、Z.Kさんにも満足いただけた結果だったと思います。

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