交通事故に関する解決事例 122

事故の治療が長期化したことで保険会社より債務不存在確認訴訟を提起され、弁護士が適正な賠償を求めて反訴した結果、裁判基準の慰謝料満額の賠償を受けて解決した事案

担当弁護士
齋藤 碧

W.Sさん・50歳代・自営業

受傷部位
背骨(頚椎・腰椎)
後遺障害等級
14級9号
傷病名
頚椎捻挫
背部捻挫
左肩打撲傷
解決方法
訴訟
弁護士費用特約
あり
取得金額
440万円

ご依頼者の事故発生状況

事故態様
(加害者)自動車/その他(被害者)

ご依頼者のW.Sさんは、相手方運転の車に同乗中、固定が不十分であった車内積載物がW.Sさんの頭上に落下し、負傷しました。この事故によりW.Sさんは、頚椎捻挫・背部捻挫・左肩打撲傷等のケガを負い、頭痛、頚部から肩にかけての痛み・張り、頚部の運動制限、手指の痺れ等の症状があり、整形外科、整骨院での治療を受けていました。

解決に向けた弁護士の活動内容

ご依頼者のW.Sさんは、身体を使うお仕事をしていましたが、本件事故による症状により、身体が思うように動かせず業務に支障が出ていました。また、自営業のため無理をしてお仕事をしなければならないこともありました。

当初、W.Sさんと保険会社の担当者で話し合いをしていたものの、自営業の減収の把握が困難なため、当事務所に相談され、ご依頼を受けました。

本件では、相手方保険会社がW.Sさんの承諾なく、治療費の支払対応を打ち切りました。その時点で、医師がまだ治療を継続すべきと判断していたことから、自費での治療を継続していました。

しかし、相手方保険会社は治療期間が長期に過ぎると判断し、保険会社が相当と考える範囲を超える損害賠償の必要性がないとして裁判所に対し、債務不存在確認訴訟を提起してきました。

これに対し当方は、医師の見解を前提とした治療期間を主張するとともに、後遺障害等級認定手続きを行い、後遺障害等級第14級9号の認定結果を踏まえた損害賠償、自営業の減収分の損害賠償を求めて、反訴を提起しました。

債務不存在確認訴訟を提起された場合、しっかり対応する必要がありますが、訴訟を起こしたからといって相手方保険会社の言い分が通るわけではなく、最終的には医師の判断を前提として、裁判官が相当な治療期間を判断することになります。

本件の裁判所和解案では、医師が判断した治療期間(症状固定時期)を前提として、治療費、通院交通費、治療期間に応じた慰謝料が示されました。

次に自営業者の休業損害ですが、自営業者の場合、事故によりどのような休業損害が生じたのか把握するのが困難なことが多くあります。例えば、事故により休んでいた期間に受注できなかった売上げの減少、受注していた案件を他の業者に依頼したことによる経費の支出、身体の支障による作業効率の低下等、様々なものが考えられます。

自営業者の休業損害は、原則として、事故前年の確定申告を基本とした収入から固定経費以外の経費を控除して日額を算出し、休業日数をかける方法により計算されます。

本件の裁判所和解案では、事故前年の収入を前提として日額を算定し、治療中の全ての期間に30%の支障があったものとして休業損害が認定されました。

こうして当方主張の治療期間を前提とし、裁判基準満額の慰謝料、W.Sさんの従前の収入を前提とした休業損害、逸失利益を認める裁判所和解案が提示され、和解により解決しました。

弁護士による事例総括

頚椎捻挫や腰椎捻挫などのいわゆるむちうち損傷の場合、治療期間が3か月~6か月程度経過すると(車の損傷が軽微である場合には、より短期の場合もあります。)、相手方保険会社の治療費の支払対応が打ち切られることがほとんどです。そのような場合、まずは主治医にご相談いただき、治療期間の判断を仰いでください。医師が治療を継続すべきと判断している期間については、自費での治療を継続していただき、後日、相手方保険会社に対して、相当な治療期間であることを主張することができます。

自営業者の方の休業損害については、確定申告の金額が前提とされますが、それだけではなく実際の事故による影響はどのようなものであったかも考慮し、相手方に対する損害賠償請求額を検討する必要があります。相手方からの賠償を受けるためには、これまでの裁判例を踏まえた損害額の計算と損害の証明ができなければなりません。被害者の方は、実際に損害があることを保険会社に訴えたくても、どのような計算をして損害額を出せばいいのか、証明書類を求められてもどのような書類を出せば証明になるのか分からないことが多いと思います。そのような件でお悩みの方は、一度弁護士にご相談されることをおすすめします。

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